ネネと天使再会
メディが連絡をとった天使が、ネネが気にしている天使だった。
「こちらにくる手順はわかる?」
「いったことない場所だから」
「そうよね。わかった。迎えの天使を送るわ」
「そうしてくれると、助かる」
四名の悪魔たちは、天使たちの住むエリア、天使界の最下層で、話しをしていた。
「そっか、ミレイの未来視が気になったのよね」
「そうね」
一名の男の子天使が、迎えにきてくれて、羽で高く上がったあと、転移陣を拡大して、連れてきてくれた。
「ありがとう」
「いいえ。でも、悪魔たちが、なにか用ですかね」
この天使は、少しオドついているが、女の子と仲良くできるのは、嬉しいらしい。
特に、ミレイのような美悪魔が、タイプらしくはじめ、わたしたちの前に来たときには、仕方なしのようだったのに、ミレイと話しだすと、とたんに口が、軽い。
「ネネとヒイロが、天使と話しがあるし、こちらの様子をみたかったの」
「ふーん。あ、いまは最下層の部分なんですけど、連絡した天使も少ししたら、来ますので」
そういって、その天使は名前と、街中の紹介だけしてくれる。
「街中といっても、何もないですけどね」
観てみると、たしかに住宅街と、少し高い建物があるだけで、景色はみる限りあまり変わらない。
「外側は、あとは」
「あとは、公園や森、少しひらけた場所には、丘もありますね」
悪魔界は、とにかく色んな者が混ざっているため、住宅から商業からDJRの列車など、整然と、ではなくてひたすら雑然としていて、外れにある広場やクイーンの住む城下が、唯一キッチリとしている。
天使たちの住むところは、階層があるらしく、それぞれでクラスがあるのかもしれない。
「ふーん。見た目は悪魔のとそんなに変わらないわね」
ミレイが、言うところでは、そんな感想だ。
「ミレイっていう名前なんですね」
「えぇ」
「キレイです。キレイな天使は多いですけど、ミレイは、その」
「いいわよ。そんなに、ほめなくても」
「いや、そうじゃなくて」
ヒイロは、上空で天使エリアの建物や風景を観察している。
「ヒイロぉ、どう高いところは」
「うん。風景はそんなに悪魔の場所とそんなに変わらないけど、その」
「なに?」
「色が派手で、なんか揃いすぎかも。」
たしかに、ネネも観ていると、色が多くてチカチカするのと、それにあまり外にいる天使が少ない。
「あの」
「はい」
「なんで、こんなに天使たちいないの?」
「あぁ、ここは最下層なため、寝るか働くか、あとは出稼ぎですよ」
「ふーん。うん? でも天使の仕事は、悪魔のとあまり変わらずに、エネルギー体の回収でしょ。それなのに、出稼ぎ?」
わたしは、天使の仕事の様子が、少し変わってることに気づく。
「そう。詳しくは先輩天使がきたあとのほうが、わかるかもしれません」
「そう」
ヒイロが、空中から降りてきて、
わたしたちに、様子を伝えてくれる。
少し話していると、転移陣が現れて、天使が現れた。
ピンクの翼、セミロング髪で少しアッシュピンクだ。
ネックレスをしている。
肩だしのシャツに、少し短いスカートで、ブーツ姿だ。
やっぱりと想う。
「想い出した」
「貴女が、ネネ」
「そう」
「お久しぶりね」
「うん」
後輩天使に、ここはもういいから、と説明すると、その天使は、ちゃっかりミレイと連絡を交換してから、別の場所に飛んでいってしまう。
見送ると。
「きゃーー! やっぱりまた逢えた! そんな気がしたのよね」
「うん。わたしも」
急なテンションに少し戸惑ってしまう。
「ネネ、逢いたかったよ」
「うん」
「いやぁ、悪魔となかなか逢う確率がないらしくって、天使と一緒ばかりだったから」
「そうなんだ」
「そうそう。天使がよくないんじゃないんだけど、やっぱり悪魔ともう少しキッチリと話したい、嬉しいぃ」
あれ、と思う。
たしか、前に一度会ったときには、
こんなに、キャピキャピしてなくて、もっとこうしっかりとした、優等生的だった気がする。
「そうね」
「あ、でもでも、もう一回あいさつね!」
「そうだね。わたしは悪魔ネネ。クラフトが得意よ」
