第7話 救済と、仲間
蒼く燃え上がる少年を見て顔をしかめるグレイス。
(あいつあのままでは死んでしまうぞ…まぁそれで終わるならいいが…)
グレイスは知っていた。この能力はエネルギーを消費して使う。しかしあの勢いでエネルギーを使うと衰弱して死んでしまうだろう。
(まぁ仕方ないか…)
そう思いながら少年を見つめていたグレイス。しかし
(ッ!あの少年、どこが助けを求めているような気がする…)
そう思った瞬間、無意識のうちに体が動いていた。
「氷結嵐!」
なんの工夫もなく全身の冷気をぶつけるだけの技。これだけの量の炎を打ち消すとなると、普通なら死んでもおかしくないレベルのエネルギーを摩耗する。それでもグレイスはやめなかった。そして──
「ハァハァハァ、な、なんとかなったか…」
暴走が止まった少年の目には生気が戻っていた。
「あれ、俺は何を…えっ…?」
バタリ
「周りの状況の異常さに驚いて気絶してしまったようだな…ルース!」
「は、はい!拠点まで運びますね!」
「あぁ、よろしく頼む。」
それだけ言ってグレイスも気を失った。
■■■
少年は夢を見ていた。まだ世界が平和だった頃の夢を。少年は幼少の頃から誰にも助けてもらえなかった。いや、正確には一度だけある。あれは確か4歳の日の夏、少年は迷子になり、知らない場所へついてしまった。道も分からず、頼る人間もいない。一人ないていたところに、老人が現れ、道を教えてくれた。以来その老人に憧れ、その老人のような人間になるために努力してきた──
■■■
目が覚めると、知らない天井が見えた。
「あ、やっと目が覚めたんですね!」
(この人は…って俺は何をしていたんだ?)
「グレイス!目が覚めましたよ!」
「おぉ、大丈夫か?」
「あの…あなたたちは?俺は何をしていたんですか?」
「あぁ、すみません。私はルース。そしてこっちが、」
「グレイスだ。よろしく。それで君は?」
「俺はフューズ、15歳だ…」
「そうか、よろしく。で、君が何をしていたかだったな。ルース、説明してやってくれ。」
「はい!」
そしてフューズは今回の事件についての話を聞いた。
「お、俺、そんなことしてたのか…」
「で、君は誰かに操られていたようなのだが…心当たりはあるか?」
「まったくないな…でも断片的に覚えていることもある。確か俺に命令をした誰かは中枢部にいた…とか、闇がどうの…とか詳しいことはあんまり覚えてねぇ」
「まぁいい。それだけでも十分な情報だ。ところで君はまだ能力が使えるか?」
「あぁ、多分使える。」
「なら提案なのだが、これから一緒に行動しないか?こちらとしても人手不足解消に繋がるし、その代わりに食事と寝床を保証しよう」
「そんなの一択だ!俺は人を助けられるような人間になりたい。ついていくぜ!」
「ありがとう。君が来てくれればかなりの戦力になる。」
「フューズでいいですよ、グレイスさん、ルース!」
「分かった。改めてよろしく、フューズ」
「よろしくお願いしますね!フューズ!」
「あぁ!」
これで第2章は完結ですかね。
次回からは第3章なのでお楽しみに!
十時間睡眠でした。