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第十三話 チュートリアルの続き

時間の使い方一つで、人生の余裕は大きく変わる。


現実に疲れた主人公・花は、仮想世界で「縛られない時間」を手に入れようとする。


今回はチュートリアルの続きと、花とリサの距離が少しだけ近づく回です。

静かな会話の中に、それぞれの本音が滲み出ていきます。

時間

それは有限であり、皆に平等だ。


時間の使い方な上手いと、余裕が生まれる。


その日、何時に何があって、逆算して動く。

子供かいれば、子供の性格や動きを読んで逆算して誘導する。

と同時に、自分のことや家事を並行する。


そう。うちの妻はこの時間の管理がド下手くそだ。

何度遅刻しても子供のせいにする。

何度も、何度も、何度も間に合わない。


普通、一度失敗体験をしたら、次にどうやったら間に合うのかなと考えるものだと俺は思う。

じゃないと、永遠に他人に迷惑をかける。


そう……時間管理……これも時間を無駄にすることの一つ。


どんなに時間管理を伝えても、全く治る気配がない。


こいつといると、時間を取られてしまう。


本当に無駄な時間


しかし、もし、神がいるとしたら、なんでこの妻の相手が俺なんだ?


そう、、、ひとこと地蔵さまにお祈りしてしまったからだ。


そんなことを俺は思い出していた。



狩りのあと、リサは花を誘い、また前のカフェの防音エリアへ腰掛けた。


「とりあえず、チュートリアルの続きをしますね。

アイテムに関してなんですが、これも引き継がれてます。

これについては受付管理も出来ますが、今後、自分での管理も可能です。

と言いますのは、この世界はオープンワールドシステムもあり、現実世界と同じように、土地や家も購入できます。

自分の領土を持つことも出来るので、そこで管理することも可能です。」

「なるほどな。本当にリアルだな。だが、今のところ家はいらん。もうローンなんてごめんだ。この世界では俺は縛られたくない……」

「、、、な、何かあったんですか?」

「ん?ああわるい、独り言!そんなにギルもないことだし、当分は視野から外れるかな」

「あ、あの、、、換金額って把握してますか?

ざっと、、、3億あります。」

「え?億?、、、なんでそんなに、まあ、何にも使わなかったからか」

「これ、1日50匹くらい倒さないといけないですけど、、、」

「ん?まあ、そんなもんかなあ、最後の方はかするだけで狩れてたから1日100匹を目処にしてたわぁ。まあ、ちゃんと頑張った分を貯金してりゃあ、誰だってお金はたまるわな。

現実は無駄づかいするやつがいると、ちっとも貯まりゃしない、、、」

「、、、無駄づかいされたんですか?だれかに」

「ああ、、いやあ、なんでもない、ははは、現実ももう少しマシなのにな、ちゃんと貯めてれば」

「苦労されてるんですね、、、」

「まあ、色々あるよ生きてりゃ、、、ま、リサは何歳か知らんけど、無駄使いには気をつけるこった!一度は親元離れて自分のあしで生活したほうがいいぞ、そしたら金銭感覚も、、、いっけね、つい説教くさく、、余計なお世話だったな、ほんとごめん。」

そう言って花は両手を合わせて謝る。

「ついな、、、自分の周りには俺みたいに取り返しつかん人生になってほしくなくってな。今のは忘れてくれ」

「いえ、、、忘れません。」

「へ?」

「あ!ご、ごめんなさい、、、あの、全然迷惑とかじゃないです!勉強になるので、なんでも気にせず話してください!」

「ぷっ、、リサはきっと大丈夫だよ。そうやって謙虚なやつは、きちんとしてるんだ、たいていな。

悪いやつに騙されんなよ?」

花は冗談風に伝える。

「、、、、、」

だが、リサは下を向いている。

「お、、おい、、大丈夫か?」

「あ!はい!ごめんなさい!大丈夫です!」

(もしかして、なんかあるのか、リサ。

まあ、俺が何か言っても、余計なお世話か。)


その後もチュートリアルで一通りのことは聞いたが、あまり興味がないせいかほとんど頭に入らず、その都度教えてもらうこととなった。

「ごめんな、、なんか、あんまり覚えられんかったわぁ」

「全然大丈夫ですよ!全部覚えられる人なんていないですから!わたしがきちんと仕事全う出来たので、付き合ってくれて感謝です!」

そう言ってリサは笑う。


(な、なんか申し訳ないなあ、何か質問してみようか、、、)

「な、なあ、このはじまりの都、このロビー以外はどんな感じになってるか、案内してもらうことってできるのか?」

リサはパーっと明るい表情になる。

「はい!もちろんです!先ほど見せたこの地図をご覧ください!」

そう言って、ロビーからは、初心者の森とは反対方向へ出ると、街が広がっていた。

メインストリート沿いには武器屋、アイテム屋、雑貨屋など、さまざまな店が並んでいる。

宿屋や旅館など、観光地的な雰囲気も揃っている。

「他のゲートに行っても全部同じだよ!けど、おそらく発売から日が経つにつれて、ショップで販売する物に差が出てくるかもしれない!

