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悪魔な小悪魔ネネの転生者にアレコレしてもう恋しちゃったじゃん  作者: 十矢


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水の洞窟のなかにある噴水広場

「なかなかキレイな場所にきたね」


 両壁が飛ばした灯りを反射している。

 壁に埋まるのは魔結晶だろうか。

 でもこんなにたくさんある。


「妖精にはなかなか会えないけれど、こんな景色はじめてだわ」


 キラキラでもなく淡くほのかに光る結晶たちは、どこか不思議な色で、わたしたちの魔力に反応するのか、場所によって色具合が違う。


「少し休憩しようか」

「そうね」


 特にベンチなどがあるわけはないけれど、真ん中に広めの噴水が造られている。

 いまは、噴水が止まっているようだけど、水の流れや量で違うのだろうか。

 仕組みが気になってしまう。


「ジッとみてるね」

「え、そうかしら」


 噴水の飾りやその造りをじっくり観てしまった。


「クラフトしてると、気になるの?」

「そう……かも。小さいもののほうが気になるけれど、飾りやどうやるのか、気になっちゃう」


 メディは笑っているけれど、メディも光りの反射やゆらめきを観察している気はする。

 洞窟内だと、あまり仕事が進まないからかもしれない。

 そう想うと、メディが洞窟にいる時間は、わたしには、案外いい時間なのかもと想う。


「座ろうか」


 噴水の(ふち)があるため、少し高さのあるその部分に座る。


「音はしてないのに、不思議。なにか水の音がしている気分になるの」

「水の音や雨の音、耳心地がよいよね」

「そう! 外にいるのは濡れるし飛びづらくていやなんだけどね」


 メディが少し眠たそうにしている。

 魔列車から降りてから、どれくらいだろうか。

 ときどき洞窟の隙間から明かりが射すため、昼間らしい。


「少し暑いくらいだね」

「湿度も高いし、熱もあるよね」

「洞窟内って地上に比べて温度が一定らしいから、熱源があるのかもね」

「水の魔力で、熱って」

「さぁ、どうなってるのかな」


 くすくすメディが笑う。

 なんだか、珍しい。


「ミレイは気づくと想うの。ヒイロたちはどうかしら」

「平気だよ。なにか探して歩くのは、こちらも変わらないから、きっとヒイロやアマツキも探して歩くし、見つけると想う」

「んん、わかるかなぁ」

「少し待ってみよう」

「ええ、そうしましょ」


 流れていない噴水の造形を眺めながら、薄灯りのなか服装を確認する。

 そんなに汚れていないのは、水がキレイだからなのだろう。


「ここまでは、黒鉄は降りてこられないな」

「ええ。気になる? 荷物」

「荷物の中身というより、黒鉄に調べものとか頼んであるし、心配かけてるかな」

「平気よ。何度かミレイと迷路みたいなとこ行ったりしたけど、でても平気そうだった」

「へぇ。ミレイといろんな場所いったんだね。いいな」

「メディは、ずっと仕事?」

「ああ、う〜ん。少しだけ休みのときに、中央図書館いったり、あとショップみたりあとはなにかあったかな」

「意外! あまり歩いてないかと想ってた」


 メディは、わたしやミレイに連れられてお店にいったことはあっても、自身だけで買いものをして楽しむイメージがあまりなかった。

 もしかしたら、これまでに装飾品や小物が変わっていたのかも。

 もっとしっかり見ればよかった。


「そうだね。興味がわいたやつは、探しにいくけど、やたらとスタッフにすすめられると、一歩引いちゃうんだよね」

「そうなんだ」

「その代わり、一度気に入ると何度か通うよね」

「そうね!」


 メディなりに、買いものは楽しいらしい。

 空き時間ミレイとばかりいるんじゃないかとか、以前思っていたけど、そうでもなかったらしい。


「……わたし、おすすめし過ぎたね。反省」

「ははっ! 特に反省しなくても」

「いいえ、買いものしてると、ついこれいいよね、とかおすすめをしてしまう……」

「おすすめとかされないと、気づかないものもあるよ」

「それはそうだけど、ミレイともよくそれで、おすすめ衝突でケンカ腰が発生してるし」

「仲いいなぁ」

「ミレイとは、長いし」

「いいよね。ヒイロとアマツキもそうなるかな」

「どうかしら。アマツキがここ最近は、遠慮というか、少し考えることあるみたいなのよね」

「そういえば、アマツキなにか話したいことでもあるのかも。よくこっちくるよね」

「うん。メディだから話したいんじゃないかな」


 メディはよくわかっていないようだ。


「相談ね。今度は分けようかな」

「なんのこと」

「あまりに集中すると、よくない気がするな」

