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悪魔な小悪魔ネネの転生者にアレコレしてもう恋しちゃったじゃん  作者: 十矢


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静かな夜ルルファイス

 久しぶりにみたわ。

 悪魔ノートの転生の部分。

 あの頃よりは、成長している。


 でも、ヒイロに逢ってからは、

 また不安もある。


「わたしの手記、残しておこうって想ったのは、ホンのきまぐれなのに、役に立ってる」



 仕事終わりに、ネネたちともう一度話して、解散になった。

 でも、気になる部分があって、司書としておえたあと、中央図書館にのこり、次の調べものをする。



 ライリアとレミリアが、会うたびに、からかってくる。


「もう」



 わかってるわ。

 ヒイロを大切にしすぎているのも、

 ネネやミレイを手助けしているのも、きっと、みんな自分のなかの問題を解決するためのこと。

 仕事場所である、ここ中央図書館も広すぎて、蔵書は把握しきれていない。



 むしろ、日を追うごとに増えている。


 悪魔の数がそれだけ、いるのもあるし、

 その分スキルに関する項目や本は増えていく。

 禁書に指定されるものは、クイーンやその秘書たちが、分類するためか、そこまで量は増えていないものの、禁書フロアの扱いも大変だ。



 いま探しているものは、ネネやヒイロに役に立てば、という想いからではある。

 でも、それだけではなくて、

 これまで、こうして放置してしまった責任を感じているのかもしれない。



 "転生と封印、そして、異界ドラゴンは、この悪魔世界の重要な使命"



「ヒイロに、引き継がないで、わたしが行動しなさいよ、って話しよね」


 こう悪魔言をしていたら、レミリアが、そばにいて、魅惑の微笑みをしていた。


「ルルファイスって、なんていうか、エ○以外は、頭まわらないのね」

「え、どういう意味よ」

「ライリアもヒイロもそんなに、甘くないわよ、って話しかな」

「えぇぇ、よくわからないわ」

「ふふっ」

「仕事いつまで」

「ナイトよ。二十五」

「はぁい」

「またくるわね」


 手をふって、仕事に戻っていく。


「はぁ。なにかしら」


 再び、書籍を探してまわる。

 もし、と考える。


 わたしが、転生につけばヒイロは解放されて、自由かしら。

 そして、わたしは、何百年も悪魔たちやエネルギー体の転生を担うことになる。



 ひとつ、みつけた。


「異界ドラゴン資料ね」


 ドラゴンは、神話の時代から生きていて、もう個体数は、少ないものの、いまは悪魔や天使、妖精たちの転生の壁となっている。



 それ以前のことは、知らないけれど、

 ファルティがもうずっと長いこと、あの異界の扉を管理している。

 ドラゴンは、エネルギー体選別時に、厄介な者は、食べてしまうため、そういった数の調整もしているようだ。


「でも、実はなにもしらない。わからない」



 タイトルは、


 "ドラゴンについてなにもわからないためインタビューしてみた"