このゲート、実は玄人向きのゲートなんだー。

だからそのうちレアアイテムとかも売り出すかも!」

(ん?上級者向けのゲートってことか?)

「なあ、上級者向けなのに、なんで人がいないんだ?」

「んー、、これは予想ですが、、、多分、難易度の低いところの方が人が集まりやすく。交流しやすかったり、情報を集めやすいからだと思います!

ほら、リリースして間もないから、少しの情報も進捗に関わるからね!

たくさん知り合い作っておいた方が良いからだと思う!」

「なるほどなあ、ま、興味は無いけど、理屈は納得だな。そのおかげで、こうしてのんびり出来るから俺は好都合だわぁ」

「花さんは、ストーリーやその他イベントは進めようと思わないんですか?」

「ん?まあ基本的にうさばらしだからなぁ。

それに、、いんや、なんでもない」

リサは少し頬を膨らます。

(またはぐらかす。ふくみを持たせる話し方、なんかムズムズする)

それを花は察知した。

(げ、俺はつい本音が出そうになる癖があるからなあ、まいったなあ、ま、どこの誰だかわかんないし、ここでは本音出してみるか)

ふぅ、っと息を吐いた。

「まあ、俺は現実の方で、少し疲れたんだよなあ。楽しくも無い奴らと飲み会飲み会って。酒もろくに飲めんのに。」

「飲み会ですか、楽しく無いんですか、、、」

「だな、接待みたいなもんだよ。よその会社の人との交流で名刺交換したり、営業したり。

顔を売ったり。面倒すぎる。」

「そ、それは大変そうですねえ、、」

(やっぱり、仕事って大変なんだ、、、)

「まあ、若い子には俺みたいになってほしくはないかなあ、なりたい仕事にはつけたけど、そん中でもやりたい働き方かと言われると微妙だなあ、夢も叶わなかったし。

そうだよ、若い子には、夢持って欲しいわぁ、そこに向かって、失敗しても良いから一度は挑戦してみて欲しい、若ければその後ぜってえやり直せるもんなあ」

「夢、、か、、」

リサは遠くをぼーっと見ていた。

「なあ、今はこうして一人だけど、リア充たちがここに流れ込んでくるのって、いつぐらいなんだ?」

「は!、、、はい!、、おそらく一年後くらいかと!AIの予想ですが!」

「一年後ーー!?そんなに?!

こりゃいい、まあ、俺だけの世界じゃないが、しばらくのんびりやれそうだ。

と言うわけで、またちょくちょく教えてなー」

「わ、わたしも、、」

「ん?」

「わたしも、、、もっと花さんとお話しがしたいです。」

「、、、チュートリアル、まだたくさんあるのか?」

リサはまた頬を膨らます。

「ごめんごめん!冗談冗談!

俺で良ければまた話そう!俺と話しても今時の話とか知らねえし、あんま楽しくねえかもだけど。」

「そんなことないです。

この数日、花さんとお話ししてみて分かったんです。

花さん、わたしとの会話では、全て本音でお願いします!

わたし、もっともっと色々考えなきゃ、だから、お願いします!」

(うお!?すんげえ圧だなあ、おそらくこの子は真面目で、優しい子なんだろうなあ。そして、多分色々悩んでやがるな。

こんなアラフォーの話でも、なんも知らん子からすると、道しるべみたいなもんだわな。

よし、、リサには面倒くさがるの、やめてみようかな。稀に見るやつかもしれん。仮に嫌われても、現実みたいに後に響くことはない。

ここでは楽ーに、本音で行くことにしよう)

「わかった。俺も決めたよ。この世界では、自分らしく、本音を出そう。現実とは違うんだ。失うもんなんかねえよな。

なんか、ありがとうなリサ!」

リサは少し照れていた。


どうやら、花とリサは互いに良い関係であった。

花は自分らしく生きていくことを決意。

リサは自分の将来について。


また人生は動き出すのだった。


第十三話 完

花にとってこの世界は、逃げ場であり、やり直しの場所でもあります。


そしてリサにとっては、まだ言葉に出来ない「将来」と向き合い始める時間。


次回から、少しずつこの世界の「日常」と「選択」が動き出します。

引き続き読んでいただけたら嬉しいです。


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