第6話 南支部と、突撃(下)
予約投稿忘れてました。
すみません。
〜グレイスの魔道具が鳴る少し前〜
ルースは死霊を倒しながら奥へと進んでいた。もし親玉と出会わなければ中心部で合流する予定だ。
(しかし想定よりも敵が多いですね…時間に間に合うと良いですけど…)
角を曲がると、少年がいた。見たところルースと同じぐらいの年齢だ。
「あなた、こんなところにいて大丈…!」
ルースは後ろに飛び去る。つい先程までルースがいた場所を少年の拳が通る。
「ちっ、バレた。俺のエネルギーに気づくなんて…」
(この人…やばい!)
少年の目に生気はなく、ルースは本能で恐怖を感じた。急いで魔道具のスイッチを押す。
少年は攻撃を仕掛けてくる。ルースは魔力銃を握る。
「グレイス、新機能を使わせてもらいます…!」
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実は準備期間中、グレイスに魔力銃を改良してもらった。
「オニは金棒を使って近接戦闘をした。今後もそういう場面があるかもしれないから魔力銃を刃物に変形できるようにしておいた。」
「魔導具を変形って…システムどうなってるんですかね…」
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「魔力銃変形!短剣!」
銃があっという間にに変形し、短剣になった。
「ほう、魔導具の変形か…ってどうやったらそんなことが出来るんだよ!?」
「ですよね…私もそう思います…」
「まぁそんな武器で俺に勝てるかな!」
雨あられと降り注ぐ少年の攻撃。致命的なものは避けるなりいなすなりしているが、ルースの身体には傷がついていく。
(グレイス…早く来てください…私一人ではもう限界です!)
その時
「ルース!大丈夫か!」
「グレイス!ありがとうございます!」
「そいつはやばい!引け!」
「わかってます!言われなくてもそうしてますよ…」
「ほう、こっちはまだ楽しめそうだな
…」
(こいつはまずい…短期決戦で行くしかないな…)
「氷結剣!」
「ほう、氷の剣…お前もそんな力を使えるのか。」
「何!?」
「俺も本気を出すとするか…」
ボッ
少年の全身が赤く燃え上がる。
「炎、か。相性は最悪だな…」
2人は同時に動く。一見互角のように見えるが、実際にはグレイスの剣が溶けて消耗していていた。
「潔く負けを認めたらどうだ?自慢の剣も溶けてきているしなぁ」
その瞬間、少年の拳がグレイスにぶつかる。間一髪剣で防いだものの、グレイスは壁に打ち付けられた。
「カハッ…」
「グレイス!」
「さぁ次はお前だ!炎なんか使わずに殺してやるよ!」
「その瞬間を待っていた…」
「何ッ」
「氷結剣!蒸気圧縮!──氷結短剣」
先程までの激しい炎で周囲の水分がかなりの量蒸発した。その水蒸気を吸収し、圧縮する。見た目こそ変わらないが、オニに対して使った氷結短剣の数倍の威力がある。炎が燃え盛っていた先程までは使えなかったが、一度炎が消えた今なら発動できる。
「ま、まずい…」
(一度炎を消すとまた元の火力に戻すまで時間がかかる…このままでは全力に戻す前に負ける…!)
しかし逃げるわけにもいかず、徐々に押されていく少年。
そして──果てしない打ち合いの果てに、ついに少年が倒れた。
(このままじゃ…やられる…)
突然少年の脳内に声が響いた。
【こんなものか…もういい】
(なんだこの声…ウッ)
「トドメだっ…!なんだこれは!」
突如として少年の炎が激しくなり、赤から青へと変化した。
「これは…まずいな…」
暴走を始めた少年に対し、グレイスは顔をしかめた。
今回で1章完結とか大それたこと言ってましたが、あと1,2話は続きます。