悪魔なスキルなシンパシー
だいぶ、メディは悪魔な生活に慣れたようだ。
オフィサーの仕事にも慣れてきて、何名かメディの部下もできた。
相変わらず、わたしはメディを追いかけながら、スキルもレベルアップさせていき、MSPが十五万を超えた。
ミレイと、またエリアが重なる部分があったため、回収作業をしながら、話していた。
内容は推しメンバーの話しだ。
もちろん、ミレイとわたしは、応援している対象が違うため、あまり噛みあわない。
「ヤバジャンは、メロな歌詞に、ときどきシリアスが入っていいの。魔女隊は、とにかく、ビートがよくて、毒たっぷりなの」
ミレイが、熱い。
「闇病みアイドルは、わたしの原点なの。とにかく可愛いの。病みが闇で、可愛いの」
「ふん。アイドルは、幻想よ」
「なによー。バンドだって、すぐ解散するんだからね」
いつもコーフンしてしまい、ヒートアップする。
すると、悪魔と天使特有の、瞬間シンパシーが発生した。
タイミングは、自分たちで選べるときもあれば、勝手に発動するときもある。
"あー、メディに会いたい!"
"あー、メディに会いたい"
ミレイもネネも同じ内容を考えていたようだ。
シンパシーを感じとって
おもわず声をかけてしまう。
「ちょっと、メディに話し聴いてもらいたいの、こっちもなんだけど」
「一緒に聴けばいいじゃん」
「ミレイは、バンドの話しをして、そのあとライブでも誘うんでしょ」
「まあ」
「わたしもアイドルのライブについてなんだよね」
仕事終わりにあわせて、メディに会いにいく。
ミレイと同時に声をかける。
「メディ、一緒にライブいこ?」
「メディ、魔女興味ない?」
「え、なに、ライブと魔女?」
「はい、これチケット。二枚」
ミレイが先にチケットを渡す。
「二枚とれたから」
「ミレイずるいー!」
「じゃ、あなたも渡せば、いいじゃない?」
「わ、わたしのは、いまは一枚。でも、当日券あると思うし」
「ライブ、次の休みだから、一緒にいこ」
「ちょっと、ミレイー!」
「うん、わかったよ。興味ある」
「メディいくの? じゃ、アイドルのほうもいこ。その次の休み」
「うん、アイドルかぁ、悪魔のアイドルどんなだろう」
こうして、メディの休みは、予定で埋まっていく。
魔女隊ライブ当日。
ミレイは、髪をあげて、ショートパンツに、シャツと上着でだった。
「今日は、メガネしてないんだね」
「悪魔な眼だと、見え過ぎちゃうから、悪くするためのメガネなの。だから、今日はいいの」
マジョターゼ (応援してる派はこう言うらしい)応援してる曲は、おお盛り上がりだった。
途中、熱くなり過ぎて、上着をぬいだり、飲みものをのんだり、さぞ楽しかったらしい。
メディに、メガネなしのことをほめられて、曲最後には、メディと手をつないでいて、ハグしていた (ミレイの誇張! )らしい。
ミレイに、細かく聞いた。
"わたしもいけばよかったーーーー!"
"うわーーーー!!"
アイドルライブ当日。
わたしは、朝いつもより早くに起きて、シャワーを浴びる。
着替える下着も新しいのだ。
一昨日に仕入れた。
ミニスカートは、短いだろうか。
髪は、こんな感じかな。
今日は、アゲアゲの日。
メディとの、初デート (勝手に想っている)だ。
ライブ会場で、メディと待ちあわせだ。
「なんで、ミレイが一緒なのーーーー!」
「いいじゃん。はい、当日チケとれたよ。メディとで二枚。あなたは、持ってるよね」
「あ、ありがとう。じゃなくてー!」
未来視で、当日チケがとれるのが、わかったのだろう。
さすが未来悪魔だ。
でも、わたしの初デート気分の日だったのに。
会場に入り、カウンターバーで、飲みものを飲んだりしていると。
「あ、カウンターあるんだ。おしゃれ」
とか
「トイレ、キレイだったわよ」
とか
「アイドル、生アイドル初めて!」
と、ミレイがうきうきしている。
この箱 (会場)は、そんなにおおきくはないが、いろんなイベントに対応しているのだろう、舞台装置以外もしっかりしていた。
そして、始まる少し前くらいになると、
「番号関係ないみたいだから、わたし後ろで観てるわ」
とミレイが、後ろの壁のほうまでいってしまう。
「か、神! ミレイは神なの!?」
メディとわたしが、一緒に観られるタイミングをつくってくれたらしい。
「え、たしか、あだ名は、秘書じゃなかった?」
メディがきいてくる。
「うん。秘書なんだけど、こう対応が神業なの!」
こうしてミニコンサートが始まった。
「はーい! わたしたち、闇堕ち系アイドル、闇病みファンタジーVでーす!」
「タイトル、闇堕ちアナタ色に染まる」
加速していく恋心
沼に堕ちてく 闇堕ちよ
ふぅー♡
デビルズ リミッター解除だわ
ふぅー♡
デビルズ パラダイス闇に染まって
いつも空回りばかり
わが恋は
いつも下を向いて
かんでしまうの
いつも空回りすぎて
堕ちていく
いつでも本気だから
一緒に染まって
あなたに染まる
堕ちていくぅ
わーと、歓声に包まれる。
ネネがいう。
「この一曲め、アニメの主題歌なの。可愛いでしょ?」
「しー。次の曲始まるみたい」
合計で、三曲のミニライブで、最後にMCがはいった。
ライブも終わり。
ネネが後ろを振り向くと、
ミレイが誰か悪魔に声かけられていた。
ミレイのシンパシーが聴こえてくる。
"なにかしら、スカウトかしら"
メディとネネで、まだざわざわしている会場の後ろにいくと、声をかけていたのは、ハルPだった。
「え、ハルPじゃん。スカウトだよ」
そして、ミレイが蹴りを入れている。
「ちょっと、ちょっと、ミレイどうしたの? スカウトじゃん」
「わたしは、はいらない。いりません。て言ってるのに、しつこいのこの悪魔」
ハルPが起き上がる。
「やぁ。きみたち。この娘、説得してくれない? この娘、サイコーだよ。きっと、銀河一 悪魔アイドルになれるよ」
「だから、いりません」
ミレイが断っている。
「うそー、断っちゃうの、ミレイ」
「ええ、わたしには、ネネがいるじゃないそれで、充分」
すると、
ネネの方を見ると
「きみは、いつも前列で応援にきてくれてる娘だね。ネネっていうんだね」
「あ、見ててくれてたんですね」
「それは、もちろん」
「今度、楽屋においで。案内するから」
「えー! ありがとうございます!」
ネネが笑顔のなか、ミレイは複雑そうだ。
「じゃ」
ハルPが、去っていく。
「みんなプロデューサーってあんな感じ? もう、あきれるわ」
「うそー、わー、楽屋見られるぅ」
ネネが、テンションマックスだ。
このあと会場から離れて、少し周囲を散歩してまわったあと、ミレイは帰っていく。
ネネとメディは、帰り道アイドルたちの噂やミニライブの感想、ハルPの腕前などの話しで、盛り上がっていた。
「また、一緒にきてくれる?」
メディにきくと
「いいよ」
「やったね」
ネネは、闇病みポーズをつくって、そのあと照れていた。