表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪魔な小悪魔ネネの転生者にアレコレしてもう恋しちゃったじゃん  作者: 十矢


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

60/135

静かな夜アマツキ

 ミレイの部屋で泊まることになり、

 スズネも含めて、みんな寝入ったようだ。



 でも、アマツキはまだ寝られなかった。


 隣でヒイロが、規則正しい寝息をたてるなか、少し身体をおこす。


「ふぅ」


 昼間から、ヒイロと話しすぎたのかもしれないし、中央図書館で、書籍を読みすぎたのかもしれない。

 ベットの横に置いてある天使ノートを取り出して、なんとなく中身を読んでいる。


「天使と悪魔」


 天使としてアマツキの記憶があるのは、どこからなのだろう。

 スラム街に連れてこられるとき。

 その前はどうだっただろうか。



 "スラムの前はたしか"


 記憶を(さかのぼ)ろうとすると、

 なぜか(もや)がかかったようになり、なかなか

 先に進まない。


 けれど、いまは夜で、みんなも寝ている。

 ゆっくり想いだしてみよう。




 アマツキの天使ノートに記載されているものは、少ない。

 記憶よりも記録をとるならば、

 天使としての期間が短いのか、それか、元からあまり天使として、活動していなかったのか。


「基礎スキルに、名前に、あとは、いた場所。それに、だれかいたかな」


 ヒイロが寝返りをする。

 う〜ん。


「あま……ねね……んかしな、で」


 なにか言ってる。

 悪魔寝言だろうか。

 羽を縮めているから、邪魔にはなっていないものの、羽を触ってみたり顔を少しつついてみるも、反応はない。


「……寝てる」


 少しだけ、ネネやミレイたちのことが心配になる。

 ぼくのこと、そんなに信頼していいの。


 ヒイロがみつけてくれて、アヤネが天使として、どこにでもいけるようにしてくれた。

 もう、スラムで惨めにうずくまる必要はないし、魔力も少しずつ戻りはじめ、買いものだって少しならできる。


 もう少しスキルや力がついてくれば、

 もしかしたら、ヒイロを押し倒しても、自分は無傷でいられるくらいになるかもしれない。


「でも、心は傷む」



 まだ、メディにだって相談なんかしたことがないけれど、確実に悪魔ヒイロに対して、女の子として、見始めている自分がいる。


「おかしい。はじめに声をかけられたときには、殺意すらあったのに、現在(いま)は、ヒイロに嫌われるのが、こわい」



 キラワレるのが、コワいのは、

 また捨てられるから。


 それとも、スキを知ってしまったから、

 キラいが、コワいのかな。



 ヒイロの寝ていて無防備な手をキュッとにぎると、座った状態のまま、丸くなる。



 フワっと、記憶の欠片が落ちてきて、

 あの頃を想い出した。




「ねぇ、アマツキ」

「なんですか」

「このままじゃ、もう堕天使になるしかない」

「はい」

「スラムは、ほとんどゴミ捨場みたいな場所なのね」

「はい。」

「もし、明日そこにいったら、あなたはどうする」

「はい。そしたら、なにもかも忘れて、そこで生きるようにします」

「アマツキは、強いのね」

「それで、貴女が助かるなら」

「ううん。わたしは、もうダメみたい。さよならだわ」

「え」

「ううん。忘れて。すべて。じゃ、あした」

「はい」




 そっかぁ、


 忘れようとして、


 頭空っぽにして、


 イヤになって、


 惨めになって、


 ただ深く沈んでいたら、


 ホントに貴女のこと忘れてたんだ。



「う〜ん。あ……だ……よ。いっしょ……て」


 ヒイロが、隣にいて嬉しくて哀しいのは、いつか、ヒイロから離れるかもしれない、からなのかな。


「嬉しくて、哀しい」

「う〜ん。アマツキ、泣いてるの」


 え、と想いヒイロをみると、ヒイロが眼をあけていた。


 静かに聴く。


「いつ起きたの」

「いまよ」

「えと、どこから」

「羽、触ったりした?」

「起きてるじゃん」

「寝てたよ。夢みてた」

「悪魔も夢みるんだね」

「天使はみないの?」

「そういわれてみれば、あれ。前も夢の話しした?」

「したかな」

「どうだったかな」

「それでね」

「うん」


 丸くなったまま、手をにぎったまま、ヒイロの話しを聴く。


「ネネとだれかケンカしてて、わたしが怒って魅了つかうのね」

「うん」

「でも、ネネと相手にそれが効かないの」

「それで」

「うん。なんだろ。悲しくて、ギュッてなって、涙しながら、一緒にいてって」

「ケンカして、泣いていそがしい」

「ふへ。みんな、一緒にいてほしい」

「夢のはなし?」

「夢だけど、現実だよ」

「どういう意味?」


 ヒイロは、手がしびれたのか、手を放してまた、つなぐ。

 ヒイロのそうした、気づかいが、嬉しい。


「前に、シスターが話してくれたでしょ。悪魔と天使の空間が、キセキのセカイみたいって」

「あぁ、うん。あったかな」

「アヤネやアマツキ、ネネたち、ルルファイスや司書たちに、逢えたのは、わたしにとってはキセキだよ」


 ヒイロが、魅力的に微笑む。

 薄暗くなった部屋で、影のあるその微笑みをみていると、アマツキは、胸がざわざわしてくる。


 なんだろう。


 もし、この感情に名前がついたら、ヒイロと離れなきゃいけない気もするし、逆に、

 この感情に、素直になれたら、ヒイロと深く繋がれる気持ちもする。


「ヒイロ」

「なに、アマツキ」

「もう少し、手を繋いだままでいい?」

「アマツキ」

「なに」

「寝なくていいの?」

「ヒイロ」

「なに」



 "聴いてもいいのだろうか。それとも、聴いてしまったら、もう、止まれないのだろうか"


「もう少しだけ」



 ヒイロとみつめあう。




 "あぁ、いま発見したよ。時間ってとまるんだね。

 いまこの瞬間(とき)、時間はとまってる"


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