ミレイの部屋
眼が覚めた。
動くことができない。
わたしの部屋でもない。
う、どうしよ。
寝返りをしようと想っても、右腕はミレイに掴まれていて動かすことができないし、
左腕は、スズネに掴まれている。
て、おかしいでしょ。
ヒイロとアマツキが、客室をつかっているから、ベットはひとつとはいえ、寝るときには、こんな寝苦しくなかったはず。
丁寧に、両腕をロックされていて、動かすと二悪魔の胸のなかで、もそもそするため、なんかわたしが、イケないことをしている気分になる。
「メディ」
メディは、離れたリビングに寝ているから、呼んでも気づかない。
「ムリヤリ起こそうかしら。」
「でも、ミレイは昨日様子おかしかったし、スズネは、寝起き悪そうだし」
もう少し、寝てるしかないかな。
「う〜ん」
ミレイが、隣でセクシーな声をだして、
反対側では、スズネが、脚や胸をハダケている。
「ゼッタイ、スズネ、ねらってるわ」
ネネは、天井をみつめながら、
ぼーっと考えごとに向かう。
"ミレイは、未来視でなにか視えていたのかもしれない。
ミレイだって、わたしに全部委ねているわけではないもの"
"スズネは、いいかげんにみえるけど、実際はそうじゃないのよね。もうわかってる。
クイーンからも信頼されはじめてるみたいだし、それに、前よりもきちんと、仕事できる"
"メディは、どうしたんだろう。
仕事以外で
ぼーっとすることがおおいし、話しをしても、遠い眼をしている。きっと、わたしには言えないこと。それが、すごく寂しい"
寝返りができないため、天井をみつめて、
二悪魔に挟まれたまま、ネネは続ける。
"クイーンから、渡された仕事のひとつは、天使たちに渡せたから、ほっとした。
ヒイロとアマツキは、悪魔と天使の壁をこえて、もしかしたら、悪魔クイーンの願いを実現してくれるようになってくれるのかも"
しばらく、考えごとを続けていたら、
瞬間シンパシーが聴こえてくる。
"ネネ、起きたの"
"あ、メディ"
"ミレイとスズネは"
"まだ寝てるわ。腕をとられてて、挟まれてるの"
"それは、大変"
メディが、笑っている様子が浮かぶ。
まだ、眠たそうなメディの思考がネネには心地よい。
"ずっと"
"うん"
"しばらくの間、メディとゆっくり話してないや"
"それは、ここしばらくは賑やかだからね"
"それは、嬉しいけれど、でも、メディとも、もっとゆっくり"
"ネネ"
"もっと"
だんだんと、思考が途切れがちになり、
いつの間にか、寝てしまっていた。
次に目を覚ましたときには、右腕のミレイは、ベットからいなくなっていて、少し遠めに話し声が聴こえてくる。
左腕は変わらずに、スズネが抑えていて、
胸! が、重い。
この悪魔、遠慮がだんだんとなくなってる気がするのよね。
甘やかしすぎたかしら。
でも、堕落しないから、どちらかと、いい子だしなぁ。
そんなことを考えていたら、
昨日はずしそびれていた、宝石が首元で光る。
「ときどき、宝石をはずしそびれてるなぁ」
「う〜〜ん」
あ、起きたかな。
「うぁ〜ん」
起きてないや。
だめだ。
「左腕重たいんですけど」
はぁ、とタメ息をついていると、
ミレイとメディが朝食をつくっているようだ。
ミレイの家だから、早く起きたのかな。
他には聴こえてこないから、ヒイロとアマツキは、まだ寝てるのかも。
規則的に聴こえるスズネの寝息は、穏やかで、安心しきっている。
「しゃべらないと、スズネっていい子なのよね。しゃべりだすと、いろいろ崩壊してくけど」
うっすらとキッチンで聴こえる声を聴いていると、メディの眠たそうな声と、ミレイの少し明るい声がする。
「ミレイ朝けっこうはっきり起きるよね」
「そんなことないわ」
