第六十七話 疑心暗鬼
はじまりの都へと足を踏み入れた者が目にする、あまりにも予期せぬ「再会」。
動揺が波紋のように広がる中、仮想世界のリアルな洗礼が牙を剥きます。
一方、再会を果たした仲間たちの間には、相変わらずの賑やかで騒がしい時間が流れますが、そのすぐ側まで不穏な影が忍び寄っていることには、まだ誰も気づいていませんでした――。
(な!?なにぃ!?……に、似ている!
いや、まさかな……まさか、そんなはず……いや、そんなバカな、こうもあっさり出くわすか?!
いや待てよ!髪型、髪色は全然違う!
そうだよな、こういった受付嬢は基本NPCだ!リナみたいな顔したやつなんか、AIでいくらでも作れる!そうに違いない!)
武器屋、アイテム屋、森の案内を一通り回る。
(く!見れば見るほど似てる!でもダメだ!こんな人混みで、しかも仕事中だ!そんなときに正体がバレたら、俺も危ねえ!
しかし、似てるなあ!)
「どうしました?何だか、息が荒いみたいですが、ちょっと手を貸してください。」
受付嬢は、タクの脈をとる。
(んな!!?なにぃ!?て、て、手を!)
「心拍数がはやいですね。もしかして、説明が早すぎましたかね?気がつかなくて、申し訳ありませんでした。
次は、ゆっくり説明しますね。」
(お、落ち着け!女とはいつもベタベタ無駄に触られてるじゃねえか!落ち着けー!)
一通り案内を終えて、タクはお礼を告げる。
そのままエントランスを出て、森に入った。
「ったく……なんであんなに似てるんだ?
なんも頭に入んなかったじゃねえか。
よし、ここらでモンスターでも狩ろうか。」
キキャー!
「う、うお?!」
ズバ!
「い、痛え!なんだこいつ!この!」
ヒョイ!
キャーッキャッキャー!
ゴブリンは、攻撃をかわして、飛び跳ねておちょくっている。
「くっそー!なんなんだこいつらは!雑魚じゃねえのか?!」
ブン!ヒョイ!
ブブン!ヒョイ!
キャーッキャッキャー!
ゴブリンは、お尻ぺんぺんしておちょくっている。
「ん、の、や、ろうーー‼︎‼︎」
ゴツン!
剣を振りかぶり、つまづいて転んだ先にゴブリンがいた。
ゴブリンは頭を打ち痛そうにしている。
「今だ‼︎」
ドシュ!
キキャー! ドサ
「はぁ、はぁ、やっと狩れたぞ。
お!ドロップアイテムだ。
あん?……これ、自分で拾うのか?
め、めんどくせぇなあ。」
(リアルだが、なんて地味な作業なんだ。ここまでリアルにする意味あんのか?!
こりゃ、他のプレイヤーも、なかなかレベルは上がらんだろうなあ。
だからこそ、俺の課金が光るはず!
みてろ!必ず見つけてやるからな!)
◆
「おーい!ごめん!遅くなったー!」
「全然大丈夫だよ!バイトおつかれさま!」
「ありがとう、ランス!」
リサは花に対して、耳を澄ませるようなポーズをする。
「なんだ?耳が、でっかくなったのか?
リサ!いつのまにそんな古いギャグ覚えたんだ!?
そうか!息抜きに漫才でも見てたんだろ!
良い心がけだ!」
リサの顔がみるみる般若になっていく。
(あ、あわわ、は、花!リサさんはきっと、労いの言葉が欲しかったんだと思うよ?!早く労って!)
(わーってるって!ちょっとおちょくったんだよ!久しぶりだからな!)
(え!わざとなの?!なんでわざわざ怒らせるのさあ!?仲良くしようよ!)
「ぬぬぬぬー!……」
(や、やばいよ!花!早く!)
「花さんの、意地悪ー‼︎‼︎くらえーー‼︎‼︎」
リサは花の顔面目掛けてハイキックを繰り出す。
ランスは驚いて目を閉じて横に飛び避ける。
ハイキックは花の顔面をかすめて、間一髪で避けられた。
リサは、鼻息が荒い。
そして、2発目を構えたときだった。
「ありがとうな、リサ」
リサは目をぱちくりさせる。同時に、少し赤くなる。
(ふ、ふう。やっと言ったよ。会いにきてくれてって事だよね。短い言葉だけど、ちょっとカッコいいな。)
(は、花さん、やっぱり冗談だったんだ?
わたしが会いにきたから、ありがとうって……)
……………
「バッチリ見えたぜ……感謝する。」
花は、胸の前で手を合わせ、敬意を表す動作、中国でいう『拱手(感謝の構え)』を披露した。
(ば、バカな……あのハイキックを、避けながらパンツを見てたってこと?す、すごい……じゃなくて!
り、リサさん、この展開は、怒るんじゃ……ひ、ひぃー!)
ゴゴゴゴゴ
リサは般若の顔になり、真っ赤になっている。
(うお!今までで一番の般若だ!に、逃げねえと!)
「この……エロジジィーーー‼︎ 待てーー‼︎ 花ーーー‼︎」
「う、うわ!が、ガード!」
ガツン!
リサはランスを弾き飛ばして花を追いかける。
「あ、危ない!クリティカルガードじゃなきゃ吹き飛ばされてたかも!」
ドドドド…
凄まじい足音と共に、花を追いかけるリサ。
ランスは、この光景をみて大笑いしていた。
「やばい……おなか痛い……な、なんでいつもおちょくるんだろうね、花は。リサさんのあの顔……ぷくく!……まるで別人だよ!」
三人はさっそくじゃれ合うのだった。
だが、タクがすでに、はじまりの都にいるとは、このときはまだ知らないのだった。
第六十七話 完
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
タクの「NPC説」で自分を正当化しようとする姿、少し可哀想ですが笑ってしまいますね。一方、リサのハイキックを華麗(?)にかわすハナの余裕と、リサの怒りのコントラストもこの作品ならではの面白さです。
ついにタクとはじまりの都で鉢合わせてしまった三人。ここからどう事態が転がるのか……次回も見逃せません!
【応援のお願い】
物語の続きが気になったり、リサの恋(?)を応援したくなったりした方は、ぜひページ下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして評価いただけると大変励みになります!ブックマークやコメントもお待ちしております。
【別作品のお知らせ】
もう一つの作品、SFバトルファンタジー**『Ultimate Wars ー 才能なしの人生だった俺、宇宙の危機で人類の切り札になる ー』**も展開中です!
こちらの作品でも、知略を尽くした熱いバトルを描いており、現在コンテストにも挑戦しています。本作とはまた違った刺激を楽しめるかと思いますので、ぜひあわせてご覧ください!
▼『Ultimate Wars』はこちら
https://ncode.syosetu.com/N6980LM/
これからもよろしくお願いいたします。




