第六十六話 鉢合わせ
日常の裏側で、運命の歯車が静かに、しかし確実に噛み合い始めます。
大切な人への想いや、それぞれの抱える事情が交錯する中、物語は新たな局面へと突入します。
平穏な時間のすぐ側に潜む「予兆」が、形となって現れる瞬間をお見逃しなく。
週末。
「ふう。午前中の勉強も終わりっと。午後からはバイトだ。
バイト終わりに、少しだけみんなに会おうかなぁ。
あれから、マネージャーさんからも連絡もないし、もちろん花さんからも連絡なし……ランスは時々、『勉強頑張ってね』とか応援メッセージくれるんだけど……」
「おや?どうしたんだい?しっかり食べな。
彼氏と喧嘩でもしたかい?」
「だ、か、ら、彼氏じゃないって、おばあちゃん!
けど、もう少し連絡とかくれてもいいのになぁって……」
「どこでなにしてる人か、わかんないんだろ?
なら、向こうにも生活があるんだ。そんな暇じゃないってことさ。
そんなに気になるなら、あんたから連絡したらいいじゃないか。」
「うん……そう思って、さっきメッセージ送ったよ。『今日、バイト終わったらちょっと会わない?』
って。そしたら……」
携帯を祖母に見せる。
「どれどれ……………あっひゃっひゃっひゃー!
先は長いねえ!」
『ああ、いいぞ。何か用事か?
その代わり、憂さ晴らしの後でな。』
「あ〜、お腹いたい、何か用事か?って、あんた、全然恋愛対象にみられてないじゃないか!
身内がいうのもなんだが、あんた、割と別嬪な方だと思うけどねえ、それでこの反応かい。
全然照れてる感じも無さそうだね、あ〜、なかなか笑わせてくれるよ、この男は。」
そして、ランスの方の文面も見せる。
『久しぶりリサ!うん!もちろん大丈夫だよ!
もしかして、何か動きがあった?
心配だから、またきたときに教えてね!』
「ふむ……この子はとても純粋そうじゃないか。
この子はダメなのかい?」
「うん、とてもいい子だよ。けど、恋愛感情が湧かないというか……不思議だよね、アバターは青年なのに、雰囲気っていうのかなあ、なんだか、とても幼く感じるんだよね〜。」
「この、花って子も、そうなんじゃないかい?
実は、あんたよりだいぶ歳上で、あんたのこと、そんな対象としてみられてない可能性もあるってことさ。」
「え?!だって、あの見た目で……??」
祖母が立ち上がり、なにやらポーズをとっている。
「………そうか、"実年齢より若く見える場合もあるぞ"って言いたいのね、おばあちゃん。」
祖母は、ポーズを決めたままグッドのサインを出す。
「なんだい、その顔は?失礼だねえ。あたしも本気出せば、まだまだ捨てたもんじゃないよ?
あんたの大学の、オープンキャンパスには、保護者として行くからね。まあ、みてな…」
「え!おばあちゃんきてくれるの?!
ありがとう‼︎」
「当たり前じゃないか!変な虫が寄ってきたら大変だからねえ、アッハッハ!」
◆
(空港か?第1エリアか……確か、ここはベテラン勢が来るところっつったか?
まあ、今の俺の装備なら、誰でも蹴散らせるだろう。)
◆
「よし、あれから色々アイテムも取れたぞ。
コモンめ。スコープがあるなら、早く言えっての。」
「まあまあ、落ち着きなよ、本来はこっちが説明を読まないといけないんだから。
花は面倒くさがりなんだよ。」
「ま!これで、今からスキル取りにいける!」
「待って、鍛冶スキルは、集めたものを合成させなきゃいけないよ?ほら、ここにかいてあるでしょう?
合成ルームみたいなのがあるはずだから、行ってくるといいよ。」
「な?!まだやることあるのか。面倒くせえなあ。サンキューランス!ちょっくら、行ってくるわ〜」
(ぜ、全然緊張感無いなあ。こうしてる間にも、タクはもう侵入してきてる可能性だってあるのに……)
花はスキップするようにカレッジ内を走り回る。
その姿を、困り顔で見つめるランス。
(でも、なんというか。花といると、楽しいんだよなあ。なんか、ワクワクするというか。)
◆
(ここが、第1フロア、はじまりの都か。
なかなか綺麗な場所だな。
ポツポツ人もいる。やはり、思ったより少ねえ。)
はじまりの都の中をタクはうろつく。
装備を整えるため、初めにガイドをつけることにした。
「あの、ガイド、頼めますか?」
「はい!新規の方ですね?ご案内致します!」
(え!!)
タクは目を見開く。拳を握り、ガタガタ震え出したのだった。
彼の身に、はたしてなにがあったのか。
◆
「おっせえなあ、どこで油売ってるんだ?リサのやつは。」
「きっと仕事が長引いてるんだよ。」
「お前は良いやつだな。リサは、何か報告か?
そうだ、沖縄でどんな水着着るか、聞いとかねえとな、なあランス?」
「な?!ぼ、僕は別に聞かないよ!そんな変なこと質問したら、嫌われるよ!」
「かっかっかっ!まあ、普通はそうだな。
けどまあ、気になることは、会えるうちに聞いとけよ?
なんでもそうさ、後になって後悔しても、元には戻れねえからな。」
「は、花?」
(また、意味深な……僕に、大事なことを伝えようと……)
「そう……水着も、パンツの柄もだ。気になることは聞いておけよ?かっかっかっ!」
(ぜ、前言撤回ーーー‼︎)
第六十六話 完
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
リサとお祖母様のやり取り、親族だからこその容赦ない突っ込みが面白い回でしたね。ハナの「用事か? 憂さ晴らしの後でな」という無自覚な塩対応には、リサと一緒に天を仰ぎたくなります。
そしてラスト、タクが何を見てあそこまで震え出したのか……物語がいよいよ急展開を迎えそうです!
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物語の続きが気になったり、リサの恋(?)を応援したくなったりした方は、ぜひページ下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして評価いただけると大変励みになります!ブックマークやコメントもお待ちしております。
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