天使は、羽をパタつかせながら、一回転する。
「シャキッと、わたしはアヤネ」
「うん。可愛い」
「えー、ネネのが可愛いよ」
「うん。ありがとう」
わたしとの羽をくっつけて、謎にイエーイとしてくる。
ミレイと、ヒイロが、うっかり不思議な顔をしている。
まぁ、そうよね。
「それで、ネネわたしに会いにきてくれたの?」
ホントは、ヒイロの旅なのだけれど、わたしも逢いたかった。
「うん。あ、この子ヒイロ」
「うん」
「悪魔ヒイロ、アヤネっていいます。きゃるん」
となりで、ネネがはたいている。
「きゃ、なに!」
「きゃるんは、いらないでしょ」
「そうかな。はじめが肝心だし、ギャルピー」
「だから、いらないってば」
「えーー、ギャルピースをしないの!?」
「う、うん。アヤネは明るいね」
「うんうん」
やっぱり、とわたしは想い出す。
たしかに、アヤネは明るさのある天使だったけど、こんなにギャルではなかったし、熱心に、エネルギー体の子の話しを聴く天使のイメージだ。
なにか、あったんだ。
たしか、あの子は、りんって名前だった。
「あのさ」
「あ、天使の仕事の件もあるし、天使界案内して、あげる」
「うん、ありがとう」
まず、説明してくれたのは、天使の階層のことだ。
天使たちは、レベルにあわせて階層を変えて住むらしく、いまわたしたちがいるのは、最下層の一部で、(少し)貧しいエリアらしい。
「そんなに、ここに住み続ける天使はいないよ」
「そうなんだ」
わたしは、アヤネの話しをききつつ、意外だった。
天使たちは、もっとのんびりと仲良しで、仕事のときだけ、バリバリな感じなのだと思っていたのだ。
少し違うようだ。
「悪魔のほうは、どうなの?」
「悪魔たちは、堕落悪魔はけっこういるし追いかけ回されたりするけど、クイーンが管理してる中央教会はすごくキレイだよ」
「そうなんだ。中央はやっぱりキチっとしてるのね」
「うん」
「天使たちのエリアは、最上層にいくほどに、たくさんの施設が揃っているし、便利になるよ。まぁ、階級の上な天使たちって、性格は、どうかと想うんだけどね」
「アヤネは、階級どの辺りなの?」
「クイーンをトップにして、四番め。あ、でもシークレット階級がいるから、五番になるんかな」
「えっ、けっこう上の部分じゃん」
「ネネやミレイたちは」
「わたしたちは、統括エリアマネージャーだよ」
「そっかぁ」
とりあえず、とアヤネは転移の準備をしているらしい。
「あ、待って!」
「うん。ヒイロどうしたの?」
「さっき空から観てたときに、調子悪そうな天使がいた気がしたの」
「見にいきたいの?」
「だめ?」
「ううん。いってみよ」
アヤネが、少し複雑そうな顔をみせた。
「アヤネ」
「あ、うん」
なんだろ。
なんか、アヤネはあまりいきたくないようだ。
ヒイロが見つけた、という場所まで、
みんなで飛んでいくと、さきほどいた場所と違い、かなり古びた街並みになる。
あまり、天使たちはみかけないけれど、住むにしても不便そうな場所だ。
「あ、いたよ」
ヒイロが、街なかの稼働しているのかわからない自販機の横で、薄明かりのなかうずくまる少年を見つけた。
みんなで、上空から降りたあと、ヒイロとネネが声をかける。
「ねぇ、あなた」
「きみ。どうしたの?」
ふっとその天使は眼を向けるのだけど、またうつむいてしまう。
後ろの羽もなんだか、傷んでいるような感じにみえる。
「ねぇ。あの、話ししよ」
今度は首をふってしまう。
ヒイロは、思い出していた。
この眼は、あのときの眼つきだ。
ルルファイスに誘われて、中央図書館にいく前の何かに置き去りにされて、自分自身がよくわからなくて、どうでもよくなってきたような、そんなとき。
ミレイとメディはだまってくれている。
ヒイロは、少しだけわかったのだ。
あのときに、ルルファイスがしてくれた行動の意味が。
ヒイロは、その天使と眼をあわせるようにしたあと、にこっと笑って、そして話す。
「わたしね、悪魔がなにかも、わからなくなって、それでいま旅をしているの。ヒイロって言うよ。一緒にいきましょ」




