第二十七話 行き先
航路を選び、新たな大陸へ。
今回はバトルよりも、二人の距離感や価値観が少しずつ見えてくる回です。
花の人生経験と、リサの素直さが交差する会話を楽しんでいただけたら嬉しいです。
船の甲板
水平線を眺めていると花がリサに話しかける。
「なあ、あそこに立つと、めっちゃ爽快なんだが、立ってみ?」
そう言って甲板の先を指差す。
リサは言われるがままに立つ。花もその後ろで腕組みしてリサをみる。
「本当だー!風が気持ちいいねー!」
「、、、そのまま両手を横に水平にしてみ?」
「わー、鳥になったみたいー!」
「、、、ぷっ、タイタニックだな」
「ん?なんですかそれ?」
「、、、、、え?、、、、、いや、独り言だ。危ないからやっぱり戻るか、、」
「??、、、花さん!また何か隠してますね??!」
「別に、、、」
リサは頬を膨らませて怒っている。
回り込んで、下から花の顔を突き上げるように覗き込む。
両腕は腰に当てて怒っているポーズだ。
(ぐ、、可愛い、、いや耐えろ、、ジェネレーションギャップで滑りまくったばかりだ。これ以上恥はかけん!)
「わたしにわかるように説明してください!」
「、、、いや、、昔の思い出だ。思い出してついな。すまなかった。」
(嘘じゃない、、、昔本気で好きだった子とふざけてタイタニックーってやってたあの頃を思い出したのは事実だ。、、、まさか、タイタニックを知らんとはな。、、、あの頃は楽しかったなあ、希望に満ち溢れていた、、、)
「、、、そ、そうだったんですか、わたしはてっきり、JKじゃ知りえない、昔のアニメや映画のワンシーンなんかかなあと思ったんですが、外れましたね!」
(な、なんだと!?こいつ、鋭すぎる、、、知らないフリしてるんじゃねえか?)
そうこうしているうちに、水平線の向こうにぼんやりと大陸が見えてきた。
「ねえ花さん、大陸についたらまずはどこに向かうか決めようよ!」
「そうだな、俺としてはその大学とやらに行くのが目的なんだが、リサはどう思う?」
「うん!大学は出発前にも言ってたし寄りたいね!ただ、港からスタートだから、道中の街の探索はどうかな?
宿屋とか、店とか調べて、マップの詳細を広げたいと思うんだけど、どうかな?」
「なるほど、マップは自分の行った場所から上書きされるんだったな。じゃあそのプランで行こう。リアル時間は、、、まだ余裕があるな。
とりあえず今日は街探索で終わりそうだから、ひとまずログアウトできそうな場所だけ先に探しておいて、そこを中心に時間の限り探索するか」
「うん!そうしようー!」
(花さんはわたしにも意見を求めてくれる。わたしが決めて良いんだって安心できる。今までこんなことわたしの人生でなかったなあ)
そんなことを思いながら、リサは嬉しい気持ちでいっぱいだった。思わず片腕を掲げてポーズをとる。
(ぐ、、、可愛い。こりゃファンが付くわけだ)
「ところで、今日から本格的に動くが、勉強が一番優先だからな?きちんと俺にスケジュールは教えてくれ。それに合わせて進めるから、俺のことは気にしなくていい。連休で時間は空けてあるからな」
「ラジャー!ありがとう花さん!」
(そして、わたしのことを一番に考えてくれてる。本当に器が大きいんだろうなあ)
今度は腰を少し曲げて敬礼の手を作る。
(ぐ!、、、眩しすぎる、、俺みたいなクズにはもったいねえー!)
花は本当にリサが眩しく見えて目をつぶって顔を少し反らせた。そして口だけ少し半ニヤケ。
「何ですかその反応は?なんかおかしなことしましたわたし?」
リサはポカンとしている。
「全くおかしくは無い。眩しいだけだ。
そう、リサは眩しすぎる。むやみやたらに眩しくしないように!」
「言ってることが全くわかりません!」
首を傾げて人差し指をこめかみに当てている。
(それだよそれーー!無意識なんだろうな、この可愛さは)
「一つだけ、戯言と思って聞き流してくれ。
リサは今、そのタクって野郎の対策を立ててる。そうだな?」
リサはうんうんと頷く。
「ならば、もっと自分がモテるということを自覚した方がいい。仮にもアイドル目指してたんだから、客観的に見ても可愛いと思っておく方が良い。まあリサは謙虚だから自分をそう思わないと思うが、、、。
だから、やみくもに愛想を振りまくな。本当に信頼できる人にだけで十分だと俺は思う。
第二のタクを生み出さんためにもな」
リサは真剣な顔になる。
「わたしは自分がそこまで可愛いと思ったことは無いです。でも、花さんの言うことは一理ある。わたしが可愛いとかじゃなくて、八方美人はいけないってことだよね?」
(やっぱりこの子は大人だ。そして賢い。俺の半端な言葉から、すぐに意図を汲み取る。)
「ああ、その通りだ。さすが、リサは理解が早い。」
「だから、、その、、、花さんの前では、良いん、、だよね??」
「、、、、、、」
(おいおい、まいったなあ、どう切り返すか)
「まさか、俺を虜にする気か?」
「ち、ち、ち、違います!!し、信頼してるから、ありのままで良いのかってことー!」
「わーかってる!すまん!つい、いじっちゃうんだわ!許してくれ!」
「むむむー、許しませんー!罰として今日はわたしを寝かしつけしてもらいますからね!ふらっとどこかへ離れちゃダメですからね!」
リサは両手を腰に当てて怒っている。
(なんでそうなるんだよ!、、、これ以上おっさんを刺激しないでくれ!)
こうして二人は大陸へ上陸するのであった。
第二十七話 完
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
花の言葉は、正論でありながらどこか哀愁を帯びています。
次回はいよいよ大陸探索が本格化します。
新たな旅が、二人に何をもたらすのか——続きをお楽しみに。
本作は現在、コンテストに参加中です 。
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