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Another Life 〜現実が詰んだので、フルダイブVRで人生やり直します〜  作者: hanaXIII


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第七十六話 少しずつ

いつもご愛読ありがとうございます。

新天地・ビギナ大陸に降り立ったタク。そこで偶然にもリサと再会した彼は、彼女の言葉から重要なヒントを得ます。

着実にリナの正体に近づくタク、そしてそれに気づかぬまま帰路につく花。二人の距離が、わずかに縮まります。

「では、また何かあればいつでも聞いてくださいね!」


ビギナ大陸まで案内してもらったタクは、解散すると、港周辺を散策する。


(できるだけ、目立たねえように動かねえとな。とりあえず、教えてもらった宿屋に行ってみるか。)


宿屋にて。


「ここの部屋を借りたいんだが、できるか?」

「お客さん、冒険者ランクを見せてください。

………ふむ。Fですね。

残念ですが、冒険者ランクがD以下の方は……」

「ああ、説明は聞いている。では、課金システムを利用する。

いくらか教えてくれ。」

タクは値段を見て驚愕する。

(こ、これ、一般のビジホの宿泊とほぼ同金額じゃねえか!

ルーム貸切は……なんだこれは。

ちなみに、冒険者ランクD以上の宿泊は……それでも、割と高めだなあ。

そうか、だから、受付嬢は、"はじめは夜営してセーブポイントを設置する"って言ってたわけか。

ち!とんだぼったくりゲームだぜ!)


「お客さん、どうなさいますか?」

「辞めておく。明日確実に来れるかわからんからな。

質問なんだが、もし、セーブせずにログアウトをしたら、どうなるんだ?」


「その場合は、元の場所に戻ることになり、しかも、その間に手に入れたアイテムや経験値も、全て前のセーブの状態まで戻り、無かったことになります。」


(ち!やっぱりそうか……地道に、少しずつやってくしかねぇってことか。)


「ありがとう、今回は失礼する。では。」


タクは、宿屋を後にして、港に戻る。

(はじまりの都は、ターミナル的な場所がセーブポイントとして機能していたが、ここからは本格的なサバイバルってことか、考えてやがるぜ。

課金でどうこうできるってわけでもねえってことか。

まあ、大金持ちなら可能だが、ゲームにそこまで注ぎ込むのも、なんかシャクだ。)


そんなことを考えていると、受付嬢を遠くに発見する。

腕を後ろに組み、スキップしている。


(なんだか機嫌がよさそうだな。他に宿屋がないか聞いてみるか。)


「あの、リサさん?ちょっとお聞きしたいのですが?」

「あ!TKさん!まだこちらにいたのですね!

どうされました?」

タクは事情を説明する。


「ご、ごめんなさい!そんなに金額がかかるなんて知りませんでした!それはわたしのミスです!ちょっとお待ちください!」

「あ、いえ、責めているわけでは、あ、あのー……」

リサは一目散に駆け出し、ターミナルへ戻っていく。

タクも後を追った。

(な、なんか、異常に走るの早くねえか?

も、もしかすると、ステータスの差か?)


実は、タクの予想は当たっており、リサは花たちと過ごして、アバターの使いこなしが上手くなっていた。

そして、狩にも同行しているため、意外とレベルも上がっていたのだ。

花やランスが異常なだけで、リサは一般的にみると、新規プレイヤーから見てステータスは高い。


ターミナルに戻ると、すでにリサが情報を拾っていた。

「TKさん!先ほどと反対方向に、一般向けの宿屋があります!

わたしが教えた宿屋は、クランやギルド向けだったみたいです!申し訳ありませんでした!」


「あ、いえ、そんな丁寧に、あなたは悪くないですよ。」


「いえ!わたし、もう辞めちゃったけど、前の職場にいた同い年の男の子で、仕事にすごくストイックな子がいたんです!

話すと怖いけど、仕事に関しては丁寧で、細かく、熱心なところが、すごいなって。

そこは、リスペクトして学んだんです!」


(…………それって……?!)


「でも、これで安心してログアウトできます!

わたし、明日からしばらくいないので!

TKさん、このゲーム、たくさん楽しんでくださいね!」


「しばらく、ですか?」

「そうですね、二週間先の土曜日までは、お休みです!もしわからないことがあれば、NPCの受付嬢に聞いてみてください!きっとお役に立てると思います!」


(二週間後の土曜日か……くく、良いことを聞いたぜ。ま、この子がリナとは限らねえがな。)


「あ!でも、プレイヤーとして入るから、仕事自体は、その週明けになりますね!

ごめんなさい!」


「そうだったんですね。リサさんは、どこまで進んだんですか?」

「わたしは全然ですー。まだ、カレッジ周辺ですね!もっと落ち着いたら、しっかり強くならないと、次へ進めないですぅ。」


(ククク……そうか、じゃあ目指すのは一旦、そのカレッジというところだな。良いことを聞いたぜ。ま、リナかは分からねえがな。俺にはどうも、この子がリナじゃねえかと、勘が働くんだ)

「カレッジ?ですか。」

リサは、スクリーンで地図を開く。

「これを見てください、ここが、スキルを獲得できるっていう、大学。スキルカレッジです!」

(う、うお!またちけえ!)

「あ、ありがとうございます。目指してみます。」

「うん!またプレイヤーとして会えたら、その時はよろしくねー!

では、失礼します!」


リサはスキップしながら去っていった。


(スキルカレッジか……良いことを聞いたぜ!

そして、二週間後の土曜日!そこで、リナを捕まえる!

本人かどうか、そこではっきりするはずだ!

よし、今日はひとまず宿屋でセーブだ。

明日はこの変装を一旦変更する。

もし、リナに仲間がいて、この俺の格好を共有されて、認知されたら動きにくくなるからな。

馴れ合うのも面倒だ。)

タクは、宿屋に向かいながら、薄ら笑いが止まらなかった。

本来、実物はかなりのイケメンで、仕事もできるが、リナが絡むと、IQは低下し、変人度も増してしまうのが欠点だ。



花は、ひとまずカレッジまで戻ることにした。

港周辺の駅まで歩いて向かっていた。

(リサは先に帰っていったな。どうせなら、ここまで一緒にくればよかったかな。

あいつなりに気をつかって一人にしてくれたんだろう。

ん?なんだあいつは……歩きながら薄ら笑いしてるぞ?)


「ククククク……くははは……くくくく」


(…………気持ち悪いな。面倒だから、視野に入らんようにしよう。)


なんとも偶然のすれ違い。

花たちは、タクがすぐ近くまできていることに、気がついていなかった。

そして、また少しずつ、距離は近くなっていくのだった。



第七十六話をお読みいただき、ありがとうございました!

ついに「二週間後の土曜日」という具体的なターゲットを見つけたタク。

一方で、何も知らずに日常へ戻ろうとする花。

二人の距離が近づくにつれ、ALOの世界も現実も、ますます目が離せない展開になってきました!

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