第三十話 セーブポイント その2
セーブポイントの設置を巡って、ハナとリサの間にまさかのハプニングが発生!?
リサの意外な一面や、ハナが胸に秘めた切実な願いが垣間見えるエピソードです。
二人の絆が深まる一方で、物語は少しずつ「ゲーム」の枠を超えた意味を持ち始めます。
「ゴール!わたしの勝ち〜!」
リサは片手を掲げて、片膝を上げる。いわゆる勝利のポーズを決める。
(ふ………どちらかと言えば俺の勝ちだぜ。感謝するぞ、リサ。
戦いに負けても内容で勝つとはこの事だな。)
花はちっとも悔しがる様子もなく、むしろ半ニヤケで勝ち誇っていた。
その様子を見てリサは花の顔を覗き込む。
「むむー?どうしてそんなにドヤ顔なんですか??なんか怪しい………」
「ふ……リサには勝てんよ。その背中をゆっくりと見上げるしかなかったぜ。」
「へへん!そうでしょう?!わたし、走るのは得意だったんだ〜」
(ふ……相変わらずの天然。……ぷ。いかん、笑うな、耐えるんだ、俺!)
??
「んんー?何笑ってるんですか??」
(なんで負けたのにこんなに笑ってるの??でもさっきはそんなに遅くなかったのに、今回はやけに遅かったような……)
リサは持ち前の頭脳で花の言葉を思い出す。
(その背中をゆっくり見上げるしか………見上げる………しか??………ま、まさか?!)
リサの顔は、茹で蛸の様に赤くなった。スカートを押さえた。
そして般若のようにみるみる表情が変わる。
「は、な、さーん!もしかしてーー!」
(いかん!こいつの頭脳を甘く見てたぜ!)
「ところでだ。セーブポイントの対策なんだが……!」
「と、こ、ろ、で、じゃないーーーい!」
リサはまたポカポカと花を叩く。顔は真っ赤だ。
「わ!バカ!落ちる!階段から落っこちるだろー!?」
「ええい!落ちてしまえーーい!」
「わーーった!悪かった悪かったー!なんでも言う事聞くから勘弁してくれー!」
リサはふーふー言いながら一旦落ち着いたが、両手を腰に当てて、まだ不貞腐れている。
(んもう!ちゃっかり覗いてたなんてー!花さんらしいと言えばそうだけどさ!
恥ずかしいよぉ!
そんなコソコソ覗くなんてことしなくったって、言ってくれれば花さんなら………?!……ん?え?……わ、わたし何考えて……い、いかんいかーん‼︎‼︎ 今の無しーー‼︎‼︎)
リサは顔面を手で覆いながら、ぺたんと地面にへたり込んでいる。そのまま首を横に大きくぶんぶん振ってあたふたしている。
(ちょ……あ、ヤベ。ちょっとやりすぎたか?……悪ふざけが過ぎたか……なんか悪いことしたなあ、冗談のつもりだったんだが、限度があるわな。こりゃ俺が悪い。)
花はリサの前に正座する。
「リサ……その……すまなかった!このとおりだ!度が過ぎた!」
花は頭を下げて謝った。
これから一緒に旅をする仲間として、花なりに反省した。
リサは覆った手を除けて、今度は慌て出す。
「あ!いやその!そこまでしなくても!ご、ごめんなさい!わたしも動揺しちゃってつい!
だ、だって、とても恥ずかしかったんだもん!
だからつい怒っちゃって……っと、そうじゃなくて……ああ、また恥ずかしくなってきたよぉぉ……!」
リサはパンツを見られたことよりも、花に対して思いのほか心を許し過ぎていることに動揺していた。だが、花にはそれは伝わらない。
そのなんともいえない掛け合いが続いて、二人はふと目が合った。
と、同時に。
「ぷ……ごめん。」
二人揃って謝るという展開になる。
その後二人は笑い合って立ち上がる。
「こ、今回は許しますけど、次は本当に怒るからね!覚悟しておくように!」
「ふ。わかった。次はミスらんよ。」
「なーにが、ふ。よ?!……罰ゲーム何にしようかなあ〜」
(げ!それはしっかりやるんかい!)
◆
気を取り直して、今度は式場内を探索する。
マリーの許可を得ているため、大きなドアを開けてフロアを見る。
また、ドア前には横に通路があり、進むと園庭が広がっていた。
「こっち側に行くと、反対側。海が見渡せるということか。
ここからもなかなか良い眺めだな。」
(『良い眺め』…………だめー!また思い出して恥ずかしくなってきたー!)
またリサの顔は赤くなりうつむいている。
園庭はとても広く、一見花畑のようにも見える。しばらく進むと、ポツンとテラスみたいなのがある。宮殿などにある、噴水付きの雰囲気のものだ。
「なあリサ、ここをセーブポイントにしないか?」
「ん?え?」
リサはハッとして前を向く。すると、花畑の様な綺麗な光景を見て言葉を失う。
「き、綺麗……うん!ここ、気に入った!」
「じゃあ、まずはここが一つ目のセーブポイントな。こんな場所、用事がないやつはそうそう来ないだろうし、なにかあっても事情を把握してるマリーさんがいるから安心だな。」
(うん……やっぱり花さんは優しい。だから許せるんだよねー。芯は通ってるというか。大切にしてくれてるのはちゃんと伝わってくる。……ほんと、今まで声かけてきた人たちとは全然違う。)
リサは笑顔で花を見る。
「ありがとう、花さん!」
そして、二人は合言葉などを共有する。
万が一の方法も話し合った。
そして、花はマリーからセーブポイントの応用まで聞いていた。
なんと、アイテムを保管することが出来るのだ。
セーブポイント自体は設置して共有したプレイヤーにしかわからない。そのため宝箱もリンクさせておくことも可能なのだ。
花は準備期間のうちに、アイテム屋で色々説明を受け、これは使えると思い、宝箱を複数所持していた。幸い、アイテムボックスは異次元収納型なので問題なし。
「もし万が一のときは、この宝箱を開けると良い。最低限のものは入っている。」
「うん!わかった!用意周到だね!」
「これくらいやっとかないとな。
よし!
じゃあ、今度は下町に繰り出してみるか!」
そうして二人は教会を後にした。
ついに下町へ向かう二人。
並んで階段を降りる。
花はふと思った。
(…………リサとこうして教会の階段降りるなんてな。何を物思いに耽ってるんだ俺は。
そうだ。過去には戻れない。
リサはこれから幸せになる子なんだ。)
こんな子が自分のパートナーだったらと、叶わぬことが頭を過っては、それを理性でかき消す。
花はいつも葛藤していた。
そう。ここはゲーム。しかし、本当にこれからの人生やり直せないのか?
もしかすると、絶望し過ぎて諦めてるだけなのかもしれない。
人生捨てるかどうか。今を楽しみ、未来を見よう。
花はそう思うようになっていくのだった。
第三十話 完
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
階段での追いかけっこからのハプニング、そして正座しての謝罪……二人のやり取りがコントのようでいて、最後にはお互いへの信頼を感じさせる着地がとても素敵でしたね。ハナが「人生をやり直せるのではないか」と前向きな兆しを見せるラストは、これからの展開に希望を感じさせます。
【応援のお願い】
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