表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪魔な小悪魔ネネの転生者にアレコレしてもう恋しちゃったじゃん  作者: 十矢


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

61/135

ミレイの部屋朝はじまり

 目が覚める。


 カーテンが引かれた窓から、薄明かりが射している。

 晴れているのだろう。



 真ん中にいたはずのミレイはいなく、隣には、スズネがわたしの手をとっている。


「そっかぁ。ミレイの部屋だ」


 寝返りをしようか、迷うものの、スズネの手を放していいか、迷ってそのままにする。

 壁には、ミレイの推しのポスターがあり、

 反対には、グッズやアクセサリーが飾ってある。


「広い部屋ね」


 ボーッとそんなことを考える。

 まだ眠気があるため、

 またスズネの方向をみると、スズネのパジャマがハダケていて、胸がちらりとみえている。


「ワザとよね。もう。これって」


 セクシーさのアピールかしら。

 ただ、無防備なだけならいいのだけど、

 スズネって、あざとをよくやるのよね。



 そういえば、と少しスズネのはじめの頃を想いだす。

 ミレイの後輩として、入ってきたスズネは、明るくそんなにギャルっぽくもなかった。

 ただ、女の子好きなところは、ミレイに似たのか、はじめからなのか、ネネに対しても、ベタベタしたり、隙あれば、胸やお尻をねらってくる。


「でも、メディのことは、けっこう特別扱いしてるわよね」


 後輩悪魔にも男の子は大勢いるのだけど、

 悪魔メディナナタリアに対して、ネネやミレイと同じくらいに、好きを表にだしてくる。



 もし、会う順番がわたしでなくて、スズネが先だったら、スズネが、メディにべったりしていたのかもしれない。


 いや、とられるとか、そういうじゃないか。

 スズネは、ときどき悪魔寝言をしている。


「ね……せんぱ……みれ」


 なんだろう。


 スズネは、こうみえて積極的で、

 それでいて、繊細だ。

 メディが、スズネをかわいがっているのも、知っている。


 わたしも、ときどき無茶するな、と想いつつ、なんか、つい許してしまう。

 ミレイだって、そうなのだろう。

 きっと、スズネは、この先統括エリアマネージャーで、活躍していくだろうし、できれば、メディ以外のいい男の子悪魔を連れてくるかもしれない。


「メディ以外かぁ」


 わたしは、そこを考えだすと、少しずつ、嬉しいのと、焦りと不安が一緒になる。



 メディ以外に、これまで近よってくる悪魔は、大勢いた。

 でも、堕悪魔は、身体目的や魔力をねらってくるし、ほかの悪魔たちも、

 顔が好みとか、脚がとか、なんかあやふやで、あいまいだ。



 ときどき、なにが特別なのか、と考える。



 ミレイは、未来視があるからなのか、自信あり気だ。

 ベットにかけてある、ネックレスの先端の宝石(まい)が、キラリと動く。


 スズネが、少しだけ動いたようだ。


「め……せん……え、いこと」


 なんか、寝言でも、怪しい気がする。

 いや、気の所為か。

 気の所為よね。


「はぁ。なんだろ。メディのことといい、ミレイのことといい、なんかわたしって振り回される」


 振り回されるのは、悪くない。

