表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/7

そう、私変わりたいの。

ぽっ!

何が咲いた音がした。咲いたのは、もちろん恋の花。

万里子の顔が急に赤らむ。

きっと、万里子は葵に一目惚れしたのだろう。

うわー、めんどくさい…。


ちなみに、葵の席は万里子の右隣で、珍しく教科書を忘れた万里子に葵が机をわざわざ、くっつけて見せてあげたのだ。この年の男子は、普通恥ずかしがるものだが、葵はそんな事がないようだ。


つーか、転校生のあんたが何で教科書持ってる?


万里子は割と男子に人気のある方だから、男子がやっかんで、冷やかした。

でも、葵は冷静だった。というより、訳が分からないといった風だった。

「ただ、教科書を見せてあげてるだけなのに?」

首をかしげた。


見かねた先生が、恭子に万里子に恭子の教科書を貸して、葵と机をくっけるように言った。

はあ?

と思ったけど、この騒ぎを納めるにはこれしかないので、葵の制服の襟を掴むと、葵と机をくっつけた。


それから、授業はつつがなく進んだ。

もちろん、恭子は葵と口を聞かない。無視だ。

葵ときたら、頭は良いらしくて、どんな難しい問題もすらすら解いた。それもムカつく。


「ねえ、恭子。俺、なんか変?」

あまりの完璧さに、圧倒される周りに、葵も異変に気が付いたようだ。

遅い…。

恭子は、無視しようとしたが、さすがに友達が一人も出来なかったら可哀想だと考え直して、こう助言した。


「あんたさ、転校生なんだから少し大人しくした方がいい。黙ってても話しかけてくれるから。

何、はりきっちゃてんの?馬鹿みたい!」


葵は少し考えたのか、うつむいたがやんわり、恭子に反論した。

「自分を偽ってまで、友達はいらないよ。それは、知人であって仲間じゃない…」


こっ、こいつは!せっかく人が親切に助言してあげたのに!


でも、葵の表情は真剣でそして、暗かった。何かを思い詰めているようにも見えた。


「そんなの、綺麗事じゃない!私が、いつもどんなにか苦労してるか!」


恭子はだんだん腹が立ってきた。その時。


コン。


後ろの席から消しゴムがとんできた。恭子の顔が青ざめる。

「うるせーんだよ!ちびっこ!」

「ごっ、ごめんなさい!花村さん」

花村 可憐。恭子は、この半年可憐にいじめられていた。

小さくなった、恭子を葵はびっくりして見ていた。


花村可憐と恭子は、新学期は友達だった。

二人には共通点があった、それは

二人とも魔法少女物が大好きである事。特に可憐はイラストが上手で、自分だったら、こういうコスチュームとか描いてくれた。


まあ、こんな二人だから正直いってクラスで浮いていたものだ。でも、そこは二人の世界、気にならなかった。そんな二人を万里子だけが、暖かく見ていた。


状況が変わったのは、可憐に彼氏が出来た事だった。すぐに可憐はその彼氏に夢中になり、やがて自分の痛さを知った。

また、恭子はそんな可憐がうらやましくてたまらなかった、だからつい二人の邪魔をしたのだ。


邪魔といっても可愛いものだったから、可憐はやんわり恭子をなだめた。

「ねえ、私達さ、もう中学生じゃん?大人…じゃない?もっと現実的にいかない?例えば、おしゃれするとかさぁ」


恭子だって、分かっている。でも、つーんとはねのけた。

「彼氏出来たくらいで何?可憐変わっちゃたね」


「恭子ちゃん、そんな事言ったらダメだよ?」

万里子が危険を察して、なだめた。


でも、それが最後だった。


可憐はガタンと音をたてて立ち上がるとこう告げた。


「そう、私変わりたいの。魔法少女じやなくて、大人に!」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