天使事務作業待ち時間
「階数は、六階まであるみたい」
「けっこう高いね」
「オフィスと休憩室と、資料室に」
「あと、屋上が庭園だね」
ふと、みると
「資料室の隣は、小さな展示室があるらしい」
「いってみよ!」
「うん」
階段をヒイロとアマツキが上がっていく。
「ちょっとまって」
「もう」
「子どもって、走るよね」
話していると
「聴こえてるよ!」
「子ども扱いしないで」
いや、子どもだよね。
とネネとミレイ、メディで想っていた。
階段をあがり、五階まできた。
五階は、三階につくりが似ている、ラウンジがあった。
六階に、オフィスと仮眠室と、資料室と展示室がある。
ようやく六階にくると、
ヒイロとアマツキが「やっときた」
と言っている。
「ねぇ、階段たのしい?」
「たのしい!」
「元気ね」
「アマツキ、だいぶ顔いいね。」
「そうかな。ヒイロが明るいだけだよ」
「わたし?!」
「ヒイロって、図書館にいたときもそんな感じ」
「いやいや、わたし、ボーッとしてるよ」
「さっき走って」
「アマツキがはしるから」
「ヒイロがはしるから」
メディが、笑っている。
「ほら、メディ笑ってる」
「いや、ヒイロとアマツキいるとにぎやかだね」
そのまま、オフィスの横を通り、資料室の扉の前にくる。
「資料室は、あいてるかな?」
「といっても、天使の資料じゃ、わからないかな」
「先に展示みてていい」
とヒイロが聴いてくるため
「じゃ、少しみてから、展示にいくね」
ネネとミレイ、メディでなかにはいる。
「ネネは探しもの?」
「アヤネが教会をつくったのって、天使上層が、うまく回らないからよね」
「そうだね」
「でも、悪魔と天使の仕事の違いって、ほんとはなにかなって想ってね」
メディも考えてみる。
大した違いは、ないようにも思える。
悪魔は、召喚されて血の契約を結んだりすることとか、基本回収を一番に考えていて、死者になったヒトやエネルギー体に、よりそうことはしないこと、それとも、悪魔と天使の存在そのもの。
天使たちの残してある資料の棚をいったりきたりして、なにか参考にでもなるかと、何冊か読みすすめてみる。
ミレイは、壁にかけてあったタブレット端末を手にとり、資料室の検索をおこなっているようだ。
「ネネ、この辺は」
「う〜ん。みてみよっか」
ミレイがなにかをみつけて、呼びかける。
こういうとき、資料や手続きを任せているミレイは、有能で回転がはやい。
「エネルギー体魔力の見分けかた、確保する際の心得、ランク別配属」
「なんか、仕事する際のマニュアルだね」
「ほかにもあるわよ」
「スキルの防御、上層の環境整備、クイーンの秘書要項」
「そんなまであるの」
「資料室っていうか、書類保管庫だね」
「天使、雑務どうなっているのかしら」
ミレイの目のつけどころが違う。
「ふふっ、そうね」
資料室のなにも置いてない机に、ミレイが探した資料を拡げて、イスに座る。
「天使たちが、競争社会っていうのも、間違いではないみたいね」
でてくる資料は、上層に関する資料がおおくあり、下層での整備や調査などは、後まわしにされているらしい。
「天使たちは、競争とエネルギー体回収と、それに一般の作業に追われてて、余裕がないのかも」
「ほら」
ミレイが、見せてくれている資料は、
途中の記録される日付が、途切れていたり、訂正したあとが、おおく残っている。
「そういえば、アヤネも受付にいったら、すぐに呼びだされていたね」
「教会の運営のも少しみてみよっか」
ミレイは次に端末で、教会の資料を検索している。
「ね、メディ」
「なに?」
これ、とメディの近くによって、別のをネネは、みせる。
「天使のエネルギー体確保には、いくつか条件があるのね」
メディの眼をみつめながら、話す。
メディは、すでに仕事のような顔つきだ。
「エネルギー体に濁りがないこと、呪いや縛りで、現に囚われていないこと、悪魔との契約を交わしていないこと、回収予定書類に載らないイレギュラー」
そっか、とネネはつぶやく。
「どうしたの」
「あのときの」
「えっ」
「りんちゃんは、その場に縛られそうになっていた娘だったような」
「うん」
「エネルギー体として、にごりがあったのかな」
「アヤネのこと」
「そう。なんか、ずいぶんと容姿が違くて、気になってるの。りんちゃんのことが、あるのかな」
「うん」
ネネは、りんちゃんの力には、あまりなれなかった。
ただ、アヤネと一緒になって説得したのは、元彼氏のクズ行動に、縛られないでほしかった。
天使の異界ドラゴンに、その辺りの事情はわかっただろうか。
たぶんわかっただろうと思う。
「でも、それなら、異界ドラゴン以外に、あるのかな、原因が」
メディは、珍しく少し考えこむ。
「アヤネは、たぶん似ているよ」
「え、メディと?」
「そう」
ミレイが今度は、端末をメディにみせる。
おかげで、メディはミレイとネネに挟まれるようになる。
「ミレイ近くない?」
「そう。ネネが近いからじゃない」
「ミレイが、離せば」
「ネネは、用はおわったんじゃない」
「まだよ」
「はぁ」
メディがため息をついてみるけど、この二悪魔には、関係なかったらしい。
「教会のことは、なにかわかった?」
「運営だけどね」
「うん」
「アヤネが、出資した教会がいくつかあるのと、直接運営しているのが、さっきのところ」
「あとは」
「それに、上層にも少しアヤネの名義のがあるみたい」
「すごいね」
「そうだと、アヤネは回収で得る魔力のほとんどをそういった教会や施設の運用につかってるんだね」
「そういうことかもね」
ミレイが、端末を戻すと、ネネがメディの腕をとる。
「隣の展示もみよ」
「そうだね」
「ネネ」
「なによ」
「わたしも混ぜて」




