表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

124/165

124:報告とリザルト

「なぁ、ちょっと翻訳を頼みたいんだが」


 禁書庫に入ると厨二女が丁度目の前に居たので話しかければ厨二女はわざとらしい溜息を吐いた後、これ見よがしに紫色の変質魔力を生成していつもの烏の姿を取らせる。


『私は訳者じゃないのだけど?』

「これ」

『変ね……。日本語は喋っているハズなのだけど』


 帽子の上の烏を手に取ってもにもにし始めたのは正直ちょっと羨ましい。サブ人格でクレイゴーレム作った所で何の楽しい事もないからな。


 いやそんなことはどうでもよくてだ。さっさと面倒ごとを全部投げて帰りたい。別に長居したい所でもないからな。

 厨二女が広げるグリモワールの上に置いたのは藍色構造魔力と赤色面状魔力を混成して生成した偏光コアだ。


「その中には作った覚えのない(・・・・・・・・)星コア(・・・)を経由して記録した映像を封入してある」


 そう言えば厨二女にもきちんと伝わったようで、烏のもにもにがぴたりと止まった。


 恐らく俺の星コアを納品した際にダンジョンが取得した情報から模倣複製されたドロップがとうとう出てきたのだろう。


 とはいえ相手さんにしてみれば実用実益としちゃクソの足しにもならないが。


 現実同士であればずっと繋がっているし、ダンジョン内であっても星コアの側から魔力を流し込まれれば同調状態に入りこそするが、その同調に対してどう応答するかは俺の一存で決まる。未だ偶に勇者氏があいつに送った星コアに魔力を流して同調してくるが9割方スルーしているようにな。

 もっと言えばどのような応答をするかも俺次第なので、例えば呼びかけに対して完全無視を決め込む一方で、赤色魔力を視認できない程度に展開して探知し続けた上でそれを偏光コアとして固定封入し、白色魔力を反応させることで幻影として映像を再生できる、実質魔力的な録画を密かに行うということも可能だった。


 その成果が今転がした偏光コアという訳だな。


 ただ盗撮自体は出来たものの根本的な問題もあって、その最たるものがまあ、ネイティブにナチュラルに喋られると何言ってるか分からんっていう事だ。

 端々の単語から英語だって事は分かったものの、内容については流石に追いきれないしもっと言えばそもそも追うモチベーションは端から皆無なのでこうして厨二女に丸投げしに来たわけだ。


「英語圏の軍人とその他諸々の内部会話。重要な話題があればあとで教えてくれ」


 そう言って残りの偏光コアも置けば、厨二女は溜息を吐きながらも偏光コアを摘まみ上げた。


 相談事も無事に済んで何よりだな。


「あぁ、あとそれから最後にいつも通り。思い出したのと新規にダンジョンの情報リソースに引っかかったスキル。置いておくからそっちに写しておいてくれ。それからレベルの魔力変質は習得出来たんだが、なんかお前のレベルの魔力変質と違いがあるみたいだからメモっておいた。気が向いたら調べてくれ。それから……『ねえ』」


 帰る前に連絡事項を並べていたら厨二女が立ち上がって遮ってきた。何なんだコイツ。


『情報量が多い』

「嫌か?」

『ワイン』


 お前まさかアウレーネが化けてたりしない?

 生憎贈答用ワインは特段の理由をもって送る直前に作成しないとその存在を一日と保つことが出来ずにどこぞの宿樹精の体内に吸収されてしまうので用意できていないが、代わりに酒精が極限まで高められた魔力回復薬なら在庫は副産物の魔養ドリンク需要もあってそれなりに余裕がある。ここで送っておいても問題ない。


『おうゴッド』

「褒めるなよ」

『呆れてるのよ』


 腹腔から取り出して机の上に置いた感想がそれらしい。おかしいな? 報酬を提示したのになんでけなされなきゃいけないんだ?


