花の妖精はどこに、ミレイ休息編
「もうひとつ聴きたいことがあるんです」
丘の上から洞窟まで降りてきて、草原の洞窟からの帰り道を教わったあと、わたしは聴いてみる。
「いいですよ」
「花の妖精たちには、どうしたら逢えますか」
すると、水妖精たちは少し残念そうにする。
「わたしたちも、住処までは知らないんです」
「妖精は、元から場所を移動するのが好きだから……」
「わたしたちは、ここに居着いてるよ」
こちらも残念ではある。
でも、仕方ないか。
花の妖精たちと仲良しでも、場所はわからないらしい。
もうひとつ高魔宝石が必要なため、できればどこの辺りにいけばいいのかだけでも知りたい。
「なにか、花の妖精たちの話しで気になることない?」
「気になることですか」
「う〜ん」
あまり無さそうなら、また少し探しものをしながらの……。
「あ!」
「あ!」
「え?」
「花の種」
「そうそう」
花の種?
「花たちを眺めたくなったら、洞窟にでも撒いてって渡されたの」
「そうそう」
草原の洞窟のベンチの下から、なにか箱みたいなものをだしてくる。
ベンチの上に、少しずつ中身をだしていくと、小さいなにかにくるまれたものをだして、ベンチの上で確かめている。
「これ」
「はい!」
ヒイロに手渡しているため、その手元をみると、小さい種が何粒か載っている。
「これ、何の種なのかしら?」
「知らない」
「忘れた」
教えてもらって、忘れてしまったのかもしれない。
「ありがとう」
いろいろもらってばかりなのだけど、特に気にしていないらしい。
「また来てね」
「また迷子になる」
「迷子には、ならないで」
とりあえず、ヒイロの手にあるそれをスズネが、バックから取り出した小さい封筒のようなものに収めてから、またヒイロに返している。
「いきましょ」
「うん」
ミレイに促されて、洞窟の帰り道をいく。
ヒイロもアマツキも楽しかったらしく、感想をその都度思い出して話している。
「次は花の洞窟ね」
「ルルファイスは、洞窟じゃないかもとか言ってたよ」
「そうなの」
「水の洞窟のあと、さまよっているうちに着いていたから、どこだかよくわからないって」
「そっか」
メディは、いつの間にか水の洞窟の魔力で回復したらしく、光をいろんな場所に飛ばして貼り付けている。
洞窟の外にでると、海の近くの少し高い場所にいて、黒鉄鳥を呼ぶ。
みんなの黒鉄がくると、荷物を持ってきていて、黒鉄にお礼をいう。
「みつかったの?」
「うん。水の高魔宝石だわ」
「それじゃ」
「次は、花の妖精よ」
「花ね」
それぞれで荷物を確認してから、次の目的地までの話しをしようとしたら、スズネがなにか慌てていた。
「どうしたの?」
スズネが、駆け寄るとミレイがうずくまっていた。
「ミレイ!」
あまり状態がよさそうではない。
「とりあえず、街までいこう」
メディがミレイの様子を診て、すぐに決断する。
黒鉄鳥に案内されながら、ミレイを抱えて近くの街に急ぎでいくことにした。
メディが抱えていくなか、わたしとスズネで話しかけてみるも、あまり話しできる気分ではないらしい。
近くの街までは、そんなにかからなかったけれど、ずいぶんと長く感じられた。
ミレイが休める場所を探すのに手間取り、ようやくビルの一室をとり、ビル内にある療養場所にきた。
荷物は、メディが持っていき、ほかのメンバーで、ミレイの様子を伺う。
「ミレイどうかな」
「わからないわ」
「薬とか使ってたのよね」
「そうですけど、ミレイせんぱい痛みとか隠すから」
「ミレイ平気かな」
悪魔は、基本的には自己治癒に任せているけれど、ときどき大病したり大きい怪我のときには、こうした療養場所や回復施設をつかう。
あまり使わられることは少ないため、空いていたけれど、ミレイの具合を診るのに時間がかかっている所為で、余計に気がかりになる。
そのまま寝ることになったのか、担当の悪魔がでてきて、説明だけしてくれる。
「身体を強く打っていて、回復に時間がかかっています。それと、食事栄養が不足していて、魔力が低下したみたいですね」
「つまりは……?」
「栄養不足と、魔力回復待ちが続いてのダウン症状ですね」
「はぁ」
「わかりました」
「ありがとうございます」
ベットでしばらく寝ているということなため、少しだけ様子を見て、すぐに退室した。
アマツキとヒイロが聴いてくる。
「どういうのなの?」
「平気そう?」
