53:リザルトを眺め統制に沈む
名前:尾崎幻拓
種族:精霊憑き
レベル:29(↑3)
魔法力:202(↑20)
攻撃力:77(↑4)
耐久力:75(↑6)
反応力:93(↑15)
機動力:76(↑5)
直感力:121(↑4)
特性:精霊契約(アウレーネ、オルディーナ、ユキヒメ、サンドラ)、魔力制御、魔力変質(魔法力、攻撃力、反応力、機動力)、アイスウィザード、土魔法
スキル:怪力、鑑定、識別
名前:アウレーネ
種族:精霊
レベル:29(↑3)
魔法力:217(↑15)
攻撃力:7
耐久力:51
反応力:105(↑7)
機動力:22
直感力:123(↑2)
特性:精霊魔法、魔力変質(魔法力、反応力)
第4階層裏ボス的な存在のブリンドオルムっぽい水棲ワームを倒した後、付近を捜索して見つけた宝箱の中にあったスキルオーブ。
使用したら識別というスキルを覚えた。
ただし、増設弁を開放して魔力を流し込んでもこれと言って何かが変わった様子はない。
識別という名称から色々と周りの物を見回してみたり、工房の外に出て軽くボグハンドを狩ってみたりしたもののこれと言って変化はなかった。
得たはいいが結局よく分からん謎スキルということで落ち着いた。
他のドロップ品を見てみると、魔石から推測するに水棲ワームのレベルは30のようだな。何気に第4階層門番ボスだった飛竜よりも高レベルだ。まさに裏ボスといった所か。
一緒にドロップした大きめのビンの中には恐らく水棲ワームが纏っていた粘液が。これもゲームに沿った内容だな。
クラフトゲームシリーズの幾つかの作品ではこれが一番最初に手に出来る素材の一つとして最終的に創世の泥なるマジッククレイの上位互換的なファンタジックアイテムを作成できたが、現実で出来るかは分からん。
まあ出来るかどうかは全ての素材が仮に集まったとしてから考えよう。
幾つかの鉱石柱からはアルミや石灰石を始めとする数種類の金属鉱石類が手に入ったが、ここから合金に手を出すのは……うん、今の俺の手には余るな。
変質魔力を始めとする魔力的性質が素材の性能に大きく影響するのはその通りだが、物質側の性質ももちろん関わってくる。
なので可能であれば物性的に堅牢にした上で魔力的にも性能を詰めていけば最上級の素材が出来るのだろう。
だがしかし、かと言ってコンマパーセントレベルまで詰めてかつ魔力変質などをさせて性能試検をしていくのは時間的にも材料的にも無謀だ。主にとこしえの花びら的な意味で。
精々、公開されている有用合金の配合でそれぞれの金属の魔力変質を詰めていったらどうなるかを試してみるくらいだろう。
金属資源の検討はこれくらいとして次の報酬……というか気付き。
水棲ワームが鉄杭に対抗して作り上げたガラス半球のような物体。作成するときに漏出した魔力が白ではなく藍色に呈色していたことからしてもほぼほぼ変質魔力だと思われる。それも耐久力の。
飛竜でもそうだったが第4階層は気付きが多いな。そういう趣旨の階層なんだろうか。
それはともかくとして、ダンジョンでガラス球というと真っ先に思い浮かぶのがコアだ。
魔力の格納容器にして中の魔力がなくなると光の泡を吐いて消失する不思議な物体として認識していたが、考えてみればなぜ物体としてそこにあったものが光の泡を吐いて消失するのか。そう疑問に思っても良かった。
推測が正しければ、ガラス球と思っていたそれは耐久力の変質魔力が実体化したものだったのだろう。
内部に魔力が存在する事が実体化に必要とかそういう性質があれば、物質として存在しつつも内部の魔力が無くなると光の泡を吐いて消失するという現象にも説明が付く。
ではどうやって耐久力の変質魔力を作り出すかだ。
適当なコアを取り出して改めて魔力を通してコアの殻そのものを良く探ってみる。
魔力的には通そうと思えば通せるし、押し込もうと思わなければ通らない不思議な構造。それでいてハッキリとした骨格があるという訳ではなく感触としては時間の止まった魔力そのものといった魔力構造。
