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悪魔な小悪魔ネネの転生者にアレコレしてもう恋しちゃったじゃん  作者: 十矢


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噴水広場から水の相性

「こっち!」


 ヒイロの声がする。

 あとからアマツキの話し声もするから、近いようだ。


「ヒイロぉ!」

「あっ! ネネ」


 ヒイロとアマツキが駆けよってくる。


「噴水だね」

「キレイ!」


 まずは、噴水に引かれたようだ。


「でしょ!」

「探したよ」

「なんでネネが満足そうなの?」

「噴水、いまできた」

「そうなの!?」

「へぇ!」


 わたしは、いまできたばかりの噴水が、ヒイロたちを呼びよせてくれた感じがしてなんだか嬉しい。


「探したよ」

「分かれ道」

「うん、来られてよかった。先いっちゃうかと想ったわ」

「うん、それも考えた」

「ていうか、ヒイロたちよりわたしたちが迷子になりそうだったわ」

「アマツキ平気だったよね」

「うん、そうだね!」


 なんだか、ヒイロとアマツキが少しにこやかだ。

 洞窟で不安かもと想っていたけれど、案外楽しかったのかもしれない。


「そっか、よかった」

「ミレイやスズネは?」

「まだなの」

「そっか」


 ヒイロやアマツキも、ミレイたちと会ってはいなかったらしい。


「ねぇ、メディ」

「どうした」

「スキル教えてほしい」

「どういうの?」

「メディの光!」


 アマツキは、メディにすぐに聴くことがあったようで、話しこんでいる。


「ヒイロたちは、ケガしなかった」

「平気よ。上手く降りたし」

「けっこう怖かったでしょ」

「ううん、平気よ」


 ヒイロは、そんなにではなかったらしい。

 わたしだけ、怖かったのは。

 それとも、わたしは暗がりがニガテだったのかしら。


「洞窟のなか、暗いから大変だったでしょ」

「平気よ。アマツキもいたし。灯りはわたしがつくってたけどね」

「そっかぁ。アマツキまだ基礎スキル不安定なのね」

「メディと修行したいって」

「あぁ、それで聴いてるのね」

「ふふ」


 なぜかヒイロが楽しそうだ。

 噴水の流れをみながら、にやにやしている。

 いや、アマツキを見ているのかもしれない。


「修行かぁ、小さい頃はよくスキルの特訓したわ」

「そうなのね。わたしは、図書館でずっとだったから、図書館内でいろいろ試していたわ」

「と、図書館のなか、かぁ」

「けっこうスリルあってよかったわ。はじめの頃は魅了が跳ね返されたりして、自分にかかっちゃったり」

「魅了ヒイロがかかるの!?」

「そう、なんだろ、ふわふわしてきて気分がよくなるのよね。ルルファイスをみかけると、後ろから抱きしめたくなったりしたわ」

「……なにかヤバいの飲んだときみたいね」

「ネネも試してみる?」

「しない!」

「えぇ〜きっといい気持ちになると思うのになぁ」


 ヒイロって、意外とヤバい悪魔なのかしら。

 アマツキに注意してあげたほうがいいかしら。

 そういえば、天使には対基礎訓練で、異常値や異常付加は、吸収したりできるってアヤネが言ってたかな。


「少しここで待っておこうか」


 メディが聴いてくる。


「うん、ヒイロたちも来られたし、ミレイも気づいてくると想うわ」

「そういえば、ここの場所すごく明るいね!」

「メディが風船で明るくしてくれたの」

「なにそれ!」

「光の属性であるんだよ」

「へぇ! アマツキもできるかな?」

「アマツキ、覚えるのたくさんだね」

「いや、頑張る、です」


 どうやらアマツキは、メディと訓練することに決めたみたい。

 天使と悪魔では、魔力の組み方が違うらしいから、けっこう大変らしい。


「わたしももう少し教わろうかな」

「ネネも試すの?」