 ほかのもあわせて、四冊あるため、それらを持って席について、読みはじめた。


 "項目


 ドラゴン種類

 色

 年齢

 スキル

 ノート

 言葉

 対策

 異界の扉



「読むだけで、大変ね」


 しばらく読みすすめていくも、あっという間に時間は過ぎていく。

 二度ほど、ライリアが、三度ほどレミリアが側を通りすぎ、そのたびに、少しの会話をして、一度だけ、飲みものを飲みにいった。


「ふぅ」


 (おおむ)ねの内容をなんとか覚えたときには、ナイト二十五時を過ぎていて、異界送りの時間も終わりになっていた。


 レミリアが、仕事終わり前に、また声をかけてくる。


「どう調子は?」

「理解は進んだわ。でも、もうそんな時間なのね」

「ライリアは、朝までね」

「そう」

「ねぇ、区切りついたら、少しでかけない?」


 わたしは目の前の資料をみて考えて、

 そして、閉じると立ち上がる。


「そうね。役に立つかは、わからないけど、いちおう、ここまでにしておくわ」


 片付けを手伝ってくれる。


「こういうのは、得意よ」

「ありがとう」


 本来は、司書時間はもう過ぎているのかもだけど、レミリアが返却の仕事をしてくれて、戻ってくる。


「さ、いきましょ」

「ええ」


 もしかしたら、レミリアはわたしがここで、明け方近くまでいても、待っていてくれたのかもしれない。


「仕事以外で、出歩くのは、ルルファイスとは久しぶりね」

「ほんとに」



 異界送り時間を過ぎて、日付も変わり、外に悪魔はほとんどいない。


 少し見かけるのは、夜のデートをしている悪魔と、夜商売の客引き悪魔、それに、堕悪魔で、フラフラしている者だけだ。

 こんな時間に空いてるお店は、デート以外は、どこがいいだろうか。


「どこがいいかしらね?」

「デート以外で、この辺りで空いてるところは」

「デートでもいいのよ」


 レミリアと、眼があう。

 魅力的な誘いだわ。

 思わずうなづいて、しまいたくなるけれど、冗談なんだろう。


「これ、デートなの?」

「知ってるお店でいいかしらね」

「ええ、お願い」


 そういえば、レミリアとこうして、夜に一緒にいることは、はじめてなのかもしれない。

 ライリアとレミリアは、よく一緒にみかけるから、双子は仲良しだわ、とは想っている。



「ここね」


 少し歩いてついた先は、

 朝までお店が開いているカウンターつきのバーで、ときどき隠れてアイドル悪魔もやってくるとか、聴いたような場所だ。


「入るのは、はじめてだわ」

「そう? わたしは、月に一度ほどは来てるかもね」


 慣れた様子で入っていく。

 少し暗いけれど、夜の風景に馴染む店内の様子で、カウンターが L(える)字になっている。

 二悪魔が接客をしているけれど、

 片方の悪魔は、女性で中央図書館でもときどきみかける。


「いらっしゃいませ。カウンターどうぞ」


 声をかけられて、空いていた少し位置が高い席に座ると、メニューを注文する端末を渡される。


「おすすめは、ダークミックスのレモンか、グレープフルーツね」

「ねぇ、レミリア」

「なに?」

「お腹はすいてない?」

「魅惑果実の食事なら、果実サラダか、まるごとざく切り盛りがいいわよ」

「う〜ん。果実サラダかな」


 端末を見せながら、注文してみると、カウンターのなかで、番号とメニューが表示された。


 レミリアが、こうして溶けこんでいると、

 少し別の悪魔にみえてきて、

 普段見ているギャルっぽい見た目なレミリアの本来は、こういう子なんだなぁ、と想う。


「それで」

「うん」

「ルルファイスは、ヒイロに後継を頼みたいのね」

「そう。でも、わたしのエゴで、ヒイロを中央図書館で育てたのに、役割を押し付けてしまっていいのか、不安なの」

「それで、調べものかぁ」



 カウンターから、飲みものを出されて受け取ると、サッとレミリアが、準備をしてくれて、かき混ぜてから一口飲む。


「おいしい!」

「でしょ! ここの食事もなかなかよ」

「期待しちゃうわ」

「ここ、お気に入りなのよ」

「そっかぁ」


 レミリアも、飲みものを飲むと、カウンターのなかをみつめる。

 カウンターの店員が、レミリアに手をふる辺り、通ってる姿は明らかみたい。


 サラダもきたため、レミリアと分け合い、少し落ち着いてから、

 バックから、借りてきた書籍をとりだす。


「それは」


 とレミリアが聴いてくる。

 さきほどまで、読み進めていたのは、貸し出し禁止のものだったため、それとは別のだ。


「これね」


 タイトルをみせる。


 タイトル、


 "妖精リリアの迷宮最深部手前真価魔法"



