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第67話 朝・巫女服と完璧な連携

二十三日目の朝。


目覚ましが鳴る前に目が覚めた。


体は相変わらず疲れてる。


二十三日間の疲労は確かにある。


でも、慣れてきた。


島のリズムに体が馴染んできてる。


朝日が窓から差し込んで、部屋を明るく照らす。


「今日も頑張ろう……」


起き上がって、LAUNDRYボックスに向かう。


今日もこの儀式。


「今日は何かな……」


恐る恐る開けると、今日の衣装は、巫女服だった。


「巫女服!?」


千早(ちはや)緋袴(ひばかま)の、本格的なやつ。


手に取ると、刺繍がある。


「刺繍まで入ってる……本格的……」


でも。


「本物っぽいけど、この千早の刺繍がちょっと安っぽいかも……」


よく見ると、やっぱり安っぽい。


そして緋袴を履いてみる。


「よいしょ……」


歩く。


「歩きにくっ!」


裾が長すぎる!


これじゃまともに歩けない!


「この緋袴、めっちゃ歩きにくい!長すぎでしょ!」


ファッション的な視点からツッコミを入れる。


でも、着るしかない。


鏡を見る。


巫女。


似合う……かな。


まあ、いいか。


グンちゃんが見てる。


「にゃあ?」


「どう?変じゃない?」


「にゃあ」


「そっか、大丈夫か」


朝食のタッチパネルを開くと、精進料理だ。


「精進料理!?」


ウィーン。出てきた。野菜の匂い。豆腐の匂い。温かい匂い。


部屋は相変わらず冷たい。


でも、この冷たさが今は心地いい。


出てきた精進料理が、本格的すぎる。


野菜と豆腐だけなのに、いい匂い。


「すごい……本格的……」


一口食べる。


「美味しい!野菜の甘みがすごい!」


豆腐も優しい味。


「野菜と豆腐だけなのに、すごく美味しい……心が洗われるようだわ……」


もぐもぐ食べながら、気分は完全に巫女。


ボトル子に話しかける。


「ねえボトル子、今日は巫女だよ。似合う?」


ボトル子は笑ってる。いつも笑ってる。


でも今日は、少し優しく笑ってる気がする。


食べ終わって、気分だけはすっかり巫女になりきって、ケンタくんとのリベンジマッチに挑む!


「よし、行こう!リベンジ!完璧に撮る!」


カメラとドローンを準備。


グンちゃんに話しかける。


「行ってくるね、グンちゃん。今日は完璧に撮ってくるからね」


「にゃあ」


ボトル子にも。


「行ってきます、ボトル子!」


ボトル子は笑ってる。今日の笑顔は、なんだか励ましてくれてる気がする。


「うん、いってらっしゃい!」


65号棟に到着。


ケンタくんの作戦通り、ドローンが建物のすれすれを飛ぶ。


「すごい……低空飛行だ……」


昨日撮りきれなかった建物の下の部分を舐めるように撮影していく。


「下の部分……撮ってる……」


私は、地上から、望遠レンズでその瞬間を狙う。


カメラを構える。


風が強い。


長い袖が風にあおられて、何度もカメラのレンズの前に垂れ下がってくる。


「袖、邪魔!うわっ、邪魔!」


イライラする。


私は、ポケットからヘアゴムを取り出した。


イラっとしながら両袖をたくし上げて、ヘアゴムで留める。


「よし!」


撮影再開!


でも、そんなアクシデントも気にならないくらい、私たちの連携は完璧だった。


ファインダー越しにドローンの動きを追う。


波が岩に砕ける。


最高のタイミング。


「今!」


シャッターを切る。


カシャ。


「撮れた!」


ケンタくんも、私のシャッタータイミングに合わせて、ドローンの速度を微調整してくれているのが分かった。


連携してる。


完璧。


成功した瞬間、鳥肌が立った。


「すごい……」


言葉がなくても、同じものを見て、同じ目標に向かってるって分かる。


これって、東京でミカと話してる時より、もっと深いところで繋がってるのかも。


いや、違う。


比べるものじゃない。


でも、深い。


絆の深化を、確かな手応えとして感じていた。


カシャ、カシャ、カシャ。


ドローンが飛ぶ。


私が撮る。


完璧。


タイミングが合う。


すごい。


楽しい。


これが、共同作業。


一人じゃできない。


二人だからできる。


嬉しい。


撮影が終わった。


カメラを下ろす。


「よし……」


達成感。すごい。


今日も、一人じゃなかった。


そして、ケンタくんとの絆が、また深まった。


確かに、深まった。

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