「基礎スキルは、総て揃ってるけど、メディの光みたいにそんなに高くないわ」

「……前ルルファイスが最高階級になると、なんか、シンスキル? っていうのができるとか言ってたけど、メディってできるの」


 わたしは、あまり聞き馴染みがないスキルの話しで、びっくりする。


「シン?」

「そう。スキルを真価? 進化できるらしいとか」

「メディ、それ聴いたことある?」

「ヒイロよく知ってるね」


 あるらしい。

 禁書スキルとは、違うらしい。


「付加や魔力を高めた攻撃とは違うの?」

「詳しくは長くなるけど、違うといえるかな」


 もしかしたら、ヒイロの転生魔法の手がかりになるのかもしれない。


「ルルファイスが、以前結晶を探すことになったのも、それなのかしら」

「転生魔法と関わりがあるかは、不明だね。でも、スキルの集約化という意味ではそれに近いのかも」


 メディは、どこまでスキルを進化させているのだろうか。

 ミレイの未来視がもうすぐ禁書扱いになるように、メディの光は、なにか制約が設けられるのだろうか。


「でも、わたしまだまだこれからよ。たしかにたくさん図書館で、書物は読んでいたけれど、実際に使えるものやちゃんとできるのは、そんなに多くないわ」


 ヒイロが心配するのはわかる。

 スキルを進化させる条件は数多くあるけれど、一番は熟練していき、レベルを上げることだ。

 メディがなんだか、ニコやかだ。

 こういうときは、怖いなぁ。


「ヒイロは魅了のスキルは、だいぶ使いこなせてる」

「え、いいえ。その……実は」

「うん、どうしたの」

「ネネは、クラフトって修行とかしたの」

「そうね。期間はかかったけど、わたしのは一悪魔でずっと作業するのがほとんどなのよね」

「魅了って相手いないと、あとは新魔導書に向かってだから、なんかあきちゃう」

「あぁ、それはわかる」

「はじめは図書館で試してたけど、あとからは、違うスキルに目移りしちゃう」

「ヒイロは、勉強熱心だから」

「いいえ。その……身体動かすのはいいんだけど、ジッとしてると疲れちゃうわ」

「え、書物読んだり、資料みつけたりとか好きそうなのに」

「も、物は試し? みたいな」

「スキルも使うほうが好きなのね」

「そうそう!」


 なんとなくわかる。

 クラフトもただ、資料を眺めるのもいいけれど、やはり使ってみてからのほうが、考えていたよりも、楽しみになる。


「なにか魅了対象が、自由にあればいいんだけどね」

「そうよね。やっぱりメディで……」

「メディは、ヤメましょう」

「ネネ?」

「わたしは、その……はんげき」

「えっ?」

「あんまり、ハイテンションになったりすると、トロピカルガンを撃っちゃうのよね」

「ネネ怖い」


 怖がらないでほしい。

 寧ろ魅了にかかってフツーっていうのも変だし。


「……悪魔だからね」

「悪魔ネネって、やっぱり怖い」

「やっぱりって言わないで。そんなには、怖くないでしょ? ね、アマツキ」

「それって、もう怖い悪魔の言い方だよ、ネネ」


 アマツキが親切に教えてくれる。


「こ、怖くないもん」

「そんなに、ネネは怖いとは思わないよ。ヒイロもアマツキも」

「メディ! わたしには、メディがいるわ。そうよ」


 わたしは、メディに近寄ると、そっと腕をとる。

 どうせならと、ぐっと近寄せる。

 ヒイロが見てるけど、もう遠慮しないわ。


「あ、メディずるい」


 ヒイロの声に混じるように、少し遠くから、ほかの声が聴こえてくる。

 噴水の音に消えがちだけど、呼ばれている。


「ねね!」

「あ、ミレイとスズネだわ」

「ネネせんぱい、みんな見つけたです」


 ミレイが、少しスズネによりかかっている。

 どうしたのだろう。


「はぁ。ようやく見つけたです」

「ネネ、メディとずっとイチャイチャしてたの?」

「あ、ちが! これは」

「ふ〜ん? せんぱい。ふ〜ん」


 スズネが隣のミレイを連れて、噴水の側にくると、座らせている。