「妖精リリアの手記ね」

「そう」

「読んでみても?」

「いいわよ。まだはじめのほうだけなの。読んでみたの」

「スキルの真価」



 レミリアに、手渡す。

 しばらく、読んでいそうなため、

 一度席をはずして、化粧室にいく。



 用をすませて、戻っていくと、ほぼそのまま、読んでいたようだ。

 レミリアは、こうして少し離れてみると、

 ギャル悪魔とは思えない独特な様子で、

 読書をしている姿は、たしかに司書にみえる。


 不思議ね。


 双子のライリアは、見た目はお嬢様風だけれど、よくしゃべるし、もしかしたら、静かにしているレミリアは、すごくわたしの好みなのかもしれない。


「おまたせ」

「うん」


 読んでいる姿を邪魔したくなくて、

 わたしは、隣に座るとあまり話しかけないようにしている。



 カウンターの店員を呼んで、食器を片付けてもらい、そのあとバックから、手帳を取り出して、いくつかの書き込みをする。


 デビルスマホで、スケジュールを確認していると、ふいにレミリアが声をかけてくる。


「あ、読んでた」


 頭に手をあてて、少し考えているようだ。


「うん。どうしたの」

「あ、えとね」


 言葉を探しているようだ。

 レミリアにしては、珍しい気もする。


「ここなんだけど」


 と手帳の横に本を置き、みせてくれる。

 まだ、わたしは読んでいないため、内容を聴いてみる。


「なんて」

「妖精のスキルだから、成り立ちは違うみたいだけど、参考になるかも」

「うん」


 レミリアの横顔と本を交互にみつつ、話しを促す。


「高魔力宝石の成り立ちと、転生や封印は似ている。圧縮された魔力を重ねあわせると、スキルのなかにある要素は反応しあい、変化する。スキルを変化させることは、別のものを生まれ変わらせるのと、あわさる」

