第三十九話 かんぱい
激動の試験が幕を閉じ、新たな門出の時。
不器用な言葉の裏に隠された、それぞれの「願い」が形になります。
一人では見ることのできなかった景色、一人では届かなかった音。
三人の歩みが重なる時、物語はより深く、温かな色を帯びていきます。
試験を終えて、ランスロットが出てくる。
結果は、筆記試験も合わせてもちろん合格だ。
試験受講者の中では主席のため、入学金は免除となる。
「そらよっ、受け取れ、ランス!」
「わっ、とと。あ、ありがとう。」
「お疲れ様、ランス!すっごく強かったね!」
ランスは照れながら答える。
「あ、ありがとう。けど、最後に出てきた仮面の……あれは強かった。前作でもあんなの見たことない……動きがでたらめだ。ソードスキルの繋ぎ目も読めなかった。勝負というなら、僕の完敗だ」
(ん?ソードスキル?まあ、いっか。)
「それだよー!花さんも見れたら良かったのにね!とんでもなくヤバいやつだったんだからー!」
「花は、仮面の男、見れなかったの?」
「ん?お、おう、ちょっとトイレにな!あと、それ買いに!」
「トイレの後に?………買ったの?コレを?」
リサは指先で摘むようにジュースを持つ。
「ちゃんと手は洗ってあるから大丈夫だっつーの!」
「あははは、仕返しだよ〜!」
「ったく。まあ、何はともあれ、ランス、合格おめでとう!そして、友達になろう!」
「友達になろう〜、乾杯〜!」
「あ、ありがとう!」
こうして三人は友達になった。
(まずはランスのペースも見てやらんといかんな。ま、友達からがちょうどいいかもな。焦って仲間になれなんて言ったら……)
「あの、この場でもう一つお願いがあるのですが……その……友達になったので……もし迷惑じゃなかったら……な、仲間に入れてもらえませんか?
まだ前作を解散してから誰とも交流してなくて……ずっと仲間を探していたんです。……ダメでしょうか?」
花とリサは顔を合わせて目を見開く。
「おおお!まさかランスの方から誘ってくれるとはな!良いよな、リサ?!」
「うん!ベテランっぽいし、強かったから、さすがに仲間に誘うのは悪いなあって思ってたんだー!ありがとうランス!」
そう言って、リサはランスにハグをする。
ランスは顔を真っ赤にしてあたふたしている。
(あわわわ!か、可愛いー!)
(ぷー!タコみてえに赤くなってやがる!
まあ、ガキじゃなくてもリサにハグされたら、普通はこうなるわな。その気持ちは共感するぜ。)
「じゃあ、仲間の記念を祝して、ランス、お前が音頭取れ!」
「え、音頭ってなんですか??」
「ったくしゃーねーな!よーくみてろよ?
じゃあ、リサ!頼めるか?」
「らじゃ〜!………コホン!
この度は、ランスの合格と、友達になった記念!そして、見事にみんなが仲間になりましたー!
とても素晴らしい日です!
なので、そのお祝いをこめて、乾杯したいと思います!
では、皆さん準備はよろしいですか〜?」
花とリサはジュースを構える。
それをみてランスも真似して構える。
「三人の門出を祝して!乾杯ー!!」
「乾杯ーーー!!」
三人は持っていたジュースを当て合う。
グラスとまではいかないが、その音は、思った以上にくっきりと耳に残った。
(こ、これが音頭!前のギルドじゃこんなのなかった!………な、なんか楽しい!僕の好きな漫画も、仲間が入ったら宴をしてた……そっか、仲間になるって、こういうことか。
そして、大学……なんか、いいなあ……僕も、そのうち大学、行けるかなあ。)
「なーに、しんみりしてんだ、ランス!
お前には色々教えてもらわないといけないことが、山のようにあるんだ!よろしく頼むぜ!」
「そだよー!たくさん遊ぼうね!ランス!」
「うん!僕に出来ることなら、何でも協力するよ!」
(頼もしい仲間がさっそく出来た。
仲間か……たしかに現実の方にも仲間はいる……とても良い奴らだ。未だに助けられてばっかだ。いつも俺がヤバい時、声かけてくれるもんなあ。
ただ……私生活の人生だけは、もうどうにも出来ねえ。あいつらに支えてもらいながら、上手く乗り越えていくしかねえんだよな。………やっぱり、現実もゲームも、仲間は大切だ。ということだな。)
ゲーム時間での、午後2時から合格者へのオリエンテーションが行われる。
三人は一旦、現実へログアウトして、また時間になったら、ここで落ち合うこととなった。
「そんじゃ、また後でなー!」
「またね〜!」
シュン、シュン!
セーブポイントから二人はログアウトしていった。
(本当に、気持ちの良い人たちだ。……時々漫才みたいに面白いし。
何だか、この人たちとパーティを組むことで、とても前向きになれそうな気がするな。
こんな出会いがあるんなら、もう少し、頑張ってみようかな。)
シュン!
こうして三人は無事に仲間になった。
◆
花は自分の書斎で目を覚まし、簡易ベッドから起き上がる。
「ふう。なんとかバレてねえ。けど、ランス。めっちゃ強かったなあ。あんだけうさ晴らししていろんな攻撃パターンやってみたが、全部弾かれちまった。まあ、威力は手加減したけど、実力はさすがだ。
さて、ラーメンでも食いにいくとするか!
子供の顔見れないのは寂しいが、その分、ストレスの根元は居ねえ。
今日からしばらく、フリーだぜ!」
第三十九話 完
最後まで読んでいただきありがとうございました。
「仲間になる」ということの重みと喜び。ハナ、リサ、ランスの三人が、初めて同じ音を響かせた乾杯のシーンは、作者としても思い入れの深い場面となりました。現実の厳しさを知るハナだからこそ、ゲームの中の絆がより一層輝いて見えます。
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