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Another Life 〜現実が詰んだので、フルダイブVRで人生やり直します〜  作者: hanaXIII


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第五十六話  必要

聞こえてしまった、母親の冷酷な本音。

自分が「いらない存在」だと感じ、闇に沈みゆくリサ。

絶望の淵で彼女が最後に助けを求めたのは、あの不器用で、誰よりも温かい「仲間」でした。

「よし!今日の勉強も終わり!お風呂入ってこようー!」

あれからリサは祖母の家で暮らし続けている。先日親の離婚があったばかりだが、祖母は変わらず何事もなかったかのように世話してくれていた。

祖父は随分前に他界。父方の方は反対に祖母が他界しており、お互いに一人のため、定期的に父方の田舎には旅行に行っていた。

その交流がとても楽しく、温泉での出来事はリサの中で良い思い出になっていた。

そう…医者を志すきっかけとなったのだった。



入浴を済ませて階段を上がろうとしたとき、祖母の部屋から声が聞こえた。

何やら揉めている様子だ。

祖母は少しだけ耳が遠いため、いつも通話はスピーカーにしている。

「なんだい?早くしとくれ!風呂からでちまうよ。」

スピーカーの声はリサには聞き取りづらいが、大まかには聞こえてくる。リサは耳が良いため、大声の時はスピーカーの声も聞き取れてしまう。

「だから、何度も言わせないで、わたしは学費を全額払うつもりはないわ。せいぜい2年分だけ……それ以降は計算外よ。」

「それをしっかり働いて返すんだよ!それが親だ!」

「もう疲れたの……あの人もメンタル弱いし、なのに、あの子ったら……言い出したら聞かない……もう何もかも嫌になったの。」

「そんな子供みたいなこと、許さないよ。しっかり働いて、卒業するまでは責任を取りな!」

「何言ってるの?あの子が勝手に自分の進路を決めたんでしょ?!なら、自分でなんとかすれば良いわ‼︎合意できないことには付き合えない!ああもう!

こんなことならはじめから……わざわざ結婚して子供なんて……」

すかさず祖母が割って入る。

「あんた‼︎それ以上は許さないよ‼︎なんてこと言おうとしたんだい‼︎」

「………これが、わたしの本音だから!……もうわたしにかまわないで!さようなら」

「ちょっと!まちな!」

ツーツー。

電話は一方的に切られていた。


リサは廊下の真ん中で、立ち止まった。

何かを言おうとして、息だけが喉に引っかかる。

膝に力が入らず、手すりに指先を引っかけたまま動けなかった。

視界の端が、じわりと滲んだ。


そのまま階段を駆け上がり、部屋の電気もつけずに布団にくるまった。

外に声が漏れないように、布団の中で大声で泣いた。

涙は止まらなかった。

(わたし……家族にとって……いらない存在なんだ……いらないんだ……もう……無理だよぉ……苦しいよぉ……誰か……助けて……‼︎)

泣きながら心の中で助けを求めた。

ふと、リサの頭の中に言葉が浮かんだ。


『もし何か力になる事があったら--』


『勉強頑張れよ--』


『ありがとうな、リサ!』


『何かあったら連絡くれ--』


『俺たちは仲間なんだ、遠慮はいらんからな--』


無作為に花の言葉が降ってくる。

どれも、リサにとっては心に残る温かい言葉だ。

(花さん……)


ピッ



ザシュザシュザシュ‼︎

「ハッハー!このペイントの奴らをかき分けながら、特定のモンスターだけを狙う!なんてやりがいのある憂さ晴らしなんだー!

……ん!?な、なんだこの音は?!地震の警告アラームか?!……いや違う……コール?通話か?……そんな機能あったのか……とりあえず……よし……リサ?」


ピッ。モニター画面を押す。


「おう。勉強はどうした?……おい……どうしたんだ?」

気がつくと、リサは花に通信していた。

「花さん……わたし……ちょっと疲れちゃった……わたし……」

キキャー!

「邪魔だー!」  ザシュ!

「そう……わたしは家族の中で、邪魔なんだ……」

「いや!ちがーう‼︎敵だ!敵がいたんだ!」

「みんなの……家族の敵は、わたし……」

「だ、か、ら、ちがーう!

今どこだ?!」

「布団の中だよ……」

「な?!なにぃ!?お、お前ついに……じゃなくて!大丈夫なんか?

今すぐこっち来れるのか?!」

(く!敵が多すぎる!ええい!全部避けろ!当たらなければ、どうと言うことはない!というやつだ!)

「わたしは……みんなにとって、必要ないんだ…」

「ああ?!んなわけねえだろー!

とにかく!来れんのか?来れねえのか?!」

キキャー!ヒョイ!スカ!スカ!


「行っていいの?……わたしだよ?」

「来れんだな!?なら、今すぐこっち来い!ログインしたらそこで待ってろ!!

今すぐそっちに行ってやる!!」


ピッ!花は通信を切った。

シャ!大剣へチェンジ。

「どりゃあー!!」  ブォン!!!!


ズバーーーン!!


「ふう。やっと蹴散らせた

よし!急いでカレッジへ戻ろう!

本気出すぞ。」


ドン!!!! 地面が抉れるほどの力で地面を蹴る。

かつてないほどの速度。

花は、性格上本気を出すことはない。

人生もそう。絶望してから本気で生きてない。


だが……今、花は確かに本気でリサの元へ走っている。

リサが花を動かしたのだった。


「おとなしく待ってろよ!リサーー‼︎」


第五十六話 完




最後までお読みいただきありがとうございます!

リサさんの絶望と、ハナさんの本気。通信越しの噛み合わないやり取りに、ハナさんの必死さが滲み出ていて胸が熱くなりました。

「人生で本気を出してこなかった」ハナさんが、リサのために大地を抉って走る。この瞬間のハナさんは、間違いなく世界で一番かっこいい戦士です!

物語の続きが気になる!と思ってくださった方は、ぜひブックマーク登録や下の評価欄から**ポイント評価(☆☆☆☆☆)で応援をお願いします!

皆様の感想やコメントも、一文字ずつ大切に読ませていただいております。

ただいま本作品はコンテストに応募中ですので、皆様の応援がこの物語を支える大きな力になります!

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これからも応援よろしくお願いします!

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