TMCコネクション//アサルト
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──TMCコネクション//アサルト
狙撃手を片付けた私たちは、いよいよ無道会の会合が開かれているホテルへの強襲を目的に接近する。
「リーパー。ここからの作戦は?」
「ないぞ。適当に暴れて皆殺しにしろ」
「やれやれです」
私たちは狙撃手が排除された通りを、堂々とホテルに向かう。
「カンタレラ。パーティの時間だ。派手にかましてくれ」
『了解』
リーパーからの合図にカンタレラさんが応じる。
上空からドローンが車両に向けって急降下してきて、それによって車両が爆発。いくどものドローンの突入によって道路は完全に封鎖されてしまった。
「上出来だ。さあ、殴り込むぞ」
カンタレラさんの仕事に満足したリーパーはいよいよホテルへと突入することに。
「何が起きた!?」
「車が燃えているぞ!」
ホテルの中からはドローン攻撃の音に気づいたヤクザたちが飛び出してきている。彼らは燃え上がる車両を見ると、すぐさま警戒態勢に入った。
しかし、彼らが警戒しきるより速くリーパーは動いた。
「よう、ヤクザども。遊ぼうぜ!」
悪ガキのように笑ったリーパーがヤクザに襲い掛かり、最初の獲物の首を刎ね飛ばす。鮮血が高らかと舞い、ヤクザたちが一斉にリーパーの方を見く。
「カチコミだ!」
「殺せえっ!」
ヤクザたちは手に持った銃火器を全てリーパーに照準して引き金を引いた。
「甘い、甘い。その程度じゃ当たらないぞ」
しかし、リーパーを相手には無力だ。
さて、リーパーに任せっぱなしというのもいけませんので、私も仕事をやるとしましょう。
「ファイヤ~!」
ファイアスターター能力で私はヤクザたちを燃え上がらせる。これが生体機械化兵のような相手ならば通用しないのですが、どうやらヤクザはそこまで機械化率が高くない様子。
「いいぞ、ツムギ。エントランス制圧だ」
いつの間にかリーパーも他のヤクザ構成員を殲滅しており、ホテルのエントランスには彼らの死体が積み重ねられていた。
「じゃあ、次のステージへとゴーだ」
「はいはい。迅速にですね」
リーパーはエントランスからホテル内部へと侵入。私も続く。
「今の音は何だ?」
「確認を急げ!」
と、ここで現れたのはヤクザではない。迷彩服姿の集団。そう、民間軍事会社の連中だ。
「おっと。歯ごたえがありそうなのがきたな?」
「さっさと殲滅して仕事を終わらせましょう」
「はいはいっと」
私が促すのにリーパーは敵の方に進む。
「そこのお前! ID登録が──」
まずは私たちをID認証して、招待客のそれと一致するIDがないことに気づいたコントラクターの首が飛んだ。
それが合図となって一斉にコントラクターたちが私たちに銃口を向ける。
「ショータイム!」
リーパーは愉快そうに笑い、虐殺を開始した。
銃弾の中を縫って進み、コントラクターたちを斬り伏せる。
「相変わらず信じられないほどの強さですね……」
リーパーに未来が見えているとしても、その情報に対応してリアルタイムで動くのはやはりリーパー個人のプレイヤースキルというべきなのでしょう。
「私も仕事をと」
リーパーが次々にコントラクターたちを撃破していくのに合わせて、私も民間軍事会社のコントラクターを焼き、貫き、潰して破壊していった。
「いいぞ、ツムギ。ナイスなCo-opプレイだ」
「それより会場から逃がしたら面倒なことになります。急ぎましょうよ」
「そうだな。雑魚にいつまでも患ってもしょうがない」
私にとって気がかりなのは、ここでヤクザの幹部を殺し損ねて逃がしてしまうことだ。そうなると面倒なことになってしまう。
なので、ここは一気に突破しなければ。
