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Another Life 〜現実が詰んだので、フルダイブVRで人生やり直します〜  作者: hanaXIII


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第二十八話 ビギナ大陸

結婚。人生のターニングポイントですね。

今、苦しい人。幸せな人。これからを考えている人。

その答えは、人生の最後になって、ようやく分かるものなのかもしれません。


そして――

ついにビギナ大陸へ上陸です!

結婚式、それは人生で何度もできるものではない。

育ててくれた両親への感謝、支えてくれた人たちへの感謝。それらを伝える意味。

目的は皆違う。


「結婚式はしない。おかあさんが人前に出るのを恥ずかしがっているから。」

妻の家も俺の家も母子家庭。

妻の親は公務員で、プライドも高く、離婚している中で人前に晒されるのが耐えられなかったのだろう。

なぜそう思うかって?

仕事柄、人前に出ることをしているからだ。

今更人前に出るのが恥ずかしいというのは、単なる自分のプライドの問題だろう。

子供らが主役であるにも関わらず、自分の趣味嗜好を優先させる。

自分に甘いことこの上ない。

俺の親は逆に長男の結婚式で、今までの感謝を告げたかったと話す。一同が揃う事なんて滅多にないため、直接皆に回って挨拶をしたかったと。

結局、こちらの家の都合は無視。強引に式は無しとなった。

その一年後、俺の母は末期がんとなり、この世を去る。

妻の親は元気に生きている。

感謝を伝えたいと思う人が無念でこの世を去り、自分のペースでしか生きられない自己中心的な人は平然と生きている。


世の中は理不尽だ。


ただし、親とはいえ同じ人間。

相手にも事情があるのだろう。それならそれでも仕方ない。

しかし、自分の要望を通す妻は、その後も下手に出るどころか横柄な態度。


この時点で判断すれば良かった。


ふと、夢の中で昔を思い出した。



港に着くと、何隻もの船が集結している。

大きい港のようだ。


花とリサは船を降りて、巨大なターミナルへ入る。

そこには、ビギナ大陸の電光掲示板が大きく中央にあり、皆、それを眺めてどこへ向かうか決めているようだ。


「ほう、大陸全体はこんなふうになっているのか、チュートリアルの地図より鮮明でわかりやすいな」

ターミナル内の地図はダウンロード式で、自分の持つ地図へアップデートできる。


「ひとまずターミナルから出てみるか。」

花とリサはターミナルを出た。


「わあ!凄い!」

ターミナル前は広く交通しやすい環境が整っている。

その先を見渡すともう街並みがぎっしり詰まっていた。

よく見ると、ビジネスホテルなどの宿屋や飲食店が並んでいる。

リサが辺りを見回していると、ある方向を指差す。

「ねえ!まだ時間も早いし、あそこ行ってみない?!」

花はその先を見る。

「ほう……リサ。こんな真っ昼間から、どうしたんだ?」

「ん?」

手前の建物をふと見る。すると

『Love Hotel』

と書かれた看板が見えた。

リサは赤面して大慌てする。

「ち、ち、ち………!!」焦りすぎて思うように声が出ない。

「ん?乳?」

「んもうーー!花さんのバカー!」

またリサはポカポカ花を叩き出す。

「イテテ!す、すまんすまん!だって、そりゃあ、目の前指されたらまずこれが目に入んだろ?!……ぷっ!プクク……!」

「バカバカバカ!カバー!!」

(カバ??ぷっ!面白すぎていじりがいがある。現実世界じゃあ完全にセクハラだよな。いや、この場合リサの方が悪いだろ〜)

「もしかして、あの丘のことか?」

リサはポカポカ殴るのを辞めた。

「ふえ?あ、はい。な、なんだ。冗談だったんだー。早く言ってよー」

「どう考えても冗談だっつーの!いつもならこれくらいのノリ綺麗に拾ってるだろ?」

「わ、わたしを芸人かなにかだと思ってるんですか?!んもうーーー!」

(怒っても可愛いんだよな、いじりがいがある。)

「リサ、あれは多分教会だな。興味あるなら行ってみるか?」

「え!いいの??花さん、すぐ大学のほうに行きたいって……」

花は少し遠い目をする。悟った表情だ。

「ん?全然大丈夫だ。この大陸に来たのはリサのためでもあるんだ。リサの好きに行動しよう。」

リサは満面の笑みを浮かべる。

「うん!ありがとう花さん!」

(ふう。とりあえず落ち着いたな。まあしかし、教会ねえ。………女の子はみんな憧れるもんなのかねえ。うち妻は親の都合だとか言って式はしなかったなぁ。ああ、友達には悪いことしたなぁ。みんな動画撮るって意気込んでたのに……。オカンもその後すぐ逝っちまうし。

ほんと、なんなんだよアイツは……。思い返すとろくな目に遭ってねえわ俺。」


「花さん?……おーい、花さーん!」

「ん?お、おう?!どうした?!」

「さっきからわたし一人でぺちゃくちゃ喋ってて、横見たらまるで正気を吸われたような顔してるからびっくりしたよ?

