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Another Life 〜現実が詰んだので、フルダイブVRで人生やり直します〜  作者: hanaXIII


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第五十七話 そばにあるもの

この回は「言葉にできない弱さ」と「そばにいる意味」を描いた回です。

派手なバトルはありませんが、心が一番大きく動きます。

きっと誰しも、一度は「頼っていいのかわからなかった夜」を思い出すはず。

今回は、そんな“そばにあるもの”のお話です

--16年前。

(ああ……熱が下がらねえ。寒気、吐き気、頭痛。解熱剤飲んでも再発する。念のため親にメッセージしたが……誰も助けにこねえな。

携帯見てみよう。)

『みんな自分でなんとかしてます。頼らないでください。』

(だから、その"みんな"って誰だっつーの、毎度毎度……。ああ、クソみてぇだな。人がこんな状態なのに……。友達も仕事で頼れねぇ。

俺、このまま……重症……後遺症?……いや、そもそも助かるのか?原因不明の熱……しょうがねえよ。これが俺の人生だ………)

ガク。

翌日まで、気を失っていた。

祖母から電話だ。

「あんたどこにおる?おかあさん、場所も教えてくれんし、探せんのよぉ。ごめんねぇ。」

(ああ………俺、生きてた……まだ俺のこと心配してくれる家族。いたんだな。)




花は昔を思い出していた。

兄妹、母方従兄弟、父方従姉妹、皆勉強ができてスポーツ万能。

花だけが落ちこぼれ。何をやっても人よりできない。差別され続けた。

そんな中、祖父母だけは、平等に扱ってくれた。

そして、友達という仲間にも出会えた。

森を走り抜け、ふと目尻が熱くなる。


カレッジ内のセーブポイントに、リサは座り込んでいた。下を向いて泣いている。


「リサ!!!」

リサは顔を上げる。顔はもうぐしゃぐしゃだ。

花はすぐに駆け寄り、リサを支える。

「ひとまず転移だ!」


シュン!


教会裏のセーブポイントへ転移した。

夜のライトアップされた花畑と、風に舞う花びらが見える。

花は転移した後もリサを支えて、自分の胸にリサを包み込む。

背中をさすりながら、時折りぽんぽんと優しくたたく。

「リサ……焦らなくていい。何があったか、話してくれるか?」

リサは呼吸もままならないまま、泣いている。


「わたし……」

リサがかすかな声で言葉を発した。

花は黙って傾聴する。


「……お父さん…お母さん…離婚したんだ…わたしが…アイドル目指すの辞めたから…喧嘩しちゃった……」

(な?!なんだと?いやいや、医学部だぞ?なんでそうなるんだよ!)


「お母さん…わたしのこと…もういらないって…お父さんも…仕事が出来なくなるまで追い詰められたって…わたしのせいだ。」

(おいおい、リサの母親、やばすぎだろ……うちオカンもそうだが……なんで子供が思い通りになると思い込んでんだ?……クソみてえだ。)


「わたし……もう人に迷惑かけたくない……いなくなりたい…おばあちゃんにも迷惑かけてる…わたしのことで喧嘩して……わたしがいなくなれば……」

花は言葉を遮った。


「リサ!……ダメだ。……言うな。

それは言っちゃダメだ。……ダメなんだ。」

「けど……わたしがいるせいで……みんなが不幸になっちゃう」


「"みんな"って誰だよ……」

花はリサをグッと引き寄せる。

「その"みんな"に、俺も入ってんのか?ランスは?それに、友達は?……浮かべてみろ」


………………

リサは沈黙しながら、肩を震わせている。

「そうだろ?……リサ……お前の周りには、こんなにたくさんいるじゃないか……忘れたのか?」


リサは花の胸の中で首を横に振る。


「みんなが……少なくとも、俺はリサを慕ってる。嘘じゃない。

こんなに全力で走ったのは、もう何年ぶりだろうな……早くリサに会わなきゃって、少しテンパったんだぞ?」

花は、リサの頭を撫でながら、少し冗談ぽく笑ってみせる。


リサはゆっくりと、密着していた身体を離して花を見る。


「お。やっと顔が見えた。せっかくの美人が台無しじゃねえか?」

花はまた、リサの頭をクシャッと撫でる。


「ありがとう……花さん……もう、どうしていいかわからなくて……胸が張り裂けそうだったの……そしたら……花さんが言ってくれたことが、頭に降ってきて……気づいたら、助けを求めてた……ごめんなさい。」