 少しメディを放してから、ミレイの近くにいく。


「どうしたの、ミレイ」

「……なんでもないわ」

「いや、あるのほうでしょ」

「……少し怪我」

「怪我してるの?」

「スズネの薬効いてるから、もう治るわ」

「大変だったね」

「メディ、スズネがいてすごく助かったわ。スズネをほめてね」

「えへへ」


 とりあえず、ミレイを休ませたほうがいいのかもしれない。


「みんな合流できたね」

「一旦ここで休憩しながら、少し話さない?」

「そうしましょ」


 噴水が導いてくれたのか、わたしの目印も役に立ったのか、揃ってよかった。

 メディが、さっき照らした光風船の欠片が、まだキラキラしている。


「スズネとミレイは、降りるときに怪我したの?」

「スズネは、平気だったみたい」

「ミレイせんぱいが、わたしをかばって降りたから、それでだと思います」


 スズネが、シュンとしている。


「違うわよ、スズネ。降りるときに、変な格好したから」

「でも、ミレイせんぱい降りてからしばらく、言ってくれないし」

「……スズネ、そんなの気にしてるの?」

「そりゃ、気にします」

「じゃ、気にしないで」

「気にします」


 ミレイが、少し困った顔をしている。

 スズネと、少しの間一緒だったからか、ミレイが辛口じゃない。

 思い返すと、ミレイはわたしに対してだけ、辛口になるときがある。

 メディとのことがあるからなのかもしれない。


「少し怪我みていい?」

「ええ、いいわよ」


 ミレイの近くに座り、脚や腰まわり、首などをみてみる。

 そんなに大きい怪我にはなっていなさそうでほっとする。

 スズネのつけた薬もよかったのだろう。


「まだ、痛むところある?」

「……腰と脚かしら」

「そっか。スズネは平気なのね?」

「平気です!」

「それじゃ、ゆっくりしましょうか」

「ネネ平気よ。動けるし」

「ミレイせんぱい! また。もうまだ痛むなら、素直に休んで」

「……なんでわたし、スズネに怒られてるのかしら」

「あ、その。ごめんなさい」

「違うのよ。仕事と逆で、なんだか新鮮ね」

「も、もっと怒りますね!」

「それ、違うわスズネ」


 ミレイもこれなら、そのうち治るだろう。

 う〜んとノビをして、メディをみると、アマツキと話しているところだ。


 アマツキは、スキルアップに熱心だ。

 噴水の周りをぐるりと回りながら、身を乗りだして、水を触るとヒヤリと冷たい。

 熱源は、ここではないみたいだ。

 バックを下ろしたあと、水で顔を洗う。

 サッと横からスズネがタオルを渡してくれる。


「ありがとう」


 今度は、小さめなボトルを渡される。


「水も入れておきましょう」

「そうね」


 一緒に並べられたボトルに水を入れておく。

 ヒイロは、また探検しているようで、

 横や後ろにある道に少し入っては、また戻ってくる。

 このメンバーで、水の魔力に詳しいのは誰だろう。

 わたしは組み立てるほうだし、メディは光でミレイは、未来視だし。


「ねぇ、ヒイロ」

「なに」

「水の基礎スキルはどうだった」

「わかんない」

「氷や風はどうだった」

「わかんない」


 どれがわからないのだろう。


「基礎スキルが、不明なの?」

「ううん。相性とか素材がわからないの」

「もしかしてだけど、水の基礎訓練とかは、しなかった?」

「基礎くんれん、なんだろう」


 そっかと思う。

 それで、ときどきヒイロのスキルは、偏っているらしい。

 わたしたちは、小さい頃にいろんな悪魔たちと交流しながら、

 属性に体質が合うのか訓練したり、試してみたりする。

 けれどヒイロは、そのほとんどを独学でしてきたため、できたりできなかったりが不安定なのだ。


「水の試してみてもいいかもよ」

「どうやるのかしら」


 ミレイの回復待ちだし、少しヒイロのスキルを試してみよう。


「直接おおきな水に触ることもあるけど、小さい器をはじめは使うわね」


