第三十八話 結果
過去に縛られた少女の葛藤と、大人びた少年との懐かしい約束。
交錯する思い出を胸に、舞台は熱狂の実技試験へと移ります。
静かな決意を秘めて戦いに挑む者と、それを見守る者。
その視線の先で、誰もが予想しなかった「新たな火種」が弾けようとしていました。
「ちょっと!なんで名門私立なんか行くの?!
芸能コースがあるところにしなさい!?
その方が将来に繋がるから!」
「えっと……友達もいるし……近いから通いやすいなあって……」
「いけません!絶対に芸能コースのあるところにしなさい!」
「わ、わかったよ、お母さん。そんなに怒鳴らないで?
けど、もしも落ちたら恥ずかしいから、滑り止めを受けるのは……良いよね?」
「ええ、それなら問題ないわ。さすがに高校どこも行ってないのは世間体的にも良くないから。」
(世間体……わたしって、なんなんだろう。)
◆
「は?そんなの無視してやりゃあいいんだよ、親の言うことなんてなぁ。」
「けど、わたしを育ててくれた人だし……学費を出すのも親だし……」
「リナは真面目すぎるんだよ。ま、俺は自分で稼いで自分の好きなようにしてるから気持ちはよくわかんねえけど、リナはどうしたいの?」
「わ、わたしは、私立に進んで勉強したい……」
「は! なら、芸能コースの受験、わざと手を抜けばいいじゃん?」
「けど、そんなことしたら、もし行きたい私立も落ちちゃったら……」
「リナの覚悟って、そんなもんなの?
まあ心配すんな、そんときは俺が口きいて仕事振ってやるよ!
じゃ、撮影いってくるわぁ」
◆
『さあ!実技試験ももう後半!次はNo.56の出番です!相手はニ連勝している強者だー!』
「すげえな!実況までついてる!本当に観戦してるみてえだ!」
「臨場感あるよねー!なんかドキドキしてきたー!頑張れー!ランスー!」
大剣を振り下ろし、「ブォン!」という風を切る音。
体の前でドシっと構える。
(おお、なんか、かっけえなランス……サマになってる……構えか……なんか良いな。)
カン!
開始の合図が響き渡る。
『おーっと!No.53!さっそく襲いかかるー!この攻撃をどう避けるのかーー!?』
「……避ける?……そんな面倒なことしないよ。」
ランスは大剣の先を下に向け、受ける姿勢を取る。
ガキーーン!!
相手の攻撃が当たる。と、同時に相手は弾かれ、無防備になる。すかさずランスは大剣を振り抜き、相手の横っ腹へ薙ぎ払う。
ブン! ズドン!
「うぐ!ぐほあー!」
相手は飛ばされ場外へ落ちる。
ランスの勝ちだ。
『おおおお!これはすごいぞー!二連勝中の相手を一撃で吹き飛ばしたー!』
ワーーー‼︎
「すごい歓声!ランス、なかなかやるぅ!」
『さあ!お次はNo.57! おっと!またいきなり切り掛かった!!
あーーーっと!これもまた同じパターン!
No.56の勝利だーー!』
続く三回戦も、ランスはあっさり勝利し、合格の権利を獲得する。
しかし、ランスの連勝は止まらない。
『おおおお!これで十五連勝だーー!いつまで続くんだ、この連勝はーー!』
「す、すごいすごいー!!ランス、あんなに強かったなんて知らなかったーー!」
(こいつはやべえな、戦い慣れてる!ランスが仲間になりゃあ、百人力だぜ。)
『つ、ついに三十連勝ー!!どこまで続くんだー!誰が止めてくれー!』
(な、なんか、ゾクゾクしてきた。いかん、もう我慢できん!)
「リサ、ちょっと俺、トイレいってくる。ランスの応援は任せた。」
「え?!今?!……う、うん!わかった!いってらっしゃい!」
花はダッシュしてその場を去る。尋常じゃ無いスピードである場所に向かう。
(は、早い。よほど漏れそうだったんだね。
よし!ランスの応援はわたしが責任を持ってやるぞー!)
『おっと!もうこのブロックは参加者が居ないようですねー!では、以上で実技試験を…』
「ちょっと待ったーーーー!!」
(へ!もう我慢できないぜ!)
『おっとぉ?!まだ受験者がいたようですね!
では、開始してください!
えーっと、エントリーナンバーが無いですねえ。受付のミスでしょうか……まあ、とにかく開始ー!』
(?! この雰囲気とビリビリくる感じ、この相手はただものじゃ無い!威圧のスキルも持ってる!)
