エピソード2 我! 問題発見
我の名はエクス! そう、サイエン家の3男として生を受けた者である…
ベイビー期にちょっとしたトラウマを植え付けられそうになったものの、概ね健康に今を生きている
で… 我は…
もう、めんどくさい! 何故、自分の事を我とか俺は言っているんだ?
あぁ、そうか… なんか良く解らん記憶の中で、いつも白い服を着た男が『我』・『我』・『我』っていってたからな…
まぁ、どういう訳かあの恥ずかしい喋り口調をしてた男が俺だと理解しちまうのだが、どうしてだ?
うん、そんな黒歴史を思い出しても無意味で非建設的だな
それよりも、今日も良い実験日和ではないか!
こういう日は外に… は出ずに、引き籠ってムァッドォ・サイエェンテェストォ的活動を!
「おや? エクス! 今日は何をするんだい?」
「あら、エクス! 今からクロード兄さまと一緒にお父様達をお迎えに行くの。 あなたも一緒に来ない?」
むはぁ! 今から地下に籠って世紀の大発明を行おうとしていたのに…
「あ! クロードにいたまとマリアねえたま! 僕も一緒に行って良いの?」
「もちろんさ! 一緒に行こう!」
「もちろんよ! 私の可愛い弟なのだから、いつも一緒よ!」
…まぁあれだ
クロードもマリアもまだまだ幼いからな!
保護者不在の今だと、俺が一番しっかりしてるから付いて行ってやらんといけないだろう
「おやおや、エクス坊ちゃまも一緒だと、旦那様や奥様も喜ばれると思いますぞ」
ふん、執事風情が偉そうに…
って、え? お前も一緒に来るのか?
ま… まぁ、俺一人だと正直、ちびっ子共の相手は大変だからな…
そんな俺は、クロードとマリア、そして執事を引き連れ村外れに行く事となった
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のどかな田園風景が延々と続いている
本当に緑豊かな土地ではあるが… 正直、この光景は見飽きたぞ!
「お兄さま! もっとゆっくり歩いて下さい! エクスはまだ小さいのですよ!」
「あ! ごめん。 エクス、疲れてないかい?」
「皆さん村外れまでまだまだありますから、この辺りで休憩しましょう」
執事が手に持っていたバスケットから敷物と飲み物を用意してくれる
「う~ん、僕疲れたよぉ~」
「偉いですぞ! エクス坊ちゃま! こんなにも遠くまで歩いているのに弱音一つ吐かないなんて、凄く立派です」
「うんうん、セバスの言う通りですわ! さすが私の弟ってとこよね!」
「僕も、エクスの事見直したよ! とっても頑張り屋さんだよね!」
はっ! 何を当たり前の事をこいつらは言っているんだ
俺様が偉いなんて当然の事実であるのに、それを改めて言うあたり、こいつらの知能の質ってのが窺えてしまうぞ
まぁ、それはさておき… 毎回外を見て思うのだが、どう見ても中世レベルの文化があるっぽい感じである
しかしだ…
移動の手段が基本徒歩のみってどういう事だ?
俺の家でも一応馬らしき生物は飼っているのだが、乗って移動するって事を誰もしていない
そもそも、家にある文献を読み漁っても、そういった記述を見た事がないのだが…
で、ここ最近気が付いた事として、大きな荷物を移動する手段として良く用いられるのは、紐に括り付け直接引っ張って移動
もしくは、板とか布の上に置いて直接、紐で引っ張る
うん、明らかに旧石器時代の運用法である
本当なら、封建制度まであるんだから、馬車とかそういったものがあってもおかしくないはずなのに…
なのに、我が家で飼っている馬はというと、基本、荷物を運搬する為だけに使用しているだけ
で、鉄を加工する技術とかそれ以上に難しい鋼やら得体の知れないミスリルとかいう謎金属を鋳造する技術などあるくせに、弓がまだ無いってのもおかしい
おかしい事を挙げれば、まだまだあるのだがキリがないから一旦考えるのは止めておこう
ただ、俺がビッグでグレートな4歳児だとしてもだ… こうも歩きばかりだと正直疲れる
ちょっと世紀の大発明は後回しにして、この事を解決しないといずれ引き籠り生活になってしまいそうだ
たぶんだが、このアンバランスな状態ってのは、この世界にある謎の力『魔法』の影響かもしれない
古来より、新たな発明とは凡人が行うのではなく、偉人が行っていくものだ
仕方ない… この世界の為とは言わないが、俺の為に少し知恵を出すしかないな…
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パパンとママンを村外れまで迎えに行ったその日の晩、俺は自室でとある文章を読み解いている
その文章には非常に興味深い内容が記載されており時間を忘れて読みふけっているのだ
「あなた、エクスのお土産は私の言ったとおりでしょ」
「ううむ…、まさかこんな物にエクスが興味を示すとは…」
「もしかしたらエクスは偉い学者様になるかもしれませんよ」
「いや、それは少し困るな… 一応、我らは男爵家な訳だし、騎士や魔術師になって貰わなければ…」
ふむ、パパンとママンが何か言っているが、そんな事よりこの文章を理解しなくてはならない
…
ある程度理解した所で、一つの結論が導き出せた
この世界で乗り物が全く見当たらないのは、乗り物に乗って移動するという概念がこの世界には無いのが判明した
一般人はもとより、この国で一番の権力者である国王でも、徒歩での移動が基本となる
どんな長い距離だとしてもひたすら歩くのみ
その理由として一番の原因としては俺の予想通りであった
うん、魔法の存在が原因
どんな人… いや、人だけではなくある一定の知性がある生物全般において魔法を無意識に使用しており、どうも長距離移動を実現させているようだ
この事はあくまでこの文章から知れただけな為、検証は必要であるものの、恐らく事実に近いものだと思われる
何故なら、王都まで行っていたパパンとママンの移動手段が徒歩だけだったのだ
しかも、家に帰ってからの様子を見る限り、余り疲れていない様なのだ
話を聞くと、パパンとママンは片道1週間ほど歩き続けていると言う事が解った
なのにどうして疲れていないのかは… 謎パワーである『魔法』の影響が大きいと容易に推察できる
「だが、本当に真剣に見ているな」
「えぇ、恐らくこの絵本がとっても気にいったのでしょう」
「まぁ、この本は私も幼少の頃よく見ていたからな」
「えぇ、私もこの本はよく見ましたし劇もした事がありますわ」
「そうなのか? 騎士が狼と鷲、そしてゴブリンをパンで家来にしてオークを退治するという内容であったはずだが… ルシールはどの役をしたのだ?」
「私ですか? 私はオークの女王を演じましたわよ」
…パパンとママンが下らない事を言っているが、これから俺のするべき事が固まったな!
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