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Another Life 〜現実が詰んだので、フルダイブVRで人生やり直します〜  作者: hanaXIII


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第六十八話 疲労

仮想世界での激闘の裏側で、現実世界にもまた、それぞれの「事情」が重くのしかかります。

一時の休息の中で交わされる、軽妙なやり取りと、ふとした瞬間に漏れ出る本音。

物語が大きく動き出す直前の、嵐の前の静けさとも言える一幕。彼らが手にする日常の尊さが、ひたひたと胸に迫ります。

ゲームのヘッドギアを外し、起き上がる。

「はぁ…はぁ…な、なんだ、この疲労感は……とりあえず、水飲もう。」


タクはこの一週間、はじまりの都でひたすらモンスターと奮闘していた。

意外なことに、しっかりレベルを上げようとしていたのだ。


「ちっ、このゲームがあんなに難しいなんてな、ソードスキル使っても、まるで当たりゃしねえ!なんでだ?………今度、受付嬢に聞いてみるか。

こんなに疲れてたんじゃ、リナの前でかっこわるい!

そんなの俺じゃねえ!」


タクは水を飲み干して、TVで動画一覧をスクロールする。ALOに関する情報を集めるためだ。

ふと、ある動画に目が止まる。

それは、とあるホストの動画だった。

タクはこの人物を知っている。


『大人気の、Another Life online!?

そうだ。俺はこれから、ギルドを作る!

入りたい人は大歓迎だ!

クラブのメンバーも、もちろん俺たちのギルドメンバーさ!

そうだなぁ……人材派遣も検討してる!

攻略したいクエストがあれば、うちの人材を同伴させる!そんなビジネス!』


……………


「金、金、金……こいつは昔からそうだったな。だが、実力は確かだ。

ここの社長から、いくつかの事業も任され、ホストクラブもやれるほど、見た目と才にも恵まれてる。

やり方は気に入らねえがな。社長さんには恩がある。穏便に関わらねえとな。

だがこいつは……欲しいものはなんでも横取りする。…………こいつにだけは渡さねえぞ。」



カレッジ内屋上。

「ところで花、何やってるの?」

花はリサを肩車している。

「…………見ての通り、肩車だ。」

「それは見ればわかるよ、なんでそうなったのかってこと。」

「ふ……男は常に女性には優しくする。おじいちゃんから、そう学ばなかったか?」

「…………ま、まあ、それはわかるけど。」


ボカ!


「なーにが!女性には優しくしろ、よ?!

いつも恥ずかしい思いさせてー!」

「痛え!バカ!暴れるな!お、落ちるぞ!うわ!」

「あ、危ない!」

咄嗟に、花はリサをお姫様抱っこした。

「っぶねえな!大人しく乗ってろ!頭でもぶつけたらどうすんだ!

あ、でも、ゲームだから大丈夫なのか?」


…………


「あ、あの……そろそろ…降ります。」

リサは恥ずかしそうに降りる。


「ん?どうしたんだ?肩車じゃ不満か?なら、高い高いしてやろうか?」


「わ、わたしは子供じゃないー!んもう!さっきの罰はこれでチャラね!

か、肩車してくれて、ありがとう。」


「なんだ、そんなことで良かったのか?

肩車くらい、いつでも俺たちに言えば、やってやるぞ?なあ、ランス?」


「え?!僕?!そ、そうだね!やったことないけど、多分できると思うよ!?」


「今から練習しとけ!大人になったら、何百回もしなきゃならんからな!カッカッカッ!」


「そ、そうなの?!将来必要なら、僕もできるようにならなきゃ!」


「ちょっと花さん?!ランスに変なこと吹き込んでるんじゃないの?!良い子なのに!花さんみたいになったらどうするの?!」


「俺みたいに……か……確かにそうかもな……良いこというじゃねえか、リサ!カッカッカッ!」


リサとランスは花の表情が一瞬曇ったのを見逃さなかった。


「今日は、気分転換にきたのか?」

「え?うん、そうだね、最近勉強三昧だったから。でも、やっぱりこうして気晴らしすると、違うね!」

「いつでも言ってよ!僕たち暇だから!」

「おい!俺を暇人扱いすんじゃねえ!」

「ごめんごめん!あんなに狩りばっかりやってるから、暇人なのかと思ったよ!」

「言うようになったじゃねえか、ランスくん〜、またPvPでボコボコにしてやろうか〜?」

「ぬ!ぐぬぬ!くそう……今度は負けないぞ!」

リサはこのやりとりをみて、お腹を抱えて大笑いする。


「あははは!もう!お腹痛いよぉ!まるで漫才なんだからぁ!」

(いや、MVPはリサさんだと思うけど……)


「んで?あれからもう何日も経つが、マネージャーからは連絡あったのか?」

「いや、それが何もないんだよねー。」


「こっちはこっちで、警戒しながらやるから心配しないで大丈夫!リサさんは、バイトと勉強がんばってね!」


「ありがとうランス!あ!そろそろ塾の

時間!その後バイトだ!

もう行くね!」


二人に手を振って、リサは走り出した。

背中を見ながら花が声を掛ける。

「リサー!」

リサは振り向く。

「また顔見せろよ。」

静かに言って花は手を振る。リサは目を見開き驚くが、次の瞬間満面の笑みになる。


「うん‼︎‼︎じゃあ、行ってきまーす‼︎」


(か、可愛いー‼︎)

花はランスの頭をガシガシする。

「さぁ、俺たちも、レベルアップしないとな!」

「だね!今日のPvPは負けないからね!」

「お!いいね!かかってこい、ランス‼︎」


各々が目的のために、静かに動き出すのだった。


第六十八話 完

最後までお読みいただき、ありがとうございます!

ハナの「また顔見せろよ」という言葉、不器用ながらも精一杯の優しさが詰まっていて、リサでなくてもキュンとしてしまいますよね。リサの背中を見送るハナの横顔が少し切なく、印象的な回でした。

【応援のお願い】

物語の続きが気になったり、リサの恋(?)を応援したくなったりした方は、ぜひページ下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして評価いただけると大変励みになります!ブックマークやコメントもお待ちしております。

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これからもよろしくお願いいたします。

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