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第40話 朝・休息日とパジャマと体調

十四日目の朝。二週間が経った。


体が重い。肩が凝ってる。首も痛い。腰も痛い。十四日間の疲労が、層になって積み重なってる。


でも、慣れてきてもいる。この疲れにも、この生活にも。


目が覚めた瞬間、体がいつもと違うことに気づいた。重い。お腹が鈍く痛い。あぁ、これか。


「……来たか……」


ベッドから起き上がるのに、いつもより時間がかかった。体がだるい。頭もぼんやりしてる。こんな時に限って。でもタイミング的には、ある意味良かったのかもしれない。


LAUNDRYボックスを開ける。今日の衣装はくまの柄がプリントされたふわふわのパジャマだった。


「……パジャマ?」


手に取ってみる。柔らかい。温かい。これ寝巻きじゃん。


今日のスケジュールを確認すると、その下に小さな文字で注釈があった。


『本日は、機材メンテナンスとデータ整理を推奨する、休息日です』


「……休息日!」


目を疑う。休息日!?もう一回読む。『休息日です』。


「やった……」


声が小さく震えた。体調が悪い日に休息日。まるで誰かが知っていたみたいだ。ありがたい。本当にありがたい。


ボトル子に報告。


「ねえボトル子、今日休みだって……」


ボトル子は笑ってる。いつも笑ってる。変わらない笑顔。


「よかった……」


そういえば昨日までで島の主要なエリアは大体撮り終えた気がする。港、学校、病院、市場、神社、発電所、給水塔、防波堤。結構撮ったな。ここで一息つけということなんだろう。ありがとう運営さん。


パジャマに着替える。ふわふわ。気持ちいい。


柔らかい生地が、疲れた体を包む。


温かい。


鏡を見る。完全に寝起きの人。くまの柄。可愛い。でも可愛いかも。


朝食は奮発してパンケーキセット。休息日にパンケーキとか最高すぎる!タッチパネルから出てきたパンケーキめっちゃ豪華。


ウィーンとトレーが出てくる。甘い匂い。温かい匂い。


でも、この部屋は相変わらず冷たい。


すごい!3段重ね!バター、メープルシロップ、ホイップクリーム、イチゴ。


「メープルシロップをたっぷりかけて……」


ドバドバかける。ゆっくり味わおう。フォークで一口切り取る。いただきます。一口。


「美味しい……ふわふわ……」


甘い。幸せ。メープルシロップの甘さが最高。お腹が痛いのも少し和らぐ気がする。


ボトル子に話しかける。


「ねえボトル子、パンケーキ美味しいよ」


ボトル子は笑ってる。いつも黙ってる。でも、そこにいてくれる。


「今日は休みだから、ゆっくり食べられる」


何もしなくていい朝。最高だ。


パンケーキを食べ終わって満足。ごちそうさまでした。さて何しよう。


午前中はこれまで撮りためた写真データや時間の化石タイム・フォッシルをフォルダ分けして整理することにした。データ整理。地味だけど大事。


PCの前に座る。体がだるいけど、座ってできる作業だから大丈夫。


「よし、やるぞ」


ファイルがごちゃごちゃだと後で絶対困る。どこに何があるか分からなくなる。地味な作業だけどこういうのが大事なんだって最近分かってきた。整理整頓大事。


フォルダを作る。Day1、Day2、Day3。一つ一つ日付ごとに分けていく。これはDay1、これはDay2。地味。でもやってると落ち着く。整理って気持ちいい。


整理していると初日に撮ったあの「3つの点」のデータが出てきた。


「あ、これ……」


開いてみる。3つの点だけの3Dモデル。


懐かしい。


今見ると笑っちゃうくらい拙い。へたくそ。でもここから始まったんだ。ここから。


あの時の私。


何も知らなかった私。


私はそのファイルを大切に「始まりの場所」という名前のフォルダに保存した。始まりの場所。このフォルダは特別。大事にしよう。


他のデータも整理していく。港、学校、病院。全部思い出がある。一つ一つのフォルダに思い出が詰まってる。頑張ったな私。


気づいたら午前中が終わってた。もうお昼。でも充実感がある。整理できてすっきり。


ボトル子に報告。


「ねえボトル子、データ整理終わったよ」


ボトル子は笑ってる。いつも笑ってる。変わらない笑顔。


「頑張ったでしょ?」


お腹すいた。お昼ご飯食べよう。

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