第五十一話 それぞれの目的
今回のお話は、
それぞれが「これから何を目的に生きるのか」を
静かに選び取っていく回です。
少し重たい場面もありますが、
誰かを悪者にするための話ではありません。
選択の先にあるものを、
一緒に見届けていただけたら嬉しいです。
ピンポーン。誰かが訪ねてきた。
「リナ?ちょっと降りてきてくれる?話があるの。」
皆が揃っている。
「リナ、わたしとお父さん、離婚することになったから。」
「え!お父さん?!お母さん?!」
そこに父親の姿はない。
父親は精神的な理由で仕事を辞め、実家に戻って療養しながら、復職を目指していた。
隣にいた祖母が口を開く。
「ほんとに勝手な子だよ。
あんたは昔から自分が一番。
みんなを巻き込んでやりたいようにする。
旦那さんは優しい人だったのに、あんたがダメにしたんだ。
リナに対してだってそうさ。リナの意思を無視してアイドルにするなんて言って。嫌々やらせて結局は旦那のせいにして。」
リナの母は、しばらく黙っている。
「ひとまずリナはここでわたしと暮らすから、あんたは、自分の人生を見つめ直しなさい。
ちゃんと学費の工面はするんだよ?」
リナの母親が口を開く。
「医学部に行くなんて、聞いてなかったわ。
全ての学費を今から工面するなんて、私一人でなんて無理よ。」
「いい加減にしな!親として責任を持ちなさい!
自分のさせたいことにだけ協力して、意にそぐわないことは放棄だって?!
そんなことはわたしが許さないよ!
旦那だって今治療で再就職目指してる頑張ってるんだ!
あんたの身勝手で迷惑かけた人たちの分も、しっかり頑張るんだよ!」
祖母の剣幕に押されて、母親はその後去っていった。
「おかあさんのことは気にすることはない。嫌な思いさせてしまったねえ……けど、あの子にはきちんとケジメをつけさせたかったのさ……
ああは言ったが、学費のことはばあちゃんがついとる。
なにも気にせず、医者になることだけを目的に、頑張るんだよ?」
「うん、ありがとう、おばあちゃん。」
リナの祖母は静かにリナを抱き寄せた。
(お父さん、お母さん、ごめんね……わたしのせいで。
学費………わたしも、おんぶに抱っこじゃダメ。自分の人生なんだから……少しでも自分でなんとかしなくちゃ………もう一つ、目的が出来ちゃったなぁ。
花さん…ランス…なんて言うかなあ……こんなわたしと一緒にいたら、みんな疲れちゃうかもしれないなあ……)
◆
「う……うーん……あ!すみません。わたし。」
受付嬢が目を覚ました。
「無事で良かったです。あの。あなたはプレイヤーですか?」
「いえ、わたしはNPCです。本来ならそのような質問にはお答えできないのですが、受付や主軸となるキャラクターには高度なAIが搭載されており、プレイヤーを支える役割もあるのです。
ところで………この状況を簡単に説明していただけますか?」
花は簡単に説明した。
すると、受付嬢は驚いていた。
「で、弟子入りしたんですね、彼に。」
「まあ、癖強かったけど、悪い人じゃなさそうだし、俺の目的と合いそうだから、色々教えてもらうことにした。
まずは、カレッジで鍛冶スキルを取らなきゃならないから、今からここを出て、戻ることにするよ。
今日は案内ありがとう。」
そう言って、花は村を飛び出して走り出す。
◆
「はい。バイタルは安定しています。それじゃあ。」
シャ。カーテンが閉まる。
……………
(明日はついに本格的にスキル習得を目的に動いていくぞ。
リサは、まずはサーチ系を取るべきだ。
今のレベルでは高位のスキルは無理だ。せめて戦闘しているところがわかるものだけでも取らないと。
後は僕だ……今はクリティカルガードしか無い。カウンター系にするか、それともガードを極めるか……いやまてよ……花のスキルクリエイションは、そもそもカレッジで手に入るものなのか?
もし手に入るなら、花と戦闘実践を繰り返して、自分だけのスキルを獲得するのも手だ。
自分のスキルと、カレッジで得たスキルを組み合わせることだって可能になる。
よし。
明日カレッジで調べてみるか。)
それぞれの目的を胸に、また、ALOで再会の時を待つ。
第五十一話 完
リナの決意、ハナの修行、そしてランスの分析。それぞれの目的が一つに重なる時、物語は大きく動き出します。
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