「謝らなくていい。それでいいんだ!

頼ればいいんだ。そのために、俺はいるんだ。

ゲームの世界だろうと、俺たちは仲間だろ?」


リサは、涙を拭って笑顔になる。

「うん!」

(そうそう、これこれ……この笑顔だよ……俺には眩しすぎるこの笑顔。

良かった……この笑顔が戻って、本当に良かった……闇に落ちるのは俺だけでいい。)


「数時間ぶりだけど、おかえり、リサ」


「うん!ただいま花さん……数時間ぶりだけど。」


ぷっ。


二人は向かい合ったまま笑い合うのだった。


「お!見てみ?夜景が凄いぞ!」

二人は立ち上がり、階段のある踊り場へ歩いて行く。

「うわあ、すごい……!ねえ……花さん」


「ん?」


ガバッ!

(おお?!なんだ?!)

リサは花に抱きつく。少しのけぞったが、花はしっかり受け止める。


ぎゅうー!

(なんだなんだ?!)


「んんん!たくさん、ぎゅうってするんだからー!もう我慢しないー!」

「い、いででで!つ、強え!強えって!リサさんー!?」

「気が済むまで、こうしてたいなあ!ね、いいでしょ?

今、わたしこうしていたいの!

言いたいこと、言っていいんだよね?!」


「ぷっ。………ああ、かまわん。

辛かったろ……よく頑張ったな。」

「…….うん。辛かった。」


「前、向けそうか?」

「……うん。花さんのおかげだよ……本当にありがとう。……わたし、まだ自分の価値とか、存在とか、よくわからないんだ……けど……こうして頼れる仲間がいる。

今はそれだけで、安心できる。」


「そうさ。少しずつでいいんだ。

人の存在価値なんか、誰も決められない。親ですらな。

だから…これからリサが、どう悔いなく歩むかだぞ…………後悔しないように……な。」


「…….うん。……花さん?」

「ん?」

「これからも……一緒に冒険しようね。」

「もちろんだ。みんなついてるぞ。」


リサは、ほんの少しだけ、ぎゅっと花に抱きつく。

「これからも。よろしくね、花さん」

「ああ。」


夜景が照らす景色は神々しく、まるで、これからの未来が明るくなるかのようだった。

光の中、リサは新たに、そして、強く、悔いなく生きていくことを決意したのだった。


第五十七話 完

最後までお読みいただきありがとうございます!

ハナさんの全力疾走が間に合って、本当によかった……!リサさんの「我慢しないぎゅう」に、読んでいるこちらも救われる思いでした。

家族の形が壊れても、自分で選んだ「仲間」という新しい家族がハナたちにはあります。

物語の続きが気になる!と思ってくださった方は、ぜひブックマーク登録や下の評価欄から**ポイント評価(☆☆☆☆☆)で応援をお願いします!

皆様の感想やコメントも、一文字ずつ大切に読ませていただいております。

ただいま本作品はコンテストに応募中ですので、皆様の応援がこの物語の未来を照らす大きな力になります!

また、もう一つの作品『Ultimate Wars ー 才能なしの人生だった俺、宇宙の危機で人類の切り札になる ー』**も絶賛更新中です!

宇宙の危機に立ち向かう、もう一つの熱い絆の物語もぜひ併せてチェックしてみてください!

これからも応援よろしくお願いします!

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