ドン‼︎ 地面を蹴る音と共に少し地面が抉れる。
(?!や、やばい!クリティカルでガードしなきゃ多分やられる!)
ガキーーン‼︎‼︎‼︎
(ぐっ!お、重い‼︎)
ズザザザザーーー‼︎‼︎
『おーーっと、No.56!初めて後退しましたーー!なんという一撃ーーー!素晴らしい攻撃です!仮面の男ー!!』
ワァーーーー‼︎
大歓声かわ巻き起こる。
他のブロックは人数が少なく、とっくに試験を終えて皆観戦フロアに集まってくる。
ガキン!ガン!ゴン!ズバババン!
(くっ!なんて重く早い攻撃なんだ!こんなプレイヤーがこの時点で存在するなんて!……けど、負けてられない!僕は、花とリサと、友達になるんだ‼︎‼︎)
「うおおお!」
ブォン!グォン!ブォン!
『す、すごい!No.56!なんという身のこなし!大剣を体全体で操り、素早い蓮撃を繰り出しているーーー!』
スカ!スカ!スッ!
(んな?!この距離で当たらない?!嘘でしょ?!)
「なかなかやるなー!じゃあこれはどうだー!」
トン!クルクル!ズバババ!
「う!はぁ!うお!ぐぬーー!」
(す、すごい乱撃だ!ガードするので精一杯だ!)
『おおお!今度は飛び込みながら回転斬りだー!す、すごい動きだー!仮面の男ー!』
「な、なにあれー!あんな強そうな人いたのー?!
花さんに観てほしいんだけど、いつまでトイレ行ってるのかなあ?!」
「ふふん、やるな。じゃあ、これはどうする?」
シャッ!
『おっと?!武器が大剣に変わったぞー!?両者、大剣同士の対決だー!』
(げ!大剣へチェンジ?!拡張収納持ちか!こ、こりゃあ手強いぞ。)
「よっし!じゃあ、この一撃、受けてみろ!」
『おっと!仮面の男!大剣を後ろに構えて、溜めのポーズだー!重い一撃を放つつもりかーー!?』
(ぐっ!な、なめるな!そんなわかりきった攻撃、クリティカルガードして防いでやる!)
『No.56も、ガードの構えだー!これは最後の一騎打ちとなるかーー?!』
ズドン!
仮面の男が地面を蹴り踏ん張る。
大剣を真横に振り抜くと、風圧がランス目掛けて飛んでいく。
ズドーーーーン‼︎‼︎
砂煙が舞い上がる。両者は見えない。
『ど、どうなったのかーー!?おっとー!
見えてきましたー!』
そこには、武舞台ギリギリで片膝をついて耐えているランスがいた。
『おーーっと!耐えているーーー!あの攻撃を受けて立っているーー!なんという防御力だーー!』
ワァーーーー‼︎‼︎
歓声が響き渡る。
カンカンー!
「そこまでーーー!こらーー!何勝手に入ってるんだー!」
「わ!ヤッベ!にっげろーー!」
「警備!捕まえろ!」
審判が仮面の男を捕まえようとする。
その時。
「やめい!!構わん!その男を逃がせ!わたしの差金だ!!」
?!
そこに副校長が現れて場をおさめる。
「ふ、副校長?!そ、そうでしたか。副校長の。よし!追わなくていい!これにて、試験終了ー!」
(ふう。とりあえず負けはしなかったぞ……
いったい誰だったんだ。あの仮面の男……)
「んもうー!おっそーーい!どんだけ大きいのだしてたのー?!」
「わりい!……てか、リサ……女の子なんだから、その、あんまり大きい声で言うな。ほれ。」
周囲はリサを見てクスクス笑っている。
リサの顔は真っ赤になり、その場にちょこんと座る。
「あ〜、また恥ずかしいよぉ、花さんのせいだからねー。」
花はリサの頭を、グシャっと撫でる。
「わりぃわりぃ!いやなあ、実はコレ買いに行ってたんだ。実は!」
果たして、仮面の男は誰だったのか。
何はともあれ。ランスは無事に?
試験合格!!
第三十八話 完
最後まで読んでいただきありがとうございました。
ハナの不器用な優しさと、若者たちの真っ直ぐな想いが交錯する回となりました。リサの天真爛漫なツッコミも相まって、この三人ならではの独特な空気感が形作られてきたように感じます。
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本作は現在、コンテストに参加しております。
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今後とも hanaXIII をよろしくお願いいたします。




