第二十三話 女将
逃げることと、立ち止まることは違う。
それを教えてくれる人は、案外思いもよらぬ場所にいる。
このALOの製作者の一人が、ここの女将をしていることがわかった。
いわゆる隠しイベントのようなもの。
「あんた、、、それはなかなかだねえ、そこまで来たら、責任もある。なかなか人生リセットとはいかねえかねぇ。よほどの外道ならスパッと新しい人生歩むが、、まあそいつらも一概に外道って言えるもんじゃあないからねえ。
人には事情ってのがあるからねえ」
「お恥ずかしい限りですよ。現実が詰んだんで、この世界をよりどころにするなんて。」
「いんや、そりゃあ違うよあんた。あんたは何も逃げちゃいない。
元の現実でもきちんと家族を養って、日々耐えてるじゃあないか。
それに、このゲームはねえ、自分らしく生きたい人にも、楽しんでもらいたいのさ。」
「ありがとうございます。
そう。俺はこの世界で出会う人には素性を伝える予定は無いんです。
騙そうとかそういうんじゃなくて、ただ、純粋に自分でいたいのと。
本来の人生を自分らしく生きたいから。
けど、それってやっぱりここで出会う人を騙すようなもんですよね?」
女将は少し考えたが、すぐに得意げな顔になる。
「いや、それは難しいし一概には言えないけど、あんたは、端から誰かを騙す予定で素性を隠してるんじゃ無いんだろ?
なら、そこまで自分を責めなくて大丈夫さ。
自分らしく、まっさらな自分で関わって、もし、現実でも気が合うとか、寄り添える人に出会えたなら、それもまた運命だわ。
絶望しかなかった人生が、このVRの世界で変わったら、それこそ人生捨てたもんじゃ無いと思うがねぇ!」
花の表情は明るくなる。
「女将さん、ありがとうございます。なんだか、一つスッキリしました。俺、まだまだやさぐれてて、いろんなこと面倒だなって思うんだけど、、、」
「しゃーない、それは現実が詰んでんだから、心も闇に染まる。
あんたのペースで答え見つけな!」
花はその後、券売機でチケットを購入して、大浴場へ行くのだった。
この隠しイベント。今後も人生を変える1ページとなるのだった。
第二十三話 完
読んでいただき、ありがとうございます。
温泉宿のプレイヤー、女将だったんですね。
この世界には、戦闘だけでなく、
心を整える場所も用意されている。
これからも、世界は繋がっていく。
***
本作は現在、
ネット小説大賞14
ESN大賞10
にエントリー中です。
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