物理的な構造がどうなっているのかは研究器具がまるで足りないので調べようがないが、藍色変質魔力を固化させることでこの構造が作られているのならば、コアというのは概ね藍色変質魔力で造られたガラスと言ってもいいかもしれない。
つまり非晶質ということだ。
固化した液体とも言われる非晶質は液体を急速に冷却することによって作られる。
藍色変質魔力を即ガラス半球に形作る事が出来たのは、藍色変質魔力が何かの弾みでガラス化出来るような性質を持っているからなのかもしれない。
つまり魔力の過冷却状態という訳だ。
固化しそうでしない曖昧な状態、流動性を限りなく失わせつつも構造体を持たせないそんな状態に持っていけば、もしかしたら魔力の過冷却状態、ひいては藍色魔力変質が出来るかもしれない。
推論が立ったら早速検証だ。
俺は白色魔力を出して外側を緩く構造化させてスライム状にすると内部の流動魔力を操って可能な限り流動を抑える。
改めてやってみると案外面倒だ。
自身の魔力は意志一つで動かせるが、逆に言えば意志一つで動いてしまう。
流動を抑えるというのは雑念を払って目的に集中するという事が結果として必要になる。
ぶっちゃけ今もこうして思考を巡らせてしまっている俺向きの魔力変質ではないな。
そうは言っても、魔力制御は慣れたもので―――。
暇を持て余したサンドラが顕現してユキヒメにちょっかいを掛け始めた辺りで、俺の座るクラフトベンチの前には藍色に染まった魔力を内部に貯めた白色魔力の球体が浮いていた。
……とりあえずサンドラは後で泣かす。
と思ったらちょっかいを掛け過ぎたのかユキヒメに茨触手で絞められてべそをかいていた。ならヨシ。
* * *
「えぇー、尾崎さんも申請したんスか? 意外っすね」
「メインは探索者証その物ですけどね。あれ、載ってる情報的には運転免許と同レベルなんで、身分証明に便利だと思うんですよね」
開けて週初め。
今週から一般の探索者登録申請が始まったが、悩んだ結果申請する事にした。
身分証明として使う予定なのもその通りだが、他のダンジョンも見てみたいというのが一つ、それから何某さんの話では探索者の正式登録の際に任意でステータスを記入できるという話があったからだ。
もちろんまだダンジョンに潜った事のない人間には目を瞑ってもステータス表記など出ないはずなので、一度ダンジョンに潜る必要がある。手続き的には登録申請時には仮カードを発行し初回ダンジョン探索後に改めてステータスを各自記入するといった形になるのだろう。
任意なのは恐らくだが、まだ他人のステータスを鑑定することが出来ないからだろう。
俺も持っている鑑定のスキルや魔宝玉はダンジョン管理機構側も持っている可能性が高い。
しかし俺の持っているそれがステータス鑑定できないのと同様に恐らくダンジョン管理機構側もまだステータス鑑定能力を持っていない、または十分に配備できていない可能性がある。
ただし、これから先どうなるかは分からない。
もし他人のステータスを鑑定できる能力がダンジョン管理機構に流通して登録申請の際にまずは鑑定とでもなったら俺のステータスは飛んでもない事になる。
まず間違いなく無許可でダンジョンに潜っていることがバレるだろう。
そのため、まだ任意で自由に数字を書き込める内に登録だけしておくことにしたのだ。
作っておけば少なくとも免許更新期限である3年ないし5年後までは誤魔化せるし、最悪そのまま失効させて自宅のダンジョン一本に絞っていくことも出来る。
あとやっぱり教習所に通わなくても運転免許と同程度の身分証明書が貰えるのは大きい。
多分行政的には探索者犯罪者を殊更警戒して可視化しようとしているんだと思うが。
ちなみに何某さんは既にレベル3だそうだ。ステータスも反応力が高いとか何とか言っていた気がする。若いっていいね。
拙作をお読みいただきありがとうございます。