「重ねあわせたスキル」

「そうね。続き」

「うん」

「封印の成り立ちは、たしかめられたものはないけれど、スキルの重ねあわせが、鍵になるのだろう。圧縮と膨張と変質した魔力は、新しいスキルを生む」

「なんだか、この妖精は、新しいなにかを手に入れようとしている途中みたいね」

「でも、少しだけ想いだせたわ。たしかに、転生のスキルのときには、なにか別の鍵となるスキルがあった」

「よかった。ヒイロの役に立ちそう?」

「うん。いけるかもね」



 ふう、とレミリアは、一度本を置き、眼をあわせてくる。

 思わず引き寄せられるひとみだ。



 わたしが、もっとずっとヤンチャしていたころなら、きっと、いまごろレミリアにキスをして、抱いているだろう。


 それで、何名の悪魔たちを堕として、(おとし)めただろう。


「ルルファイスって」

「うん」

「ヒイロとアマツキに、くっついてほしい? それとも、悪魔と天使は、相性あわないかな」

「う〜ん。なかなかに、重さのある質問ね」


 考えこんでしまう。

 実は、悪魔と天使の子どもの噂は、はるか前から存在する。


 けれど、みたことがないのだ。


 前クイーンの戦争の時代には、争っていた両者だけど、そのさらに前の時代やいまのクイーンになってからは、話しはあるはずだ。


 ヒイロが、始めてではないはず。


「でも、子どもがどうなるか、よりもヒイロの気持ちがまずは大事かな」

「そうよね。レミリアって、わたし勘違いしてたかも」

「えっ」

「レミリア、しっかりしてて、司書としてもきっちりだし、わたし、レミリアをパートナーにすればよかったかしら」

「ふふふっ。なにそれ、てか、ルルファイスのパートナーってだれなのよ」

「あ、うん」


 あ、言わなきゃよかったかも。


「うりうり。うりうり」

「なによ」

「言っちゃいなぁ。ルルファイスのパートナーっているんでしょ?」

「い、いないわよ」

「えー! さっきのゼッタイいるほうだよ」

「いない。いない」

「ま、いいけどぉ。そのうち、問い詰めるわね」

「追い詰めるの間違いじゃないの?」

「追いかけるかもね」

「追われるのね。後ろに、気をつけよ」

「空からくるかもよ」

「頭上注意ね」


 本をわたしに返してくれる。

 わたしは、手帳をひらき、さきほどの部分のメモをとり、もう一度目を通す。

 レミリアは、横でニッコリしている。


「そっかぁ」

「どうしたの」

「もうずいぶんと前のことだから、忘れていることも多いけど、こうした要素ひとつひとつが、ネネやヒイロたちの先に繋がっているのね」


 レミリアは、眼を細めて微笑する。


「うん」

「なによ」

「ルルファイスが、モテるのは、こういうところなのね」

「わたし、モテてないわ」

「あら、気づいてないの? ファン多いわよ」

「司書にファンなんているの!?」

「わたしたち、三悪魔にそれぞれついてるじゃん」

「知らないわよ」


 そんなことあるの、と想う。

 レミリア、ライリアの双子は、服装もおしゃれで、二悪魔揃うと、いい感じだ。

 ファンもできるかも。

 でも、わたしは、パンツスタイルが多いし、手をだすのも女の子悪魔ばかり。

 つきあった子たちは、わたしのファンになるわけないし。


「ルルファイスは、そういうの気づかないのね」


 いやいや。

 カウンターの仕事をしていても、案内をしても、そんな騒がれたようなこと、なにもない。


「そんなぁ、思いちがいよ」

「ふふ」


 含み笑いをされてしまう。


「違うの?」

「今度よくみてみなよ。離れた場所で、観られてたり、声かけにいこうか、迷ってる子いたり」

「そんな」

「美悪魔三姉妹って呼ばれてるのよ」

「わたし、姉妹になってるの?」

「そんなもんよ」


 考えてみるも、やはり心当たりは、ない。

 わたしが、ネネやミレイを目で追ったりはしていても、まさか、わたし自身が目当ての悪魔がいるなんて。


「え〜。うん、わかった」


 それで、と話しを聴こうとしたら、カウンターから追加の飲みものが出されてくる。

 温かい飲みもの二名分だ。


「あれ、頼んでないわよ」

「いいんです。おまけ」

「そんな」

「受け取って。いつも中央図書館で、教えてもらってるから、来てくれるの嬉しいの」

「けっこう来てるの?」

「あら、気づかなかった?」

「うん。あんまし」

「近ごろは、混んでるからね。図書館があんなに、混むのも珍しいわね」

「ええ、いろいろ重なってるし」


 これも、気づかなかったな。

 たしかに、図書館は近いけど、けっこう来てくれているらしい。


「でも、わたし、覚えるの得意なんだけどな」

「ふふっ、変装してるからね」

「なぜに」

「なんとなく」


 じゃね、といそがしそうに、カウンターをまた動きまわる。


「もらっちゃったね」

「ルルファイスのファンなんじゃ」

「レミリアかもよ。常連でしょ」

「わたしだけのときには、もらったことないんですけどぉ」

「うふっ」


 レミリアが、ふくれ(つら)をするのが、かわいい。


「それで」

「あぁ」


 まだ温かい飲みものに口をつけつつ、

 話しの続きをする。


「ルルファイスは、ずっと司書してくれる?」


 レミリアが、薄く笑っているものの、せつない表情をしている。


「どうしたの、急に。それは、ヒイロの話しを別にすれば、司書は続けるわ。ここに呼んでくれたのだって、ライリアとレミリアなんだから」

「それは、タイミングもよかったのよ。四悪魔いた図書館が、二悪魔になって、とても回らなかった頃に、ルルファイスがよく見かけてね」


 レミリアは、たぶん、後継がいなかったら、わたしが転生の任務にまた着くと想っているのだろう。



 でも、わたしには、もうできない。



 何百年も、何名悪魔を送っても、わたしの心は満たされず、ただ生命の流れの一部を眺めているだけのような感覚のあの瞬間には、もう戻ろうとは、想えない。


「もう、戻らないわ。ヒイロがもし」

「もし?」

「適性がなくて、引き継げなくても、もうそれは、わたしの職責ではないわ。わたしはただの司書だもの」


 すると、レミリアは、少し驚いたあとややあきれたような表情をみせた。


「ルルファイス、あなた意外とみえていないのね」

「えっ」

「あなたは、そんなに無責任ではないし、ヒイロも周りもそれほど、脆くないわよ」

「そ、そうなのかしら」

「ふふ」



 ちょうど、カップの飲みものを飲みおえたのだろう。

 レミリアは、コンと、カップを置く。


「話せてよかった。続きは、あなたの部屋で話さない?」

「わたしのところくるの?」

「イヤ?」

「そんなことはないけど」


 ルルファイスもカップを置くと、本と手帳をバックにしまう。



 まだ、夜は長い。

 でも、こんな夜もあるのか。


 レミリアと、こんな静かに語り合う。


 そんな、時間ができたのは、

 素直に嬉しい。



 あとは、どうレミリアを口説(くど)こうかしら。


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