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32/165

32:リザルトと対策

名前:尾崎幻拓

種族:精霊憑き

レベル:20(↑1)

魔法力:126(↑4)

攻撃力:57(↑5)

耐久力:53(↑3)

反応力:48(↑5)

機動力:40(↑4)

直感力:111(↑1)


特性:精霊契約(アウレーネ、オルディーナ)、魔力制御、魔力変質(魔法力、攻撃力)、アイスウィザード、土魔法

スキル:怪力、鑑定


名前:アウレーネ

種族:精霊

レベル:20(↑1)

魔法力:168(↑8)

攻撃力:5

耐久力:40(↑2)

反応力:63(↑4)

機動力:15(↑3)

直感力:108(↑6)


特性:精霊魔法、魔力変質(魔法力)


 昨日の探索では多くの報酬と課題とそれから一つの特大な壁が得られた。


 レベルも珍しく1つ上がり、概ね鍛錬に見合った成果が得られたようだ。何かヒントが得られれば幾つかのステータスで魔力変質を試してみてもいい数値になりつつある。近いところにヒントがありそうなのは機動力だが、もう少し考察前に材料が欲しいな。

 そういえば報酬の荷解き前に、消耗品の在庫整理をするんだったな。

 回復薬や魔力回復薬はその副産物の需要が高いのもあって合間合間を見て定期的に作り続けている。

 今までそこまで被害を受けていない上に多量の供給もあるので、古いものではまだチスイザクラ討伐すらしていなかった時の回復薬まで余っている。当時は精製効率を上げて魔力濃度16まで上げられたと喜んでいたか、懐かしい。

 今では濃縮しなくてもそれくらいの魔力濃度の回復薬はむしろ薄めないと作れないのでまるで需要がない。

 まとめて納品でいいだろう。

 ホームセンターで買ってきた保存ビンやら調味料ビンやらに色々入っているが今ではもっと高性能で形状自由なアシ成形不透ボトルがあるので残念ながら使い道はなさそうだ。容器を移し替えるか迷ったが、使わない物でマジックボックスが埋まっても嫌なので割り切って納品に流す。

 いろいろ占めて登山用リュックの過半を占有できるような20キロは超えてそうな量になったが、まとめて納品台の上に置いて消していく。

 最後の魔力回復薬をリットル単位でまとめた保存ビンを突っ込んで作業は終わり、一息入れて魔養ドリンクを一服しているとゴトリと重い音が納品箱から響いてきた。

 今回は重さ的には似たような重量物が返礼品として来たらしい。

 納品箱の上部に手を当てて、取り出そうと念じる。

 次の瞬間手の中には―――。

 ずっしりと鈍く黒光りする細長い銃が置かれていた。


 ……見なかった事にした。


―――……。


 暫くぶりのファッキンダンジョンのどうあがいても持て余す返礼品をそっとマジックボックスに封印してもう一息魔養ドリンクを一服する。いや下手なチスイザクラよりメンタルデバフ強いわ。だからと言ってチスイザクラの時の狂奔をもう一度繰り返したいとは思わんけど。

 それはさておいて、倉庫整理も終わったので報酬確認だ。

 今回探索した渓流沿いの最下層域から上流の渓流洞窟内では沢山の鉱石柱や2つの宝箱があった。

 おおむね魔力濃度は15程度で金銀銅鉄水銀と概ねよく使う金属が得られた。鑑定ポンコツ先生はこういう時ドヤ顔で同定してくれるから助かるな。アウレーネや俺の見立てでは多分そうとしか分からんからどうしても仮称や推定を付けたくなる。

 そして宝箱からはグリモワールなる魔力構造体をページに仕込むと多分魔法が使えるようになる白紙の本や、小さい紺色の魔石がついた白金の腕輪が得られた。

 まずは白金の腕輪からかな。


名称:回癒の白金腕輪

魔力濃度:15

魔力特徴:魔力を込めると傷を癒す


 鑑定ぽんこつ先生の言う回癒なる魔力特徴はアウレーネの見立てによると要するに回復薬と似た効能らしい。

 まあそれはいいとして、アウレーネはポンコツ先生と違って更に詳しい解析を掛けてくれた。


名称:白金

魔力濃度:15

魔力特徴:魔力と意志を変化させる手助けをする


 白金自体にも魔力特徴は存在したが、鑑定ぽんこつ先生は一つの腕輪として見た場合の機能効能しか教えてくれないようだな。

 アウレーネに詳しく聞くと、解析に使った魔力のヤドリギの種が白金に付着すると途端勝手に発芽してグイグイと根を伸ばし、慌てて意志で制御したが魔力を送ったり吸収したりすればその分だけ魔力の根っこが外側から強固に強靭になるように成形されていったらしい。なんか聞いていると面白そうな特徴しているな。

 まず紺色魔石と白金とを分離する前に軽く性能検証しておいた方がいいだろう。

 俺は腕輪をはめてサバイバルナイフで腕を……斬ろうとするが思いのほか浅かったので、銀白籠手を鋭く尖らせて薄く切れ込みを入れる。想定外な検証が出来たな。俺の皮膚はいつの間にナイフで撫でるだけじゃ血すら滲まないくらい分厚くなったのか。新たな検討事項に驚きつつも紺色の魔石に魔力を流すと深みのある青色の魔力が傷口を覆って次の瞬間には傷痕すら消えている。