大丈夫?」

「お、おう、すまん、全然大丈夫。」

花の表情は浮かないままだ。

(………もしかして、教会が引っかかるのかなあ……。だとしたら……わたしの予想通りなら、花さんは今……。)

そうこうしていると、丘の真下まであっという間に到着した。

丘を歩きながら進むと、少しずつ建物の外観が現れる。

「おお、すげえ規模の教会だなあ。というか、式場やパーティ会場もありそうだな。

ということは、そういう施設ということか。」

リサは花の顔色を少し覗き込む。

「よし、行ってみようリサ!興味あるんだろ?」

花の表情は、先程はとは真逆で、とても暖かい笑顔だった。

リサはこの花の暖かい感じにいつも癒されている。

そして、少しずつ甘えたり、無意識に自分を出しているのだった。

それは、親にも見せない。誰にも見せていないリサの本心でもあった。


「うわあ!すごーい!本当に式場だあ!」


目の前には大きな階段。見上げるほどだ。雰囲気は、まるでシンデレラ城のようだ。

そして巨大なステンドグラスと扉。

周辺を見ると、巨大な駐車スペース。そして奥には教会。更に奥にはパーティのできる建物が複数あった。


「凄いねー!現実世界じゃこんなところ、近くには無いよねー!」

リサはまた周辺を駆け回ったり、クルクル回ったりして大はしゃぎしていた。

(リサ、ほんと純粋なんだな。そうだよな……これくらいの歳といやあ、希望しかねえわな。なんか、見てると微笑ましくなるぜ。

そして………絶対俺みたいな人生にだけはなってほしくないな。こんな良い子には……。)


リサがテンション高くウロウロしていると、スタッフに話しかけられる。

「こんにちは。ようこそいらっしゃいました。

ご予約の方でしょうか?」

「あ、いえ、予約は……していません。すみません勝手に入ってしまって!」

スタッフはニッコリと笑顔になる。

「とんでもございません。ご興味がおありでしたら、是非見ていってください。

ご結婚のご予定か何かでしょうか?」

リサは顔を真っ赤にしてあたふたしている。

こんなところも純粋さが滲み出ている。


「ああ、実はそうなんだ。悪いがこの施設を自由に見てまわりたいんだが、構わないか?」

花がさらっとフォローした。

(え?!花さん!?わたしと、け、結婚?!)


「ええ、それはもうどうぞご見学ください。

自由に見られるのはこの式場のみですが、他の施設に足を運ぶ際には私どもにお声掛け願います。」

「感謝する。この式場に関してはいつ見学に来ても構わないのか?」

「ええ、もちろんです。24時間あちらの敷地の境まででしたらいつでもお越しください。

式をする際は、是非ご検討を!」

「し、し、し、式ー?!」

リサはまだ慌てている。顔は更に真っ赤だ。

「ああ、検討するよ。ありがとう。」

そういうとスタッフは立ち去った。


「おい。大丈夫か?ここは自由に見ていいみたいだから、行ってみたらどうだ?」


リサはハッと我に戻り、少しモジモジしている。

(あちゃー、この場を流すためだったのね!?なのにわたしは慌てて……なんと恥ずかしい……!)

「あ、ありがとう花さん。さらっと受け流すなんて……わたしはあんな質問は苦手なんだ……なんか、誤魔化すのとか苦手で。」

「うん。それでいいと思う。リサはそのままで良い。」

また優しい顔になる。

「うん!ありがとう花さん!じゃあ、早速この階段をダッシュね!」

「……え……別にダッシュはしなくても」

「おっそーい!早くー!」

(仕方ねえなあ!……ま、いっか。こっちじゃ倒れる心配もねえし。……お、パンツ見えそうだ。……何やってんだ俺は)


二人は階段を登り切り、振り向くとそこには大陸が綺麗に見渡せた。


「すっごーい!良い眺めだねー!」

花はこの爽快感に魅了されていた。潮風の匂い、程よい日差し。

ゲームの中とはいえ、こんな景色を見られるなんて想像もしていなかった。

「来て良かったー!こんなところで結婚式できたら、最高だろうなあー!」

リサは終始笑顔だ。

その笑顔を見て、花の心は浄化されていく。


「ありがとうな、リサ。」

思わず声が漏れていた。本音だった。リサがいなかったらここには来ることはなかった。

だが、呟く程度でリサには良く聞き取れていなかった。

「ん?何か言いました??」

(今……ありがとうって言わなかった……?)


「いや、なんでもない。

さあ、セーブポイントを探して、明日以降の予定を立てるとするか。」

(聞き間違い?……けど、お礼を言うならわたしの方。花さんがいたからこの景色に出会えたんだもん。ありがとう、花さん。)


「うん!ここからまたよろしくね!花さん!」

リサは花の顔を覗き込む。


花は少し照れて、ゆっくり階段を降りるのだった。


何事も行動次第。どんな人と、どんな風に過ごすかで、未来は変わっていく。

二人はそう実感するのだった。


第二十八話 完

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

花の過去と、作中での出来事……。

一見バラバラに見えるエピソードも、実は深くリンクしています。

「過去は消えないけれど、未来は選べる」

現実と仮想世界、その両方で葛藤し、一歩を踏み出す花の物語を、これからも大切に描いていければと思います。

さて、本作は現在コンテストに参加しております。

もし少しでも「面白い」「続きが気になる」と思っていただけましたら、下方の【☆☆☆☆☆】から評価やブックマークをいただけると、選考において非常に大きな力になります!

皆さまの応援が、深夜の執筆の何よりの支えです。

ぜひ気軽に感想などもお寄せください。


今後とも hanaXIII をよろしくお願いいたします。


【お知らせ:別作品更新!】

実は本日、別作品のSFバトル小説**『Ultimate Wars ー 才能なしの人生だった俺、宇宙の危機で人類の切り札になる ー 』最新二十二話**を更新いたしました!

こちらの作品は、何の才能も無かった主人公の、覚醒の軌跡を描いています。現在、大きなコンテストにも挑戦中ですので、もしよろしければ一度覗いていただけると、執筆の大きな励みになります!

▼『Ultimate Wars』最新話はこちら

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