「ミレイもわたしもいるわよ」

「アヤネの気持ちが、よくわかるんだよ」

「教会のことかしら」

「そうだな。みんなに分けられたらいいんだけど……そうもいかないな」

「……メディ?」


 仕事のことを考えているらしい。


 洞窟のなかにいて、いい噴水の場所なのに、この悪魔は違うことに思考を捕られている。

 ミレイがときどき恋仲よりも優先して、秘書として働くのは、きっとこの悪魔は、抱えた "なにか" をずっと悩んでいるからなのではないだろうか。



 以前ずっと小さい頃に聴いたクイーンの話しを想い出す。

 あれは、どれくらい前だったろう。

 天使と妖精界とのバランスがいまより取れていなく、悪魔クイーンとしてなにか決断をする時期ではなかったろうか。

 あのときクイーンが決めたのが、いまのアヤネたちに繋がっているといい。


 ただ、隣にわたしがいるのに、放置されている現象はどうにかしたい。


「ここの噴水、動くのかしら」

「水の魔力の制御は、案外ムズカシイよね」

「どこかに水の流れか、止めてる場所があるのかも」

「光は得意だけど、ネネは水は得意?」

「水は、キライじゃないわ。でも少しニガテ」


 メディが壁に手をあてている。

 わたしも触ってみるけれど、よくわからない。


「どこかに、水の流れがあるかもしれないよ」

「そうなの?」

「壁から少し音がするかも」

「ううん?」

「振動なのかな」

「わからない」

「ナイフ貸してもらっていい」

「ええ、いいわよ」


 腰のベルトにしていた魔改ナイフをだすと、メディに渡す。

 メディは、歩き回りながら、ナイフを何か所か打っている。

 そのたびに、キィンやワァンという(はじ)く音がする。

 反響でなにかたしかめているようだ。


「なにか」


 二、三度同じような場所を歩いたあと、ナイフをわたしに返してくる。


「この辺り」


 少し視線を彷徨わせたあと、少しずつ空中に光の球体を創っていく。

 しかも球体のなかに、さらに光の粒のようなものが、たくさん入っている。


「わぁ!」

「いま投げるから、それで切り裂いて」

「え! ナイフで」

「そう」


 よくわからないが、ナイフで斬ればいいらしい。


「わかった!」

「いくよ」

「ええ!」


 メディが自身の眼の前にある球体をこちらに向けて放つ。

 と、同時にしゃがみこむ。

 わたしは、混乱するも言われている通りに、光の球体をナイフで裂いてみる。

 音もなく球体が弾けると、なかの光の粒たちが、四方に散らばってく。

 わたしは驚いてしゃがみこむ。


「ちょっと! なにこれ」

「……収まったかな」

「だから、なにこれ!」

「もういいよ。壁とか天井みてみて」

「えっ」


 そっと見てみると、いまいる辺りを中心に、天井や壁に小さい灯りがたくさんくっついている。


「あまり使わないんだけど、上手くいったね」

「これ! すごい!」


 四方に散らばった光は、これまでのと違いかなり小粒だけど、キラキラゆらめいている。

 少し空気中にも散らばっているようだ。


「自分で破裂させると、眼が痛いんだよね」

「だからって、わたしのナイフでね」

「上出来だね」

「メディってそうだよね」


 そういいつつ、眺めはすごいキレイだ。

 メディは足元を探している。


「あった! これだね」


 拾ったのは水の魔結晶だ。


「それ、どうするの」

「壁に四つあるみたい」


 近くにいくと、キラキラしている壁に、四つ大きめな結晶が見えた。

 でも真ん中になにか、入りそうな場所もある。


「それ、差し込んでみよっか」

「やっぱりそうだよね」

「そうだよ!」

「よしきた」


 メディの持っていた欠片を預かり、ナイフをしまうとその差し込みできそうな窪みに入れてみる。

 さきほどはしなかった水の音と、なにか流れている。


「ほら、みて!」


 真ん中にあった噴水のてっぺんの周りから少しずつ水が流れてきて、それが貯まると、真ん中で噴水が起こる。


「やっぱりね」

「だね! うわぁ! 魔結晶がはずれてたんだね!」

「壁にある結晶が、この空間を動作させる仕掛けなんだね」

「キレイ!! やった」


 噴水が起こったことで水音が心地よく、これまでの歩きの疲れが、癒やされる気がする。


「なんだか、この洞窟全体が、いろんな仕掛けになっているのかもしれないな」

「うん! よかった試して」


 噴水の溜まり場全体に水が流れていき、空間の光を反射する。

 すごい景色だ。

 メディと観られてよかった。



 遠くで「噴水だよ!」と、ヒイロの声が聴こえてきた。


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