「う〜ん、いまは栄養素の吸収と、あとはもう少し回復かな」
「じゃ、まだ生きてるよね?」
「それは、そうよ!」
「はぁよかった」
スズネが暗い表情だ。
まだ責任を感じているのかもしれない。
「もう、スズネのせいってわけじゃないでしょ」
「わたしが、ついていたのに情けなくなります」
「別に死んだりしないから」
「うう、それはそれできついです」
「なんでよ」
そこは、ギャル感情とかですぐに立ちなおってほしい。
もうギャル悪魔な感じはとうにない気もしてきた。
「もしかして、このままとか考えると」
「考えすぎよ。未来視悪魔なんだから、自分のことくらいなんとかなってるはず」
「そうなんですか」
「そうそう!」
言いつつ、なんだかわたしまで心配になってきた。
未来視悪魔もこれまでもいろんなことあったから、
自身に関してのは、曖昧なのかと想うことも多々あるのだ。
それとも、より強力にすると反動があるのだろうか。
わたしのクラフトやメディの光は、いまのところそういった効果が、はね返ってくることはなさそうだ。
とりあえず、一室だけなのだけど、ビルの個室が取れたため、メディと合流しようと、その部屋に向かう。
部屋に入り、メディに状況を説明すると、そんなに慌ててはいないものの、少し落ち込んでいるような感じもする。
とりあえず、各自の荷物の置き場所などを考えつつ、ミレイの様子が気になるね、と話している。
アマツキもヒイロも探検することは、気分ではないようだ。
「どうしよっか」
とりあえず、だれに言うわけでもなく、言ってみる。
「ひとまず、休ませることになったんだから、あとは、時間を空けよう」
メディが提案するも、なんだかみんなして不安だ。
食事にしては、洞窟に入ってからは、採っていない。
けれど、いますぐに食べる気分にはなれないようだ。
「まず、一日かけて様子見してみましょう」
その合間、できることを探そうと思う。
「ここの部屋のこと伝えてきますね。あと、しばらくいるってことも」
スズネが、そう言って部屋をでていく。
アマツキもヒイロもなにか考えているらしく、あまり話さない。
メディがキッチンに向かうと、それぞれの飲みものを準備してくれるみたいなため、わたしも手伝うことにする。
「温かいのでいい」
「そうね」
ポットで沸かしている間も、あまり話しが続かない。
ミレイが、起こしたのは魔力切れだろうか。
栄養不足は、食事回数が少なかったからかもしれない。
つい天使界にいたころのアマツキを思い出してしまう。
アマツキはあのころは、やせていて、魔力もほとんど残っていなかったらしく、しばらく教会で休みを入れた。
いまは、体調はよさそうだけれど、わたしももっと周りを見ないといけない。
「メディは平気なの? ずいぶんと魔力つかっていたけど」
「水の洞窟の噴水の場所で、回復できたから」
「あの水は、回復の作用もあったのね」
「ミレイも少しは、飲んでいたようだけど、手当てに夢中になっていたから、魔力放出までは考えられなかったな」
「そうね」
ポットが少しずつ温まり、メディと交代でフルーツティーを入れて、数を揃えたところで、スズネが戻ってきた。
「おかえり」
「伝えてきました」
「そっか」
あの、とスズネが言いかけるため、先を聴いてみる。
「どうしたの」
「メディせんぱい、少しいいですか」
「わかった。とりあえず飲んで落ち着いてからでいい?」
「そうですね」
テーブルに、それぞれカップを置くと、ヒイロとアマツキもこちらに来て、一緒に飲む。
「ねぇ」
「うん、なにヒイロ」
「やっぱり落ち着かないから、このあと散歩しよ」
「うん」
「わたしは、少しここで調べものと、黒鉄を少し呼んでみるわ」
「わかった」
慌てることはなく、カップの飲みものを飲むと、ヒイロとアマツキは、バックのなかを少しみてから部屋からでて散歩に向かった。
スズネは、メディと話したいことがあるらしく、一緒に部屋からでていくと、わたしだけになる。
ネックレスの先、宝石がわたしを元気づけるように、淡く光る。
「黒鉄、こられる?」
ビルのなか、さらに部屋だから、すぐには来られないかと思ったら、窓側からコツンと音がした。
少しだけ想い出した。
ミレイは、まだ未老期でいまより、さらに無茶なとき、何度か倒れていた。
あまりひどくならないといいけれど。
黒鉄鳥が、窓を開けてと催促してきた。
わたしは、窓に手をかける。