 ヒイロと小さい器を探してみる。

 なにかあるかしら。

 二、三度噴水の広場をウロウロしていると、スズネがさっき使っていたボトルを渡してくれる。


「これくらいでちょうどいいんじゃないですか」

「そうね」


 まず、スズネの渡してくれたボトルを開けて、水の魔力を感じる。

 そのあと水に触れるか、かざすかして、自身の魔力を水にぶつけていく。

 相性がよければ水が変化するし、水にあまり影響がなかったり、反発されると相性が悪い。


「こんな感じ」


 わたしが触らないで、手から魔力をぶつけると、水が形を変えて、小さく跳ねたり丸くなって浮かぶ。

 クラフトは、変化や補充、付加に向いているから、変化はするけれど、水がおおきく変化することはない。


「へぇ〜」

「次はヒイロね」

「……できるかしら」

「はい」


 ボトルを平たい場所に置いて、ヒイロの前にだす。

 ヒイロは、眺めている。

 なにか考えているようだ。


「うん、やってみる」


 ヒイロは、ボトルの水を少しだして濡らしてみたりしている。

 そのあと、ボトルに手をかざして、魔力をぶつけている。

 ヒイロの固有スキルは、魅了だ。

 通常悪魔の精神や状態に訴えるものは、

 精神作用系、水や風、火などの自然を相手にするものは、自然系とか言われたりする。

 光や闇、影などは特殊らしい。

 う〜ん、とヒイロがうなっている。


「そんなに力入れなくても平気よ」

「うん。なんか試験みたいなのって力入るのよね」

「試験って」

「わたし試されてる? みたいな」

「……試してはいるわね」

「試されてる」

「そうそう」

「緊張するわね」


 少し笑ってしまう。

 ヒイロが真剣な眼差しで、魔力を構えている姿が、なんだか可愛らしい。

 ミレイとわたしが基礎訓練をしていた頃は、なんだか大変だったけれど、

 こうしてヒイロの姿をみると、懐かしい気持ちになる。

 あまりいまのところ変化がない。

 もう少し、と思っていたところ、水が少し小さいながらも浮いてくる。

 水の球体がふわふわする。

 そのうち少しくるくる周り渦になる。


「成功だわ。水のスキルも利用できるかも」

「……そうなの?」

「そうよ!」

「へぇ、これがそうなの」


 ヒイロが珍しそうに眺めている。

 いまのところ一定らしくそのままの状態だ。

 アマツキが、メディといた場所から駆け寄る。


「ねぇ、これヒイロ?」

「そうよ」

「ヒイロなんだ」

「そうね」

「ぼくもできるかな」


 アマツキが、ヒイロの水の魔力をみて、そう訊ねてくる。


「ねぇミレイ」

「なに」

「天使スキルって、どうやって調べるのかしら」

「アヤネがなにか言わなかった?」

「アヤネは、こうスバッとやってリンとしてキュンって言ってたかも」

「……役に立たないわね」

「ミレイそんなにはっきりと言わないで」

「え〜と、天使アヤネは、新魔導書を使うのは同じだけど、使いかたや魔力の配合、種類の分類は違うって言ってたかな」


 メディのほうが、話しを聴いていたようだ。


「魔力の反射を試すのがいいかな」

「それか、放出や種類判定とか」

「だれか、読み取るスキルもなかったかしら」


 悪魔のスキルなら、小さい頃や黒鉄に聴いて試してみた経験があるけれど、

 天使のスキルだと、なにから扱うのか、どうにも具体的にできない。


「そ……かぁ。いいよ。洞窟でてからちゃんとする」

「うん。しっかり調べてみよっか」

「そうだね」


 ミレイが脚を触ったり腕を回してから、スズネに声をかけている。


「もう、平気よ」

「ホントですか」

「平気! そろそろいけるわ」


 ミレイが立ち上がり、わたしはアマツキからボトルを受け取る。

 アマツキが残念そうだ。


「もう少し、アヤネに聴いておくんだったわ」


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