第4話 料理と、工夫
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──限られた食料の中、いかに料理で疲労を回復するか──オニ討伐から1週間程経ったグレイス達が直面している課題だった。
これまで彼女達は塩茹で、素焼き、素揚げ等、簡単な料理しか出来なかった。グレイスも料理に自信があるとは言ったものの、それは「魔導機構に頼り切っていた人々に比べれば」という話であり、複雑な調理に関しては全くダメ、というか挑戦したことがなかった。
死霊やオニ達が召喚されているかもしれない都合上、支部侵攻まで時間をかけるわけにはいかない。もう一度召喚されようものなら勝ち目がないからである。
故にすぐに疲労が回復できる料理をする必要があるのだが、先述のように難しい料理はからっきしである。
「んん〜…困りましたねぇ」
「そうだな…」
「そうだ!私も料理を学んでみたいです!」
「何?」
「私が料理をすればグレイスの負担を減らすことにもなります。それに私、一回料理をしてみたかったんです!」
「なら私が簡単な調理を教えてやろう。茹でる、焼く、揚げる、以上だ!」
「なるほど!よくわかりません!」
「要は火にかけた水に入れるか直接火にかけるか火にかけた油に入れるかの3択だ!」
「なるほど!今度はわかりました!」
「では実践だ!」
数十分後、拠点の机には猪肉の塩茹で、素焼き、素揚げが並んでいた。
それを口に運び…
「いつも通りだな」
「いつも通りですね」
いつも通り、美味しいことには美味しい。が、これといって取り立てることのない平凡な味だ。
「ここから改良していくわけだが…何か案は?」
「はい!他の調理法を考えるのはどうでしょう?」
「そんな事が出来たらとっくにしている。何かいい調理法が思いつくのか?」
「そうですね…煮ると言うのはどうでしょう?」
「そうだなそう簡単に思いつくわけ…ってお前は天才か!?」
「いえ、常識かと思いますが…」
「早速実践だ!」
1時間後、拠点の机には豚肉の煮物が並んでいた。
それを口に運び…
「美味しいです!」
「あぁ!醤油がとても合っている!」
「ところでグレイス、調理中にどこに行っていたのですか?」
「ち、ちょっと肉を調達しに…」
「そうですか!」
(疑われなくてよかった…)
そう。彼女はとある生き物を狩って肉を調達してきた。その名も「魔獣」。魔力によって突然変異した生物…と言われているが真相は定かではない。
とにかく「その辺りにいた狼みたいな魔獣を狩って食べようとしている」なんてルースには口が裂けても言えない。絶対に怖がるし、何より怒られるだろう…
「では、その肉も使ってお鍋でもしましょうか!」
「あ、あぁ(バレなければよいのだが…)」
数時間後
「うまく鍋料理ができました!」
「そ、そうだな」
幸い肉の正体については聞かれなかった。この肉にどんな効果があるのだろう…楽しみだ。
「ではいただきます!」
2人共肉へ手を伸ばし、そして口へ運ぶ…
「「うッ!こ、これは…」」
ものすごい回復効果だ。身体が何倍にも強化されたかのように感じる。
「よし!大成功だ!」
その発言が迂闊だったと私が気づくのに、そう時間はかからなかった。
「成功…?グレイス、あなたこの肉をどうやって調達したんですか?」
まずい。バレた。ここまで来たら誤魔化す方が怒られる。しかたない…
「お、怒らないで聞いてくれ。じ、実はこの辺りにいた狼みたいな魔獣を狩ってだな…」
「魔、獣?」
ものすごい圧だ。その圧迫感に思わずたじろぐ。
「い、いや…回復効果を見込んでのことなんだ…」
「でも成功ってことは安全性の確認はしていなかったんですよね?」
「い、いやぁ、そんなことは…」
「正直に答えてください」
「はい、してませんでした…」
「2度とそんなことしないでください!まぁ今回は成功したので許しますけど…」
「すまない…というかこの肉はすごいな!」
「はい!体中にエネルギーが満ち溢れています!」
「体力も回復したし予定を繰り上げて明後日に侵攻するか。」
「そうしましょう!」
前回の後書きに書いたように日常回にしてみました。
別に第一章が短くなりすぎないために外伝とかでやろうと思っていた日常回を無理矢理ねじ込んだわけではありません。
これからもよろしくお願いします。
十時間睡眠でした。