「リーパー。まとめて片付けます。巻き込まれないようにしてくださいよ!」
私はそこら中に放たれた銃弾と破壊された建物のコンクリート片を浮かべて、それをミキサーのように回転させるとコントラクターたちにぶつけた。
「ぎゃっ────」
その結果は血の霧が舞うというものである。滅多刺しにされ、滅多斬りにされたコントラクターたちが一斉に地面に倒れた。
「へえ。上達したな、ツムギ。今のお前なら俺を殺せるかもしれないぞ」
「そうかもですね。さあ、急ぎましょう」
今ここでリーパーと無駄口を叩いているような暇はないのです。
私たちはエントランス、ロビーと次々にホテルを制圧し、そして会合が開かれてるホールへと乗り込んだ。
リーパーが扉を蹴り破った先には、ヤクザの幹部たちがいた。
それに加えて民間軍事会社の生体機械化兵のおまけつきで。
「何だ、お前たちは!」
ヤクザの中でも老齢の男性が大声で叫ぶ。
「死刑執行人さ」
リーパーは近くにいた人間から容赦なく斬り殺し始めた。
「クソ! カチコミだ! 袋叩きにしてやれ!」
こうなるとハチの巣をつついたような騒ぎである。
ヤクザたち全員が銃火器を取り出し、さらには民間軍事会社のコントラクターたちも電磁ライフルを含めた武装の照準を私たちに向ける。
そして、ドカン。
一斉に銃火が吹き荒れ、会場は滅茶苦茶。
だが、私は指向性のエネルギー場を発生させており、自分とリーパーに向かってくる銃弾は全て防いでいる。
「どうなってる!? 銃が効かねえのか!?」
「わ、分かりません!」
ヤクザたちは大混乱。民間軍事会社にも動揺が走っている。
「リーパー。仕事に失敗したくないので、雑魚の方は私に任せてもらえますか? あなたは生体機械化兵の相手をお願いします」
「ほう。どうするつもりだ?」
「こうするつもりです」
私が使い慣れてきたファイアスターターの能力で会場にいる全てのヤクザを炎上させた。まるで怪奇現象の人体発火が起きたように、松明のように人間が燃え上がる。
「ぎゃああああ!」
「助けてくれ!」
ヤクザたちは悲鳴を上げながらのたうち、地面に倒れ、炭化していった。
「凄いな。こいつは盛り上がる!」
「もうそろそろ私は活動限界ですので、あとはお願いしますよ……」
私は流れてきた鼻血を拭い、リーパーにあとを託す。
「畜生、畜生! 何なんだ、こいつら!?」
「知るか! 殺せ!」
コントラクターたちが叫び、撃ち、そしてリーパーに斬り殺されて行く。
リーパーの強さはもはや説明するまでもなく。一方的な虐殺となった。
会場にいた10名の生体機械化兵は10分程度で全滅。1体につき1分という早業でリーパーは敵を壊滅させたのだった。
「さて。あとはおまけの仕事だな」
「ヤクザが持っているかもしれないミネルヴァの情報ですね」
「そうだ。カンタレラにも探してもらっているが、こっちでも探すか」
リーパーはそう言うと先ほどまでは生きていたが、今は黒焦げになった老人のBCIポートに無線端末を突っ込んだ。
「まだ記憶は探れそうですか?」
「脳みそそのものは茹で上がっているが、こいつの脳の中には脳埋め込み式デバイスがあるようだ。そこから情報を抜いている」
私が心配して尋ねるのにリーパーはそう返し、ヤクザの脳埋め込み式デバイスから情報を抜き取った。
「ミネルヴァ絡みの情報もあるようだ。あとでカンタレラに照合してもらおう」
「了解です。新手がくるかもしれませんから、今はここからトンズラしましょう」
「お替りは歓迎するけどな」
「私はしません」
今は私が気になるのはヤクザが持っていたミネルヴァの情報だけだ。
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