第三十六話 前作
第三十六話です。
今回は新キャラクター・ランスロットの登場回になります。
少し不思議で、どこか落ち着いた彼との出会いを、楽しんでいただけたら嬉しいです。
シャー。カーテンが開く。
「ヒアサさん。検温の時間ですよ。入りますね。」
看護師が定期の検温にやってくる。
「お!今日はきちんと待ってたねぇ。偉い!」
「僕ももう9歳になったからね。いつまでも赤ちゃんじゃないよ。」
「そうだったね、そっか。もう9歳になったのか。ん?どうしたの?なんか今日は表情が良いみたいね。」
「うん。面白いやつに出会ったんだ………」
「それは良かったねえ!はい!検温終わりです。ゲームの時は、マットレスの除圧ボタンはしっかり押しといてねー。」
ヒアサはすぐにボタンを押す。
「ありがとう。うん。今からすぐゲームする。なんか、楽しくなりそうなんだ。」
「ごゆっくりー。何かあったらすぐ呼んでねー、またくるからねー。」
◆
「というわけで、花はお金持ちなの。異常でしょ?ぷぷ」
青年は呆気に取られている。
「前作から………最初の森で、ジョブも設定しないで……憂さ晴らし………。」
(そ、そんなプレイヤーもいるんだなあ。ストーリー進めなくて、面白くなかったんじゃないかなあ?)
「ふん。笑いたければ笑うが良い。
うさ晴らしは大切だぞ。生きてたら理不尽なことや、ストレスは腐るほどあるからな。」
青年はニコリと笑う。
「うん。僕もそう思うよ。あなたの言う通りだ。
教えてくれてありがとう。
僕のプレイヤー名は、ランスロットです。話しかけたのに、自己紹介が遅れてすみませんでした。」
「おう。俺は花、こっちはリサ。よろしくな!
俺は前作プレイヤーだが、聞いての通り、ゲーム内容は一切やってないんだ。
ランスロットは前作プレイヤーなのか?」
「はい。一応前作プレイヤーです。」
「そっか〜、わからないことだらけだから、色々教えてね!」
ランスロットは赤くなる。
「ぼ、僕でよければ、もちろん。」
花はニヤリとする。
(いいね〜、初々しい。ほんとに若いかもな、こいつ)
「そういや、ランスロットって長えな。ランスでいいか?」
「はい、構いません。」
「俺たちのことも、呼び捨てでいいからな!よろしくな、ランス!」
(この二人、かなり面白いかも……。
前作のギルドも解散したし。しばらく花たちに関わろうかなー。キャラもフランクだし……可愛いし………。
それにしても異常だよ。
もしかして引き継ぎステータスも異常なのかな?
き、気になる。………いつ話しかけようかなあ。)
三人は受付の案内通りにゲートを通過する。
そこにはさらに広いフロアが現れる。
中央には電光掲示板がいくつも並ぶ。
「新入生は右の試験会場へ」
との文字が見える。
「ここが大学かー!キャンパスライフ送れそうだなあ!」
「花さんテンション高いね!そうだよね!楽しみにしてたもんね!」
「おうよ!あ〜、俺、大学に通える人生諦めてたから、一つ夢叶ったぜー。………それもこれも、リサがいたおかげだ………あ、ありがとうな。」
花はテンション上げてから、すぐに真面目な顔になる。
リサは顔を赤くする。
「そ、そんな、むしろわたしの事情に付き合わせてしまったから……けど、夢が叶って良かったね!」
「ふ、二人の冒険は何か訳ありなんですか?
その、事情って聞こえたので……」
「ん?おおすまんランス!つい感動してよ!勝手にテンション上げちまったなあ……」
花はリサをちらっと見る。
「リサ、どうする?ランスに話すか?」
「あ、いえ!何か重い理由があるなら無理には!僕も何もかもをあなた方にお話しできるわけではないので………!」
ランスはあたふたして気を遣っている。
「こういったことって、慎重に言った方が良いこともあります!………なので、まずは僕があなた方に信頼してもらえるようになることが先決だと思います。
どうでしょう?
今から僕は試験に向かいます。試験は、強さを測るものもあるそうです。なので……。
もし……無事に合格できたら、その時は皆さんと同じ大学生になれるので………その……あの………」
「どうしたの?ランス?」
(ん?急にモジモジしてどうしたんだ?)
「そ、その時は、僕と、友達になってくれませんか?!!」
二人は顔を見合わせてニヤリとする。
「ああ、いいぜ!」
「うん!わたしもランスと友達になりたい!」
「あ、ありがとう二人とも!
僕行ってくる!また後で!」
そう言って、ランスは、大剣を背中で揺らしながら走って試験場に向かう。
「ん?……あいつ、今、後でって言わなかったか?俺たちは違うのか?」
「確かに。わたしたちは入学金でパスしてるから、試験ってどうなるんだろ?」
………………
「ぷ!さっそくわからなくなったな!おもしれー!」
「だねー!じゃあ、その辺のそれっぽい人たちに声かけて聞いてみよう〜!なんかRPGみたいだね〜!」
こうして二人は無事に合格した。
ランスロット。
彼は無事に合格できるのか。
キャンパスライフは始まったばかり。また新たな冒険が幕を開ける。
第三十六話 完
最後まで読んでいただきありがとうございました!ランスロットの正体、そして彼が抱える「現実」が少しだけ見えた回でした。9歳の少年が必死に背伸びをして「大人の仲間入り」をしようとする姿、応援したくなりますね。そしてハナの「大学への夢」。年齢なんて関係ない、この世界だからこそ叶えられるものがある……。そんな想いを込めて書きました。
【更新スケジュールのお知らせ】
いつも熱い応援をいただき、本当にありがとうございます!
明日・明後日の水曜日と木曜日は、いよいよ本格的に動き出す「カレッジ編」のプロットをより深く練り込み、最高にワクワクする展開をお届けするための準備期間として、更新を少しだけお休みさせていただきます。
次回更新は【金曜日の朝】を予定しております!
【応援のお願い】
本作は現在、コンテストに参加しております!
もし「ランス、試験頑張れ!」「ハナの夢が叶ってよかった!」と感じていただけましたら、ぜひブックマークや**下部の評価(☆☆☆☆☆)**で応援をお願いいたします!皆様の声援が、彼らの冒険を支える力になります。
また、もう一つの熱い物語[txt:Ultimate Wars ー 才能なしの人生だった俺、宇宙の危機で人類の切り札になる ー|https://ncode.syosetu.com/n6980lm/]も本日更新。こちらもぜひチェックしてみてください!
今後とも hanaXIII をよろしくお願いいたします。




