第二十五話 待ってる間
待ってる間、花は何をして過ごすんでしょうか。まあ想像できますが。
リサとは無事に合流できるのでしょうか。
花はひたすら森の中に潜り込み、効率よく敵を倒しつつ、武器の入れ替えやコンボを色々編み出していた。
実は、ステ振りに使ったポイントは半分以上余らせており、素早さをどの程度上げれば何が起こるかを検証していた。
「ふむふむ、ここまで上げたか。イメージ通りの動きにはこれくらい振る必要があったということか。
今度は回避を実践してみよう。反応してからの動き方としてだな、、、」
リサが勉強を頑張っている間、花は連休を活かして攻撃方法、回避方法を模索していた。
そして、、、
「ぷはー!蘇るぜー!」
出現時間が表示されるため、効率よく温泉も満喫していた。
温泉が好きなためか、一度に何度も入るのと、朝、昼、夕、寝る前と、何度も出現の度に利用した。
「なあ女将さん、3日後からビギナ大陸に行くんだけど、しばらく会えなくなるかもしれんー。」
「ん?なんでたい?」
「ほら、大陸に渡れば。この場所には滅多に戻れないだろ?」
「そんなことはないさ、一度訪れた場所には転移装置があるから、スキルさえ身につけるか、アイテムを持ってりゃあいつでも都に来れる。
あとねえ、この旅館、移動式だから安心しな。
あげたリングあるだろ?それ持ってる人んところのマップに出現するようになってんのさ!だからまた普通に利用できるってこと」
「それは素晴らしい!バトルの後の温泉は最高だからなあ!」
◆
「よう、久しぶりだなあ、元気にしてたか?」
「元気にしてたかーじゃないよー!全然メッセージとかくれないじゃんかー!」
(え!俺何か悪いことしたか?まさか、必要以上にやり取りすべきだったのか?素性わからんおっさんだぞ?)
「なーんてね!うそうそ!
おかげさまで、塾内で1位でしたー!」
「1位?!うおおーーー、すごいじゃないか!よく頑張ったなあ!」
そう言って、リサの頭をガシガシ撫でる。
「あ、すまん、、ついな、、頑張る人にはめいっぱい褒めるのがくせなんだ、馴れ馴れしかったよな」
(いけねえ、つい子供とおんなじように褒めてしまったー!高校生とか子供にいてもおかしくねえもんなあ、、、)
「う、うんん、全然大丈夫、ありがとう花さん、まさかこんなに褒めてくれるなんて思ってなかったからびっくりしちゃった!」
「ん?そりゃあ褒めるっしょ。親の立場ならそんなすげえことやり遂げたら絶対嬉しいと思うぞ?もう勝手に手が出てたわぁ」
(お、親心??だったのね?え?花さん、、、子供いるとか??いやいやいや、この見た目でそれはないでしょう!だとすると、アラフォーくらいじゃないと説明つかないー!
花さんがアラフォーなんて、もしそうだとしたら反則級に見た目若すぎ!)
そう、花は見た目がとてつもなく若かった。
この二人。互いに見た目に驚いている。
「よし!じゃあ、今日は良いところ連れて行ってやる!」
二人は森へ。花は淡々とモンスターを狩っていく。
(すごい動き!そして無駄がない!ほんとにストイックに狩ってたのね、私を待つ間に、、)
そして、森を抜ける
「え!こ、ここは何?!旅館?!」
二人は中へ入る。
「うわあ!すごい!温泉旅館だー!」
(なんか、思い出の場所にすごく似てるー!)
リサは感動してあたりを見回ったりクルクル回ったりとても嬉しそうだ。
花はここでの入浴の仕方、それまでの経緯を簡単に説明する。
二人はそれぞれ分かれて露天風呂へ。
「うんー!最高ーー!わたし温泉好きなんだー!
地元にまともな温泉なくってー、よく家族で旅行いったなあ、、、」
「そうなんだ、俺は温泉が名所の出身だから、温泉は好きだなあ。週末ルーティンて感じだった。今は無理だが。
よし、あと少しで俺は先に上がるよ。あんまり入るとのぼせるからな、こんなとこもリアルに忠実だからすげえわ」
「はいはいー、気をつけないと、わたしのおじいちゃんみたいになっちゃうよ〜、昔のぼせて倒れたんだから〜」
「やっぱよくある話だよな〜、俺も昔、露天風呂で仲良くなった旅行できてたじいさんが、上がってすぐにフラフラしてさあ、目の前で倒れたからびっくりしたのなんの。もう助けたり救急車は呼ぶわで焦ったわぁ」
「うちのおじいちゃんとおんなじだあ!やっぱり良くあるんだね〜、それじゃあ、わたしはまだ入ってるから後でね!」
「おう、ルーティン忘れんなよ〜」
「、、、、、温泉が名所?、、、旅行者のじいさん、、、え?、、、ま、まさかね。」
そこに女将が入ってくる。
「お!あんたが花の仲間かい??
おや、なかなか別嬪さんだねえ、若い頃のわたしみたい。んー、どれ、ほう〜、スタイルも抜群だねえ!」
「お、お、お、女将さんー!?恥ずかしいですー!」
「あんた、さっき、旅行で温泉よく行ってたって聞こえたよ?どこが一番良かったね?」
「えっと、○県○市の○後温泉が良かったです!」
「おやまあ!そこはあたし達の故郷だよ!あんた、なかなか良いところに目え付けたねえ〜、気に入った!」
「女将さん、たち?」
「ああそうさ!あのボウズだよ、花!
ん?あんた、知らなかったのかい?参ったねえ、他人の個人情報いっちゃったよ!アッハッハっ!」
(ええ?!花さんの出身地って、、、てことは、、、聞きたい!けど、女将さんに聞いたって言えば女将さんの信用が!
んんー、でも本人から言わないからしょうがないよね!
仲間になって間もないし、これからたくさんお話ししよう。いつか、、いつか花さんのことも色々知れるといいな。)
こうして二人は狩りと、温泉と、準備を整えるのだった。
第二十五話 完
狩りと検証、そして温泉。
効率を突き詰めつつも、ちゃんと「楽しむ」ことを忘れない花らしい回でした。
強くなる過程はストイックでも、
誰かと共有する時間は、どこかあたたかい。
温泉という場所を通して、二人の距離が少しずつ縮んでいく様子を描いた回でもあります。
何気ない会話の中で見える価値観や、
まだ語られない過去。
すべてを一気に明かさないからこそ、
「もっと知りたい」と思える関係になっていくのかもしれませんね。
本作は現在、コンテスト参加中です。
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