 回復速度はかなり早いようだ。

 次に俺は手近に見つけたアシ布に切れ込みを入れて再び紺色魔石に魔力を流す。深い青色魔力が裂け目を覆って次の瞬間には元通りになった。

 回復薬と似てるけど違うといった理屈が明らかになったな。紺色魔石は物の損傷にも対応できるようだ。

 ただ、残念なことに魔力濃度以上の回癒は効かないのと癒合くらいならまだしも欠損段階を回癒させて物を増やそうなんてデュープ思考は予想以上の魔力消費で断念したうえで、犠牲になった木の柄殿は伸びつつあった切断部分を無理やり癒合だけして、明日以降柿渋で染め直して魔力濃度を回復させる必要が出てきたが。

 ゲームだったらチートとでも言われそうなぶっ壊れ性能こそなかったものの、使い易い強力な能力ではある。白金の方も検証したら上手く装備に組み込めないか検討してみよう。


 白金の方の性能は案外早く判明した。

 白金の留め金から外した紺色魔石を使った所、回癒作用がワンテンポ遅れたのだ。メインは魔力を送り込んでから深い青色魔力が飛び出るまでの間、腕に付けた傷に至っては治りの早さも変わっていた。

 詳しく調べてみると白金に近ければ近いほど、魔力濃度が白金のそれより低ければ低いほど構造構築と回癒作用が向上するようだ。ちなみに回癒作用だけでなくその他多くの魔力制御にも向上作用は機能した。

 紺色魔石と白金。どちらも攻略に大きく寄与しそうな重要資源を手に入れられたようだ。




   *   *   *




 再び休日がやってきて俺は平日の内に貯めたとこしえの花びらを使って金属の魔力置換作業をしていた。

 この魔力置換方法が確立できた当初こそもっと収量の多い果物などを使った代替手法を模索していた。

 しかし、灰や炭などの状態でないと素材から魔力置換構造体を効率よく取り出せなかったため、水分の多いブドウやカキは灰や炭にするには不適切だった。イガグリは炭にしてからならばそれなりに取り出せたものの、炭作り自体がかなりの魔力と時間を必要としたので躊躇われた。極めつけはブランデーもとい回復薬作りや魔力回復薬作り、アシ布やらマジッククレイやらを染め直すための柿渋作りとレベルアップに伴う更新作業がどっさりと入り込み、結局使う暇がないままに週末になってしまったのでそれならば貯まった花びらを使った方が早いということになったのだ。

 嬉しい悲鳴ではあるが、積み重なって来るものが増えてくると徐々に小回りが効かなくなってくるな。

 しかし、今度のボスは特大だ。火球を吐き咆哮を上げるモンスター推定ドラゴン。飛びトカゲやら矢魚やら周辺のモンスターも見る限り飛翔能力は持っていると考えていいだろう。下手すると強力な機動力を持っている可能性もある。

 今まで以上に積み重ねを大事にして、その上で十分に対策を練って行かないと簡単に死が見えてくるだろう。

 見えてる脅威、推測できる脅威をそれぞれ上げてみよう。

 まず見えている脅威は2つ、火球と体の大きさだな。火球は洞窟から先の地面に着弾し、爆発しただけで洞窟の中にまで爆風と火の粉が飛んできていた。加害半径はかなり大きいものと考えていた方がいいだろう。次にサイズ。体の大きさこそ見えなかったものの、重要な情報、咆哮は聞こえた。あの声量と音程の低さからしてゾウサイズは下らないだろう。少なくとも踏み付けや体当たりが直撃したら余裕で死ねる。下手すると火球よりこちらの方を危険視した方がいいくらいだ。緑色魔力を展開して斥力で上手く飛ばされて圧迫を避けられるか試してみてもいいかもしれないな。

 次に推測できる脅威は概ね2つ。飛翔と機動だな。飛翔は第4階層のモンスター傾向から推測できるが、あの声量の咆哮を上げる重量物が飛翔できた場合、もちろん捕獲からの高空紐なしバンジーも脅威だが、反作用の風も大きな脅威になるだろう。下手すると風に煽られてバランスを崩した所に踏み付けの確殺コンボを食らう危険性さえある。それに今まで防御盾として利用していた細氷の霧が制御を失ってこちらに牙を剥く可能性も念頭に置いておいた方がいいな。本当に油断できない。機動もモンスター傾向から推測できるが、重量物が高速で移動してくるというだけでもう脅威だ。それに飛びトカゲは機動力に加えて反応力もいいのか、盾での弾きを的確に弾かれてバックラーについた鉤爪を避けて飛び退ったりもした。生半可な速度の攻撃は対処される可能性を考慮して置いた方がいいだろう。

 こんなところだろうか。策は、幾つか検証してからだが思いつかない事もない。

 入念な準備が必要になるが……まずは花びら灰を仕上げる事だな。

 クラフトベンチ山盛りに横たわる花びらを見上げて俺は軽く天井を仰いで目を瞑った。

拙作をお読みいただきありがとうございます。

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