 わたしって、ちょっと変かしら。

 いえ、でも、とにかくメディは、

 なにかを隠している。


「ともかく、スズネの手をはずして」



 なかなかはずれない。


 かえって、ギュッとなる。



 これは、これでかわいいのかもしれない。

 いえ、ミレイもスズネも甘えるから、甘やかしてしまうから、いけないのかもしれない。

 手をはなす。


「ねね〜」


 ホントは、起きてないかこの子。



 ようやく解放されて、ベットに座る。

 少し離れたキッチンからは、もの音が聴こえてくる。

 ミレイが、なにか調理をしているのだろうか。


 一応、スズネを起こさないように、静かに扉をあけて、キッチンに向かう。



 キッチンで、果実の調理をしているミレイが、振り向く。


「あら、おはよ。早いわね。まだ、支度中よ」

「おはよ。ミレイこそね」

「わたしの部屋だもん」

「まだ眠そうね」

「それはね」

「メディは?」

「まだ、だと思うわ」

「そう、あ、手伝うわ」

「え、じゃ、お願いね」



 果実を渡されて、それを少しずつ剝いたり切ったりする。


 少し静かな空間だ。


 包丁の音やスープの鍋の音、足音だけが、響く。



 そういえば、ミレイとは長いけれど、

 ホントのところ、悪魔メディナナタリアとは、どうなりたいのだろうか。


 秘書として、活躍しているけれど、未来視からは、ミレイ自身がメディとどうなるかや、わたしとの関係は、もうずっと()えているのでは、ないかな。


 そうすると、こうして料理することやわたしが、いまからの話題も実は、もう準備されたもののような気がしてしまう。

 疑り深いというより、中央図書館でヒイロと逢うくらいから、ミレイの隠し事は、おおくなってきた気がする。


 でも、いま聴かなくちゃいけない。


「ねぇ。ミレイ(たず)ねてもいい?」

「なによ」

「ミレイには、なにが視えているの?」

「なによ、それ。抽象的ね」


 たしかに、そうかも。


「具体的にだと、わたしやメディの未来に関すること、どれくらいわかるの?」

「う〜ん、またそれも、難儀な質問ね」

「はぐらかさないでね」

「違うわよ。作業しながら、だから」


 ま、そうよね。

 切った果実を盛り付けし、

 ほかにジュースをつくる。



「あ、そのジュース、ヒイロとアマツキかな」

「ええ。悪魔数分は、必要かしら」


 皮をとったり、ミキサーをつかう。


「それで、質問のことなんだけど」


 ミレイは、ミキサーをとめて、急に静かになった室内で、ネネをみつめてくる。



 少しの間、そうしている。



 わたしは、このぽっかりと空いた時間が、なにを意味するのか、考えようとして、そして、考えるのをやめた。


「ねぇ、ミレイ。あなた変よ」

「どうしてかしら」

「だって、その」

「もう、なに?」

「いつもなら、ネネって抱きついてきたりキスしたり、スズネとイチャイチャしようとするのに、いまは、なんか」

「そんなに、わたしが消極的だと、おかしいかしら」

「おかしいっていうか、様子が違うじゃない」



 また調理を開始すると、ミキサーや調理器具の音がする。

 でも、ミレイの様子は、さきほどと変わらない。


「ちがう、ね」

「そうよ」

「ネネってさ、ヒイロとアマツキが、今後どうか、って考えない?」


 ヒイロとアマツキのこと? 

