第四十二話 ソードスキル
ソードスキル――
それは、この世界で戦う者なら誰もが知っている、基本中の基本。
だが、もし。
その「当たり前」を知らないまま、最前線を駆け抜けてきた男がいたとしたら?
無自覚の異常。
そして、本人だけが気づいていない“強さ”。
今回は、花の非常識が、また一つ明らかになります。
ランスは驚いて、花の画面を一部読み上げる。
「スキルクリエイション………オートで技を反復して繰り出すことで、独自の技として記憶することができる。
な、なんだこれは……初めて見たスキルだ。
「俺は効率よく狩ってたからな。自然に同じ動きが多かったのかもな。」
「いや、だからといって、このユニークスキルは自然に習得できるものなんだろうか……リサさんは何か知ってますか?」
「んー、わたしはアルバイトの身分だからねえ、そこまで詳しくは設定知らないんだ〜」
「え!?リサさん、スタッフだったの?!知らなかったー!」
「あ、ごめん!言ってなかったね!そう!はじまりの都の受付嬢です〜」
「まあなんだ、あれじゃねえか?ジョブも設定してないノーマルアバターだから、とか?
弱いアバターも使い続けると何らかのメリットがあるような?……知らんけど。」
「けど、その可能性はあるかもしれない。
前作ではそこそこやったんだけど、ノーマルアバターのまま進めてた人はいなかったし、ある程度のジョブや、ソードスキルはみんな極めてたから、ほとんど知らないものは無かったんだけど………大型アップデートで、追加事項も多かったのかもしれない。」
「よくわかんねえけど、これからはこのソードスキルを使いこなせば良いってことだな?そして、大学で習得したスキルもこうやって使うと……なかなか便利な機能だな!」
「むしろ、今まで知らなかった方がすごいけどね。5年前からのうさ晴らし、ずっとオートで動いてたってことか……だからあんな動きができるのか。一つ勉強になった。
僕には使えないけど、ソードスキルに頼らず自分で工夫することも大事ってことだね。
また一つ、欲しいスキルが見つかったよ、ありがとう、花!」
「ふふん。役に立って良かった良かった!」
「よくわかってなかったのに、このドヤ顔だよ〜」
「結果オーライだ、何事もな。そして、何もやらんことには何も起こらん。ということだ。
ランス、お前は強い。だが、まだまだ可能性は満ち溢れている。
ゲームも人生もな!」
花はニカっと笑う。
「う、うん!そうだね……まったく、その通りだよ。」
(花はいつも核心をつくことを言う。まるで僕のこと知ってるみたいに……いや……きっと、いろんな努力や辛いことを経験してきたのかもしれない……なにか、親近感があるんだよな)
「花、良ければたまに、僕と模擬戦をやってくれないか?もしくは、その……うさ晴らしに同行してもいいかな?」
「おう。俺の予定が合う時はいつでもかまわんぞ。」
「あ!わたしも混ぜてー!」
「良いが、リサはまず自分のことが最優先だからな?」
「うっ!わかってるよぉー!
けど、そのためにも強くならなきゃ……自分の身は自分で守れるように……」
リサは少し俯く。
「あ、あの。正式な仲間になったので……僕も、事情を聞いても大丈夫でしょうか?
何か力になれることがあるかもしれないので。」
「そうだな、そろそろ話してもいいころだな。
スキルとかも含めて、ランスにもアドバイスをもらえるかもしれないからな。」
花は大まかな内容をランスに話した。
「なるほど……つまり、仕事で会えなくなったので、こっちで繋がりを持とうということですね?」
リサは頷く。
「あと一ヶ月程度で、この世界に来ると見た方が良いね。
そのマネージャーさんにコンタクトは取れるのかな?」
「俺もそれは考えた。できる限り詳細を伝えてもらう方がいいんじゃねえか?」
「うん。何かあればすぐ連絡して欲しいって言われてるから、それは大丈夫。
じゃあ、こっちに来そうなタイミングで、こっそり教えてもらうようにするね!」
「ああ、それがいい。タイミングさえ分かればやりようがある。
後は、どうやって撃退するか。だな。」
「あんまりプレイヤーを追い詰めるのはしたくないんだけど、今回は仕方ないね。リサさんのレベル値も低いし、今は本当はきてほしくないんだけど。
出来たらコンタクト取る前に、何らかの方法でゲームから一旦退いてもらうのがベストかなあ。」
「そんな都合よく引き下がるか?相手はストーカー野郎だぞ?」
「確かに……例えPKしたとしても相手は金持ち。何とか課金してまたログインしてくるね。」
「ん?PKされると……課金?」
………………
「ま、また?花、いったいチュートリアルで何を聞いてたの?」
「ああ、面倒だからほとんどスキップだ。その都度教えてもらう方が良いと思ってな。」
「ご、ごめん!わたしがきちんと説明してなかったから!」
「い、いえ!リサさんのせいと言ってるわけじゃ!」
ランスはあたふたしている。
「じゃあ、その辺も教えてくれよ。ランス。」
ランスは深いため息をつきながらも、真剣な表情になるのだった。
第四十二話 完
最後まで読んでいただきありがとうございました。
花の強さの根源が「五年間の反復」にあったことが判明した四十二話。ランスとの模擬戦の約束や、リサの正体発覚など、パーティーとしてのまとまりが強まってきました。しかし、話題はついに不穏な「ストーカー対策」へ。ゲームのルールを知らない花が、どうやってリサを守るのか。次回のシステム解説編も重要になります!
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今後とも hanaXIII をよろしくお願いいたします。




