ヒイロには甘える相手が必要で
「アマツキ、顔すっきりしたね」
「そう」
「なんか、服も着替えたからか、少しよさそう」
「うん。でも、あんまり食欲ないや」
果実まるごとのほうは、半分残してしまう。
アマツキは、両手で果実ジュースを飲んでいる。
「あまり、食事とってなかったんじゃん。もっと食べれば」
「スラムとかから、くる子って、食もあまりわかなくなるみたいよ」
そういうのは、ネネだ。
「生きる気力? みたいなのないと、食べることもメンドウになるんだよ」
「アマツキ、食べて!」
「いや、ムリしなくても」
「だって、アマツキが、これ以上細くなってもイヤ」
「ふふっ」
シスターは、少し微笑ましくみている。
「いまは、ジュースでいいよ」
「平気よ。アマツキは、自分でシャワーもできたし、笑顔もできるから、強い子よ」
「そうなの?」
「えぇ、外からくる子は、大抵は、自分でシャワーもできないし、服も新しくしたがらなかった子もいるのよ」
「うーん」
ヒイロは、納得できないようだ。
そして、思い出す。
そっかぁ。
そういうの、ルルファイスに言われなかったから、中央図書館を行き来するうちに、自分でやるようになったからだ。
「ヒイロは、中央図書館にいて、途中からは、一悪魔だったでしょ」
「そう。でも、ルルファイスの姿はいつもみてたよ。隠れてたけどね」
「ヒイロは、もとから、きっとなんでもやる娘なんだね」
メディがほめてくれて、少し照れてしまう。
「じゃ、わたしもシャワーいってくるわ」
「あ、わたしも入ろっかな」
「ミレイ、そんなにだれかと一緒がいいの」
「違うわよ。女の子同士、話したいこともあるのよ」
そう話してる間に、ヒイロは、タオルを準備して、ミレイを置いていく。
「あ、ちょっと、ヒイロ」
「来なくていいわ」
シャワー室につながる脱衣室の扉をしめてしまう。
「もう。ヒイロ、なんかわたしのこと、避けるのよね」
「ミレイが、えっちぃこと目的なのに、感づいてるからじゃん」
「そ、そんなことぉ、ない、わよ」
メディが、少しあきれ顔だ。
「いつものことだね」
「メディまで、わたし、日常てきに、セクハラなんてネネだけよ」
「わたしだけ!?」
「ネネは、いいの」
「よくない!」
ネネは、食べおわった口元をぐいっとぬぐうと、片付けをし始める。
「あ、いいわよ」
「いえ。ヒイロがくるまでは、休んでください」
「あら」
ネネは、簡易キッチンまで、食器や果実の皮を片付けて、キッチンで洗いものをしている。
メディが近くにくる。
「ネネは、ずいぶんとヒイロに対して、世話やきだね」
「ふふっ。わたしにやいてる?」
「ネネは、やいてほしいの?」
「う、そうくるのね」
「ヒイロは、かわいいよね」
「え、メディて、好みロリなの?」
「なんの、話しだろう。ネネは、子どもきらい?」
「子どもは、好きだけど、え、もしかして、わたしより、ヒイロのほうが、いいの?」
「ちょ、ちょっとまって。なんの話しなの? 子どもって、かわいいし、話してると、おもしろいよねっていう」
「は、わたし、勘違いか。そうよね」
話しを聴いていたミレイとシスターが、クスクス笑っている。
アマツキは、ベットに座りなおして、なにか考えごとをしているようだ。
「たしかに、ネネはそれっぽい顔だけど、メディが子どもばかり追いかけていたら、わたし契約なんてしないわよ」
「それもそうね」
「あの」
「なに、アマツキ」
「ヒイロは、記憶が」
「ええ、そう。中央図書館のルルファイスに会うまでは、ほとんどボーッと過ごしていたらしくて、記憶があるのは、声をかけられてから、らしいわ」
「ぼくは」
「うん」
「いや」
「言いたくないことは、言わなくていいよ。話したくなったら、聴くからね」
メディが、キッチンのところから、そう声をかけると、アマツキは、少しだけうなづいた。
「シャワー浴びたら、ほっとしたのかな。眠い」
「ベットで、寝てていいわよ」
「でも、ヒイロがくるまで」
「焦らなくても、ヒイロはいなくならないよ」
間があったあと、アマツキは、また少しだけうなずく。
靴をぬいで、ベットの上に横になる。
「ねぇ、メディ」
「なに?」
「ヒイロがきたら、起こしてね」
「わかったよ」
アマツキは、疲れていたのだろう。
五分としないうちに、いつの間にか、寝てしまったようだ。
「ね、アヤネ」
「どうしたの?」
「ヒイロとアマツキ、このまま仲良くなれるかな」
「もう仲良しなんじゃん」
「でも、悪魔と天使じゃん」
アヤネは、少し考えたあと、話す。
「ネネとわたしもだよ」
「うん」
「ネネは、天使とは、長続きしないと、想ってるの?」
「わたしは、さ」
「うん」
メディをみつめると、
メディは少しだけ、切ない表情をしている。
「悪魔としてしっかりするのと、子どもたちをみてたいのと、恋とみんな、タイセツだよ」
アヤネも答える。
「わたしも、天使とはうまくいかないこと、おおいけど、悪魔とは、うまくいくような気がするよ」
ヒイロが、シャワーからでて、脱衣室で着替える音がきこえてくる。
「アマツキ、寝ちゃったね」
「ヒイロがくるまで」