 メディではなくて。


「ヒイロは、まだ不安はあるけど、素質もあるし、まだ年齢は低いけど、これからよ」

「アマツキは?」

「天使だけど、いまのところヒイロとはうまくいってるし、アヤネもついてるもの。アマツキも少しずつ、アマツキらしく成長できるわよ」

「そう」



 また、少し考えてしまっている。


 やはり、変じゃないのか。


 なんだろう。

 ミレイから、なにも言われたわけでないのに、

 胸がざわつく。

 いやだ。


「ねぇ、やっぱりなにかあるの」

「どうしたの、ネネ」

「ミレイ、なにか隠してる」

「隠してないわ。はやく盛り付けもおわったし、並べちゃいましょうよ」

「ミレイ、なにを視たの? ううん。なにを知ってるの?」

「もう、なんの話しなのか、わからないったら。たしかに、未来視は、よくつかってるわ。でも、それだけよ」

「ちがうちがう!」

「ちがうの?」

「ここ最近のミレイって、なんていうか、前と違うわよ。上手く言葉にできないけれど」

「ふ〜ん。じゃ、そうなんじゃない」

「じゃ、ってなによ」

「先に、並べおえて、ゆっくり話しましょ。それに、ネネの不安がなにか、わからないのよ」



 キッチンでつくり終えたメニューをリビングのテーブルに並べていく。



 少しの間、ミレイの部屋を眺めてみる。

 凝った照明器具、壁ぎわには棚が並び、

 テーブルも整理されている。


 一悪魔には、広いのではないかというこのビルの部屋は、ミレイの生活感をおおきく映し出している。

 秘書として、働いている姿もきっとテキパキして、ほどよく雑なのだろう。


 以前、メディのことどう、て聴いたときは、好きと言っていた。


 でも、それは、恋悪魔になりたいのか、結婚したいのか、ミレイの本心はわからない。



 ようやく、テーブルに準備が揃うと、そろそろみんなを起こさなければいけない。

 テーブルに用意されたメニューは、冷めたからと、まずくはないものの、早めに食べたい。


 でも、その前に、ミレイと少しでも、話しておきたい。

 こんな機会は、またしばらくないかもしれない。


「ミレイ、あなたこのままでいいの?」

「どういう意味、ネネ」

「メディとは、秘書だし、わたしともうまくいってると想う」

「うん」

「だけど、なんていうのかな、一番なことを伝えてくれないのは、わたし寂しいよ」



 そうか。

 理解(わか)った。

 これだ。

 わたし、ミレイとの距離感が寂しいんだ。


「……そう」

「そう、ってなによ」

「だって、それしか、言えないもの」

「話してよ」


 だんだんと、声が高くなってしまう。

 ミレイは、黙ったあとで、

 まだカーテンを引いたままの窓をみつめる。


 外は、明るいのだろう。

 カーテンから、光が漏れている。


「ごめんなさい。話せないわ。きっと、あなたは、知らないままのほうがいい」

「それって、どういうことなの?」

「未来視について、ネネはどこまで知ってるかな」

「触ったり俯瞰(ふかん)でみたり、遠隔のもできるって」

「そうね。特に触れた者に関する未来は、かなりはっきりでるわ」

「それなら、わたしのあとの出来事は、すっかりわかってるってわけね」

「断定はできないわね」

「はっきりしないわね」


 ミレイは、ふぅと、ため息をつくと、

 ネネの眼をやさしくみつめる。


 そこには、たしかに愛を感じる。



 でも、なにも言ってはくれない。

 なぜ。

 なぜなの。

 やっぱり未来のこととしか、想えない。


「もう、ご飯たべよ」

「そうね。メディ起こしてくるわね」

「ヒイロとアマツキも」

「スズネもね」



 ネネとミレイでそれぞれ、寝ているメンバーを起こしていく。

 メディは、途中からもう起きていたようで、準備をしていた。


 もしかしたら、なにか、聴いてしまっただろうか。


「おはよ」

「おは」

「おはよう」

「おはよう〜」


 リビングに集合して、

 テーブルに並べられた果実メニューと、果実ミックスジュース、それにハニーティーを食べたり飲んだりはじめる。


「まだ眠いね」

「そうね」

「あ、これいいね」

「でしょ」

「あれ、果実切れてないよ」

「あ」

「それは、ネネね」

「もう。ミレイかもでしょ」


 それぞれで、好きな会話をしていると、

 さきほどのミレイとの会話は、まるでなかったかのような場所になる。

 でも、ネネの心のなかの不安は、徐々に形になっていく。


 これは、よくない。


 わたしが、ミレイが、メディが、というような対象の不安じゃないんだ。


 隠されている未来のなにかは、漠然としたものからはっきりしつつある。

 それが、ミレイと話すことで、わかった。



 話せてよかった。


 でも、教えてくれないことに対する不安は、いずれもっと、おおきくなる。


 きっと、これは、とてもイヤな出来事の

 ひとつのサインなんだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