冒険者をプロデュース7
ヒル草の採取イベントを受け取りヒラに相談すると、彼も何度かやったことがあるとのことで採取場所まで案内してくれると言ってくれたが、それはさすがに悪いと断ったが本人は聞く耳を持たず歩き出してしまった
「ちょっと現地に行く前に家に寄っていいですか?」
「いや、全然かまわないけど本当に良いの?」
「あんな高価なお菓子を貰ったんですこれでも返し切れてないですよ」
「悪いね」
そんな話をしながら家に寄ると納屋らしきところから斧を手に持ってきた
「その斧は」
「護身用です、普段は木を切るのにつかってるやつで」
「え?モンスターとか出るの?」
「そうですね、あまり出ないですけど念のため」
モンスター出るのか~そうだよな、ここ異世界だもんな
「ああ、でも出たとしても小さな鳥とかその程度です」
「そうなの?大丈夫なの」
「来ても追っ払います」
あんなに気弱なのに大丈夫かなと思いつつ町から少し離れた森の中に入って行くと木漏れ日が射す割と開けた場所に出た、
「この辺りで赤い小さな花が鈴なりになっている植物を探してください」
「それが依頼の薬草なんですね」
「そうです、丁寧につまないと返品されることもあるので」
「なるほど」
目を凝らしながら草をかき分けながらお目当ての薬草を探すこと10分
「ん?たぶんこれかな」
ヒラに見せると
「おお、それです!その調子であと99本集めましょう」
「いや~思ったより大変だな」
すると突然目の前のヒラさんが斧を構える
「え!?」
何いきなりこの展開!?
ブン!
物凄い風圧が俺に迫ってくる
うあ!やられたとおもったら背後から
ブシャ!
という音が聞こえて振り返るとオレンジ色の液体が木に張り付いてる
「オレンジライズです、粘着体質のモンスターで」
背後から襲われてたのか~
間違ってもピクニック気分じゃいけない
常に危険と隣り合わせだと思わねば……
「しかし、強いじゃないですか」
「いえいえ、あいつは弱い敵で子供でも倒せるくらいですから」
ふむ、この人は緊張しなければあんだけ斧振り回せるんだから勿体ないよな~
その後もカラスみたいな小型の鳥とかやってきたがヒラさんの斧が」一撃で葬り去っていくので警戒しつつもいそいそと薬草を集めてようやくあと1本というところで
ガサ
なにやら草むらからこちらを見つめる気配が
「ヒラさん!なんか居ます」
「え?」
ヒラさんが斧を持って近く来ると草むらがなにか大型犬くらいある豹のようなものが俺めがけて飛んできた、慌てて横に飛んだ為なんとか回避できたが
「うああああ新人殺しが……」
完全にテンパっているつまりこいつは強敵だということだ、このままじゃまずいどうしたら何か使えるモノはないかこんな時は~……その時前回襲われていた時を思い出した、あのときカンペで商人の人を落ち着かせて逃げることが出来たなら今回も!
俺はカンペを出してヒラさんに
『落ち着いて斧で攻撃してください』
しかし、ヒラさんはパニック状態になっているせいかこちらを見れていない
「ヒラさんコレ見て!」
じりじりと豹が間合いを詰めて来る
俺は赤いペンを使って落ち着いてという文字のとこをぐるぐると囲いもう一度見せると
まるで強制的にヒラさんの視線がこちらを向き、そして信じられない速さで俺を狙う豹の背後から一撃を喰らわした
グー!
豹が不意打ちを受けてよろけながら唸り声をあげる
「え!?どうして攻撃してるんだ」
いかん!またパニックになる前に えええと猫型の急所は動物ドキュメントで知り合ったモツゴロウ先生が言ってたのは……そうだ鼻だ!
俺はカンペにまた字を書き込み
「冷静且つ的確にヒョウの鼻を全力で撃ち抜く!」
全部赤ペンで書いて見せるとまるで催眠術にかかったように目つきが変わり手負いの豹に突進して斧をまるで棒切れのように軽々と素早く振りぬき鼻を撃ち抜くと豹は木に打ち付けられて動かなくなった。
「つえ~」
その鮮やかさに圧倒されてしまった。