冒険者をプロデュース12
そこには風呂場の女将と思われるおばさんとボイラーのような窯の前で火魔法を放ちながら汗だくになってるポニーテールの大学生位の女性が居た、
「強すぎるんだよ!お前ただでさえポンコツなのにこんなこともできないのかい!」
「すみません!今調整します」
ドラマに出て来るような嫌われ者のおばさんみたいな勢いでまくし立てそれにめげることもなく答える体育会系の女性みたいな図式が見える。
「減給だからね!」
「それだけは勘弁してください!頑張りますから」
女将は女性の方を振り向きもせずドスドスと歩いて行ってしまう、
「……」
窯の前に立ち尽くす女性に思わず、
「あの~大丈夫ですか」
「あ、いえ!大丈夫ですお客さんですか…すみません今すぐお湯調整しますので」
「でも、汗だくフラフラしてません」
「いえ、頑張らないと」
このままじゃぶっ倒れるじゃないか?気合というか私大丈夫だけで突っ走ることも大事だが、物凄い危うさを感じる
「そうなのか、そうだ良いモノがあるコレを」
スキルで出したお菓子の中に夏場のロケとかで気軽に塩分を補える塩飴があったのでいくつか渡す
「これは?」
「暑さ対策に効果的な食べ物なんだけど」
「そんなのもらえませんよ、私お金無いし」
「いいの、いいのコレはほら!俺ももらったやつだから……あ!もしかして急に変な人からもらったから怖いとか……あああ、それは確かにあるか~」
「いいえ!そんなことはそれじゃ一つ頂きますから!そんな落ち込まないで」
そういって慌てて飴を袋から出すと頬張ってくれた
「甘じょっぱい……美味しいい」
すると何故か女性はちょっと涙目になっていた
「あれ?美味しくなかった」
「いえ!そんなことないです、最近ちゃんとご飯食べれてなかったからちょっと緊張が緩んで」
「え?そうなの」
「私ってポンコツなのでうまく働けなくて、失敗ばかりで」
「え、でもさっきから凄い炎を出してるじゃない 戦闘とかでも役立ちそうだし」
「いえ、私のこの魔法は欠陥品なんです」
「欠陥?」
「私の魔法は火力こそすごいんですが放つことができないんです、目の前にただ燃え上がらせることしかできなくて」
「なるほど」
「しかも、調整も下手でせっかくここで働けるようになったのに失敗ばかりで……」
「うう~ん」
「でも、生きる為には頑張らないと!ありがとうございます、このお礼はいつかします」
「そんなの全然良いよ、気にしないで俺の押し付けみたいなものだから……」
う~ん、その場にしか放つしか出来ない魔法……
待てよ……
「あの!一つだけお願いがあるんだけど」
「え?」
「俺と討伐の実験に協力してくれないか?」
「えええ?」