 ちなみにけなされたので報酬を下げようとしたら高速で伸びて来た細い手にガッチリと掴まれてしまった。要るなら要ると正直に言えよ。


 結局丸投げした用事は全て受けて貰う事になったが、その代わりに厨二女が彼女のグリモワールに写したり設備に標本したりする間に根掘り葉掘り聞かれる事となった。

 さっさと帰る腹積もりだったんだがな……。




   *   *   *




 まさかの難敵(定期健診)が立ち塞がったり野暮用が急遽生えてきたりとここ最近のんびりと探索が出来ていなかったがまあこういう時もあるか。


 厨二女の禁書庫からメタルゴーレムを工房に戻す。

 ただ面倒な雑務を丸投げするだけなのに結構な時間が食われたな。


 受信ゴーグルを外して軽く伸びをすれば工房の顔ぶれも変わっていつの間にやらア~シャとシスティがアシで編んだ笊に桃を山盛りにしてくつろいでいる。


 その山盛りの桃の向こうではサンドラがご満悦な様子で届かない足をぷらぷらとさせているようだ。

 状況を見るに、ア~シャが桃を剥いてシスティが小分けにされた桃を楊枝で突いてサンドラに給仕しているのだろうが……、傍目から見ればガキに餌付けしているようにしか見えない。あいつはアレでいいんだろうか?


 まあこちらとしては何を言うまでもないか。

 今現在クソガキが大人しくなっているのであればむしろ引っ掻き回すだけ損だ。そっとしておこう。


 ふと目に飛び込んで来た光景に思考が逸れてしまったが、改めてダンジョン探索……の前に報酬確認だ。


名前:尾崎幻拓

種族:精霊憑き

レベル:51(↑6)

魔法力:331(↑33)

攻撃力:112(↑15)

耐久力:107(↑10)

反応力:202(↑13)

機動力:98(↑8)

直感力:173(↑21)


特性:精霊契約(アウレーネ、オルディーナ、ユキヒメ、サンドラ)、魔力制御、魔力変質(レベル、耐久力、魔法力、攻撃力、反応力、機動力、直感力)、混成魔法、氷魔法、土魔法

スキル:怪力、鑑定、識別、招待


名前:アウレーネ

種族:精霊

レベル:51(↑6)

魔法力:332(↑17)

攻撃力:10(↑1)

耐久力:64(↑1)

反応力:219(↑8)

機動力:28

直感力:188(↑35)


特性:精霊魔法、魔力変質(レベル、耐久力、魔法力、反応力、直感力)、混成魔法


 とうとう推定金色ドラゴンのレベルを越えてしまったな。

 仮に再戦するとしたら黄色同調魔力を圧しつける事で雑に制圧できたりするんだろうか。……いや無理か。

 あいつはそもそも緑色斥力魔力も纏えるから魔力支配権の奪取に対しても幾らかの抵抗力を持っているはずだ。余程差が開かないでもない限り泥臭くガチり合わなきゃならんだろう。


 それはいいとして。


「アウレーネも習得していたんだな。レベルの魔力変質」

「ちょっと大変だったけどねー」


 いつの間にかにアウレーネがレベルの魔力変質を習得していた。

 特に練習風景を見た覚えはないので俺が寝ている間にでも練習していたのだろうか。


「アウレーネのレベルの魔力変質はどんななんだ?」

「んーちょっと特殊?」


 聞けば声になるとか何とかイマイチ要領を得ないが俺みたいな感応性の変質魔力ともオルディーナや厨二女みたいな模倣性の変質魔力とも違うらしい。また厨二女案件かな。


 実用に関しても考え中との事なのでまた案がまとまったらその内披露してくれるだろう。


 ステータス方面はこれでいいとしてドロップ報酬だ。


名称:淵源の産土

魔力濃度:68

魔力特徴:淵源


 見た目は一塊の黒い火山岩。

 魔力濃度はあんなんでもボスらしい結構なものだが、またポエミーな魔力特徴である。訳が分からん。


 仕方が無いのでアウレーネに解析をお願いした所、この素材は魔力と情報を受け取ってそれを増やす性質を持っているらしい。

 アウレーネが魔力を送れば火山岩からコア質のヤドリギが生えて来た。

 さっきの言葉に倣うならこのヤドリギはアウレーネが生やしたものではなくこの素材の機能という事だろう。

 

 うん……うん?


 つまり3ⅮプリンターどころかSFにあるような複製機あるいはレプリケーターって事か? マジで?

拙作をお読みいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