第12話
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僕は犬のようだ、と自分で思った。
「やめてぇ〜、もうっ!」
別に嬉しそうに舌を垂らしながら吠えているわけではない。
餌が欲しくて誰かに甘えているわけでもない。
ただ、されるがままになっているだけで…
「かぁわぁいぃいっ」
暗闇の中、キラキラと輝く4つの目が僕を動くまいとさせる。正確に言うと、2組の目、だ。そしてその目の持ち主達は僕の髪をすくうようにして触った。
「僕はッ、可愛くなんかない!帰る。」
「ぇええっ!可愛いぃのにぃ。でも、まだ早いよ」
「そうだよ。唏緒、帰るって言っても施設じゃん。」
「デリート」
かなたとこなたの顔に不満と書いてあったので消しておいた。
僕は髪を淡い茶色に染めた。
僕は唏緒としての人生を捨てることにした。そして、新しく日暮李紅として生きることになった。実在していた人物らしく、その人の容姿に近づけるために髪を染めた。
元々、日本人特有の黒髪だった僕は艶があって綺麗だね、なんて言われたこともあった。
そう言われるのは、満更でもなかった。
でも、自慢の黒髪とは数時間前に決別した。
「唏緒、いいね。養子になるんでしょ、日暮財閥の」
かなたが、羨ましそうな目を向けてきた。
「かなたはいいと思う?僕、もう唏緒として生きられないんだけど…。」
「すごい良いよ!お母さんとお父さんも出来るし、お金持ちにもなれる。」
「かなた、それもいいんだけど…。唏緒は幸せ?」
「僕の幸せはいいんだ。これからは僕があの子を幸せにするって決めたから」
僕は心の内を隠すため、一生懸命笑った。睫毛が濡れそうになったら水で顔を洗った。
「「唏緒、また会おう」」
「約束!」
僕が唏緒としてかなたとこなたに会ったのはこの日が最期だった。
思い出と友達と僕にさようなら。
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