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18:魔導具

 俺はガチガチに凝り固まった肩を解して出来たばかりの魔養ドリンクを一息に干した。

 言い訳はしてもアウレーネの圧には勝てなかった。

 回復薬作りをしたはいいが、午前中にバカスカ魔力を使ったせいか少々魔力不足になり、アウレーネと一緒に魔養ドリンクをパカパカ開けた結果魔養ドリンクが不足し、魔養ドリンクを作るために魔力回復薬を作った。イマココ状態である。

 本末転倒も何もあったもんじゃない。

 大体アウレーネの奴飲み過ぎだろう。飲むなとは言わないが飲むな。

 あいつ1人で魔養ドリンクの在庫の半分は開けてたぞ全く。

 ダンジョンでは呑めないから代わりというが、代わりに飲み干されても困る。

 その内魔力回復薬も壷にまとめて納品箱にぶち込むことになるんじゃないか。いや、止そう……滅多な事を考えるもんじゃない。


 そう。ついにとうとうダブついた低品質回復薬は納品箱行きになった。

 壷5つ分ぶち込んだ結果、赤みを帯びたインゴット5つになって帰って来た。


名称:推定銅

魔力:10

特徴:魔力を通さない


 保存ビン候補ゲットだぜ。

 とは思ったものの検証してみると魔力を通した。なんぞ?

 詳しく見てみると魔力を通さないのは魔力10以下の魔力までらしい。

 つまりこれで保存ビンを作ったとして、回復薬も魔法回復薬も魔力10まで劣化する。

 上げて落とす、そのクソ加減に俺はインゴットを叩きつけた。足の指に。

 めっちゃ痛かった。回復薬1杯使った。




   *   *   *




 それにしても昨日はエライ目にあったな……。どれもこれも酒のせいだ。

 気を取り直して俺は氷漬けになった青魔力氷の核を調味料ビンから取り出す。

 コップに張った氷からビーズサイズの青魔力氷の核を取り出すのは案外簡単だった。

 周囲の氷を溶かしながら青魔力氷に白魔力を送れば細氷の魔法を生成して自分の周囲を低温状態に保ってくれるからだ。


 さて、木の杖ギミックの核になる小細工は出来た。あとは小細工を格納するガワ作りだが。

 ひとまず一歩ずつ進むことにして、2本ある木の杖の内1本を分解して見る事にする。

 アウレーネに頼んで木の杖を粘土細工のように解いてみる。木工植物関係に強いのホント助かる。けど酒は止めて。

 木の杖の中心に埋まっていたのは赤い球だった。

 手に持てるしどう見ても火ではないが、魔力を流すと確かに手のひらの上に小さな火球が生まれたのでこれが火を生成する機構で間違いないようだ。


名称:発火球

魔力:3

特徴:魔力の籠る意志を火に変える


名称:木の杖

魔力:3

特徴:魔力と意志を伝える


 分解するとこのようになった。

 何この棒ってそれ銀の乳棒の特徴と同じじゃねえかと手持ちの木の枝を解析して貰っても全然そんな都合のいい特徴じゃなかったので、この杖の木材の種類が特別なのか、あるいはダンジョンが最初から杖として生み出したとも言えるこの木の杖が特別なんだろう。人があれこれ捏ね繰り回している中、脳筋解答で踏み超えていくダンジョンまじ世知辛い。……いや、むしろ。そうか。


「レーネ。後でいいけど、この木の特徴、真似て他の枝改造できるか?」

「んーいまはムリ。ちょっとヘンなちからある」

「青色魔力みたいな?」

「たぶんそう?」


 俺が青魔力氷を作ったのと同じように緑や青に変える事で特殊な効果が得られるのかもしれないな。

 まあいい、それはアウレーネにじっくり腰を据えてやってもらうことにして、今はそれより核の換装実験だ。

 発火球が埋まっていた場所に青魔力氷を埋め込んで戻す。


名称:木の杖

魔力:3

特徴:魔力と意志を伝える。


 青魔力氷の魔力より下がってしまっているのが気になるが、取り合えず使ってみよう。

 俺は工房の外に出て木の杖に魔力を流す。

 木の杖の先に氷の粒が生まれ、……こぶし大の氷塊となって正面のアシ原に落ちて根元の水を凍り付かせた。

 ……うーん、動く事には動くが、何か違和感がある。こう、あれ。肩透かしというかワンコイン入れたのに何かショボかったゲームというか。

 これは比較検証すればいいだろう。木の杖は仕舞って手をかざし、先ほど流し込んだ魔力と同程度の氷魔法を……の前に半分以下の魔力でこぶし大の氷塊に育ってしまったので取り合えずそのまま撃ちだす。

 取り合えず速度は同じ緩めに飛ばして木の杖産の氷が作った氷結円を参考に、少し離れた位置を目指して着弾させる。

 着弾した氷塊は木の杖産の氷結円の4分の1程を飲み込んで新しい氷結円を広げる。

 やはり木の杖を介するとエネルギーロスというか性能差というか、……いやむしろ両方か。ともかく注いだ魔力に対して残念な結果になっているようだ。

 考えられるのは、まあ可能性は考えていた通り木の杖の魔力、品質か。

 折角作って貰った所悪いが、アウレーネに杖から青魔力氷を取り出してもらい、毎度おなじみ銀の乳棒の先端にマジッククレイで台座を作り、青魔力氷を嵌め込んで素手で作った氷結円の更に隣にこぶし大の氷塊を放つ。

 今度は氷結円同士がほぼ接する位置、同じ規模の威力になったようだ。


 これからは素材の魔力についても気にして製作を行っていかなければいけないな。

 ひとまずはこの結果をもとに、青魔力氷をどのような手札に仕上げるか、か。

 アイディアはある。幾つか検証が必要だが、そこをクリアできれば後は俺の加工力次第だろう。

拙作をお読みいただきありがとうございます。

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