「はい。こっち切って」
「はい」
「ヒイロとアマツキ、だいぶ体調よくなったね。安心したよ」
「強い子たちだと、想ってるよ」
「はい。こっちは飲みものにするの」
「うん」
果実ジュースと、果実メニューをつくっているようだ。
「飲みものにすると、濃くてニガテ」
「少し甘くしておく」
トクトク
マゼマゼ。
「ね、メディ」
「ん」
「天使シスターのとき、クイーンがいう通りに、悪魔と天使が、協力できたほうが、いいとは想ってる」
「うん」
「アヤネは、いい天使よ。でも、いまの天使たちと、悪魔がそこまで、手をとりあう姿、わたしはまだ湧かないわ」
「でも、クイーンには頼まれているんだろう」
「ネネのついでかも。それに、メディの秘書だし」
「それだけじゃ」
「わたしは、身勝手よ。アヤネとも仲良くなったのは、ネネがいたから」
「そっか」
「メディ」
「なに」
少し声が聴こえにくい。
なにを話してるんだろう。
スズネの腕離して、キッチンにいこうかしら。
腕を試しに、動かそうとすると、なぜかさらにホールドされてしまう。
だから、スズネの胸!
まさか、おおきいと、こんな使いかたがあるのね。
「うん」
「それで、いいと思うよ」
「そうなのね」
話しの途中が、ほとんど聞こえなかった。
スズネの寝言のようなシンパシーが、少しだけ、聴こえてくる。
"ねね、せんぱい。いなくならないで"
"ほんと、わたし、さみし"
"わたし、つれて、ってよ。そんなに、つよくは"
なんの夢をみているのだろう。
でも、なぜかスズネの切なそうな声を聴いていると、キュンと胸がしてしまい、解こうとしていた腕をやめて、今度はスズネに向きあって、頭を抱えてあげる。
ポンポンと頭をなでてあげると、
スズネは、う〜ん、とうなっている。
こうしていれば、ま、かわいいかな。
「そろそろ、ヒイロとアマツキ起こす?」
「そうね。先に用意してもらっちゃう」
「いってくる」
メディが、部屋を動く音がすると、
ミレイがこちらにやってくる。
「入るわよ。ネネ、スズネ」
「あ。うん」
扉を開ける音がする。
「ネネ。起きてるの」
「うん」
「スズネは」
「まだ寝てるみたい」
そのあと、ヒイロとアマツキが、着替えてリビングにくると、スズネがようやくうっすらと起きる。
六名で、リビングで食事にする。
まだ、ネネとスズネは眠たいのか、あまりしゃべらない。
メディとアマツキがシャワーを浴びてくることにして、その間に、ミレイとネネで片付けをする。
アマツキが、すぐにシャワーからでてくると、メディが入っていく。
「さっぱりした」
「うん」
「メディは、料理得意なんだね」
「そうみたい」
メディが、少し長いシャワーをでて、着替えてタオルを抱えてでてくるころには、
ヒイロとアマツキは、また部屋でくつろいでいて、スズネが交代で、洗面所をつかいはじめる。
朝のバタついた風景のなか、
リビングで落ち着いて、ネネは今日のスケジュールを考える。
「ルルファイスに会えるかな」
「あと、クイーンに連絡ね」
「それから」
「ヒイロとアマツキの泊まるところ」
ミレイは、またここに戻ってくるような気がして、ふふっと笑っていた。
お昼前には、準備を整えて、ミレイの部屋をでる。
ヒイロやアマツキは、その前には、掃除もしてくれていた。
「さ、まずは中央図書館ね」
「お城はどうする?」
「ルルファイスに会えたらね」
六名で翼を拡げて飛びたつと、
ネネとミレイは同時に顔を見合わせる。
「にぎやかね」
「ミレイは、しっかり休めたの?」
「ネネのおかげね」
昨晩のミレイにしがみつかれていた腕を思い出して、ネネは笑う。
中央図書館の広場は、まだ悪魔がたくさんいた。




