ルルファイス手記
ルルファイスの話しのあった場所に向かうと、その本棚の部分には、たくさんの手記や日誌、記録が置かれていた。
そのひとつを手にとる。
めくっていくと、表紙の裏に描かれていた名前は、ルルファイスだった。
「やっぱり、ルルファイスの悪魔ノートの一部を写したのね」
「そっかぁ」
「でも、なぜそんなことをしたの」
「たぶん、待っていたんじゃないかな」
「後継者」
「そう」
ルルファイス自身に、その話しを聴きたかったのだけど、「わたしが直話すより、手記をみたほうが、正確なはず。もうずいぶんと前のこと。また帰りにね」
と言われてしまった。
ネネが手にとり、パラパラとめくる。
以前にみた詩妖精のとは違い、自身の記録用に残したような、淡々としたものだ。
でも、そのなかに、ルルファイスの想いがこめられているようで、そして、長くなりそうだ、というのもわかった。
「落ち着いた場所って、どこかしら」
「う〜ん。いまは悪魔多いからね」
「屋上は」
「たぶんおおいよね」
「あとは」
みんなが、読める場所を探してくれる。
「あっ」
ライリアが通りかかったため、
たずねてみると、いまは、貸し出し禁止エリアがすいているかも、といわれる。
持ちこみはいいの、と聴くと、貸し出し禁止の書籍でなければ、いいらしい。
「わかったわ」
もっと話したそうにしているライリアだけど、いそがしそうで、またいってしまう。
「貸し出し禁止エリアね」
三階にある貸し出し禁止エリアに、それを持っていくと、長テーブルがあいていたため、そこに座る。
「何冊あったの?」
「計三冊」
「わかった」
ミレイがひとつを手にとり、
もう一つはヒイロが読むみたいだ。
アマツキとメディは、合間で、どういう感じかを聴いている。
「そっかぁ」
「う〜ん」
「どう」
「待ってね」
窓からの光が傾き、悪魔たちも出入りしている。
少し静かになると、また次の悪魔が来たりする。
ネネがうなづいたり、ミレイが少し感想を言ったりする。
先に読み終えたのはヒイロだった。
「ねぇ、メディ、ルルファイスって、けっこういろんなところいったのね」
「そっか」
「わたしの読んだ部分には、ヒントはあまりなかったけれど、ルルファイスが司書になる経緯みたいなところよ」
次に、ネネが読み終える。
「わたしのところは、はじまりの話しみたいなところよ。ルルファイスの少し若いときの話しと、転生魔法使いになろうとした、そこまでくらいの話しなのかな」
「残りは、そしたら、ミレイの部分だね」
また少しの間、ミレイが進めているため、
アマツキとメディで、さきほどの二冊を読んでみる。
ミレイの部分は、長いらしい。
ようやくミレイが読み終える。
「ふぅ。う〜ん、ここの章だと思うわ」
ミレイが、ページを開いてみせてくれる。
それは、ルルファイスが、司書になる以前、まだ女の子悪魔を口説いてまわり、
そして、フラれるを繰り返しているところの話しらしい。
(ルルファイスの冒険)
「どの辺り」
「まって。少し読むわね」
「うん」
ルルファイスの幼少期、成長期、
転生魔法期、司書前、司書時代から。
「成長期と転生魔法期の辺りだよね」
「高魔力宝石の部分ってでてくるの?」
でてくる部分を解説してくれる。
ルルファイスは、自身の成長期に、周囲となじむことをしないで、魔力が充分になると、アイテムを集めて、旅にでる。
中央図書館で、調べものをしては、
さまざまな場所にいき、そこで、種族を気にすることなく接するうちに、転生魔法に関心をいだく。
「そして、妖精から話しをきいて、高魔力結晶を探しはじめてるわね」
「うん」
「洞窟、迷宮タワー、あともう一か所ね」
「どこになるの」
「具体的には描いてないわ。でも、クイーンの城にある絵を観たらしいわね」
「ルルファイスに聴いてみる?」
「でも、わたしたちが必要なのは、残りふたつでしょ」
「洞窟とタワーか。同じようにして、発見できるかな」
メディが心配するのは、わかる。
ルルファイスがどれくらい前の探検であったかは、描いてないけれど、同じように、存在しているのなら、ほかの探検者にみつかったりして、なくなっているような気がする。
アマツキとヒイロが、
同時に話す。
「「いってみようよ!」」
「ルルファイスにきいてからね」
ルルファイスは、また仕事に戻ってしまっている。
あとは、夜まで待つか。
スズネが、改めて聴いてくる。
「ね、ネネせんぱい」
「なに」
「ヒイロが、転生魔法を覚えると、いまいる転生魔法使いは、引退になるんですよね」
「たぶんね」
「そのあと、ヒイロは、どうするの?」
「決めるのは、ヒイロよ。後継はとるけど、もしかしたら、別の形もあるのかも」
「別の形。うん。せんぱい、それなんすかね」
「さ、さぁね」
「ま、わからないすよね」
まだ、調べ足りないかも、とメディとミレイが、まるで仕事のように、書籍を探しにいったため、この場所を拠点にして、夜までいることになった。
夜に、ルルファイスがシフトを終えて、声をかける。
ルルファイスも当時の記憶をあまり覚えていないようだ。
「当時の場所に、あるかはわからない。ほかの情報もあるかも。わたしも少し、聴いてまわってみるわね」
「ありがとう、ルルファイス」
「おそい時間だけど、どうしよっか」
ミレイが、一瞬ピクっと反応する。
ヒイロとアマツキが、ミレイのほうを期待するようにみる。
「えと、そんな眼でみられても」
「ミレイ」
「だから、そんな眼でみないで」
「ね、ミレイ」
「ネネまで」
メディは、どこか、こうなる予感はあったらしく、くすっと笑っている。
「これ、とめてよ。メディ。お願い」
「ムリだと、想うよ」
「はぁぁぁぁ。もう!」
ミレイの部屋に、みんなで泊まることになった。




