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第十二話 アバター

人は、どこで本当の顔を見せるのだろう。

現実か、仮想か。


第十二話は、「アバター」という仮面を通して、

ユウとリサの距離が少しだけ縮まる回です。

妻側の親戚の集まり。俺は当たり前のように祖父母の相手をしていた。

「これ、食べにくいから食べさせてやって」

普通、実の孫のお前がやることだろうが、なんでお前らが目の前にいて、わざわざ俺に食事介助頼んでくるんだ。

自分の親戚の中に連れてきて、他人をこき使う。

こいつらの頭の中は異常だ。

普通は、アウェイの中に連れてきてるんだから、よう来たね、楽にしといたらええよ、が普通だろ。

「犬や猫じゃあないんやきー!そう使っちゃりなやー!ギャはははー!」

俺は、犬や猫と例えが並べられるのかよ

あまりにこれは侮辱すぎる。冗談の範疇じゃない。

俺は、傷ついた旨を伝えた。

休みの日に重い腰を上げて親戚の輪に飛び込んだと思ったら、こき使われ、嫌なことを言われる。

すると

「うわーーん、おばあちゃんを悪く言うなー」

妻はいきなり泣き出した。

は?何だコイツは。

お前らが悪口言ってきたんだろ。非常識なのは明らかだ。なんで俺が悪い?意味がわからん。


ふと、昔を思い出していた。


いや、考えるのはやめよう。


思い出すと吐きそうだ。


俺は、酒が飲めなくなった。

妻の地元で過ごした数年。親戚たちとの集まり。思い出すだけで吐きそうだ。


親戚が悪いわけじゃない。どこにでも風習はある。そんなことくらい俺もわかる。

ただ、


俺のこと、何にも理解しようとしない妻が根元だ。しんどく無いわけない。


俺は早めに仕事を退職する旨を伝えて地元に帰る決断をした。

正解だった。

あのままいたらおかしくなる。


気遣いのできない妻


そんなのは一緒にいるだけでマイナス。


けど、それがどれほど時間の無駄か、勉強になった。


そう思うことにしよう。



ある日、いつものように狩りをして受付へ。

ほぼ毎日狩るが、2日から3日に一度はリサがいる。

「おつかれさまです!いつもの換金ですね!」

たしかに、ほかの受付譲とは、顔が全然違う。

ほかの受付嬢はもっとこう、ゲーム寄りの見た目だが、リサは自然だ。

「ん?何か顔についてますか?」

「いや、別に、、、ほかの受付嬢とは顔が違うなあと思ってな」

「そうですよ?だって、このゲートはわたしがシフトに入るとき以外はNPCですからね!」

(!?、、、なるほど!)

「花さんも、みた感じ、その、もしかして本人をアバターにしてますか?」

「ん?ああ、もう面倒だったから、前作のまんまほぼ自分だな。あ、髪型と髪色だけ適当に決めたなあ」

「やっぱり、、、面倒だからって言うと思いましたよ。けど、顔がバレる可能性は考えなかったんですか?」

「まあ、普通は理想の見た目にするわな。モテたいやつとかはそうするのかね?知らんけど。

じゃあ、逆に聞くが、リサはなんでその見た目にしたんだ?」

「ん?わたしもほとんどまんま自分だよ?身長だけ少し変えたかなあ」

「は??」

(なんだと??その顔、自分の顔かい!、、、良かった。リサは多分俺のような人生は歩まんだろうな。ほっとしたぜ)

「あ、あのぉ、おかしいですか?花さんも一緒なんですよね?」

俺は笑ってしまった。

「すまんすまん、いや、心配して損したわ!

そんだけ持ってたら大丈夫だ」

「ん??全く意味がわかりませんが??」

リサはポカンとしている。

(花さん、いったい何が言いたいのだろう。何か心配してくれてたのだろうか。わからない、全然自分のこと話さないから、、自己解決してるし、、わたしのことで何か思うことがあるならいってほしいなあ、、そうだ!)

「あ、あの、花さん?もし、今度狩りに来るとき、お時間あったら、少し話しませんか?」

「ああ、そうだな、たしかに話さないといけないな」

(やっぱり何かあるんだ!!わたし、何か失礼なこととか言ったかなあ)

「この前、チュートリアル途中だったよな、ほんとにすまんかった。ぜひ続きを教えてほしい」

「、、、、、、、は、はい。よろこんで」

「リサは本当に親切だな。きっと幸せになるタイプだ」

(そう、これだ!たまに話すこういうのが引っかかるんだ、やっとわかったこのモヤモヤが!)

「では、また今度よろしくお願いしますね!」


(花さんは言葉の端々に何か闇を感じるんだよなあ。って、なんでわたし、そこまで気になってるんだろう。、、、ああ、そうか、わたし、まだ立ち直れてないから、その手の類に敏感なのかも、、、でも、花さんと話すと、不思議と落ち着くんだよなあ。)


花とリサ

素性も知らない二人だからこそ、壁を取り払うことができるのかもしれない。


また一つ、人生は動き出す。


第十二話 完


ここまで読んで頂きありがとうございます。

素性を知らないからこそ、

話せることがある。


ユウとリサは、まだ名前以外何も知りません。

それでも、確かに何かが動き始めました。

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