ヒイロ異界から
「ファルティお願い」
この回収作業は、時間は短かったけど、
多数のエネルギー体を回収していた。
ネネとヒイロが、ファルティに引き渡しの作業をして、ミレイとメディは、クイーンに報告と後輩悪魔たちに、転移場所で、いくつかの手続きをおこなう。
「ファルティ、また寝てるかな?」
ヒイロが、心配そうに言う。
「どうだろ。ヒイロはまだ慣れないよね?」
「うん」
「わたしもだよ。いいドラゴンってことは知ってるんだけど、眼があうと、あわわわってなるんだよね」
そういいながら、ヒイロはネネに掴まっている。
ネネは、ヒイロの頭をポンと、優しく叩いてから、ファルティの近くにいく。
回収したエネルギー体は、それぞれ悪魔たちの固有スキルで、捕まえることが多く、ネネは、クラフトでつくったトロピカルガンで打ちこんだ魔力鎖で、魔力同士をくっつけて、それらを異界まで引き連れていくのだ。
ミレイが、前に話すところだと、
わたしが、連れて異界にいく様子は、おおきい翼を拡げたロリ悪魔に、見えるらしく「ネネは、悪魔界の唯一のロリータアイドルね」とミレイにしかわからない、イメージがあるようだ。
「ファルティ、お願いね」
静かだ。
ネネは、ヒイロが掴まっていないほうで、トロピカルガンを持ち、魔力の放出を抑えていく。
捕まえていたエネルギー体たちは、自由にこの異空間で飛び回る。
「あとは、ファルティの管理するところだからね」
「うん」
少し待ってみるけど、ファルティは目を覚まさない。
「もう。だいたいは寝てる気がするけど、でも動きだすと怖いからなぁ」
と愚痴を言っていると
「おい、ネネ聴こえている」
首を持ちあげて、異界ドラゴンのファルティは、眼をあけた。
「あら、起きてたのね」
「またずいぶんと、多くの者を連れてきたな」
ドラゴンが、羽をひとつ動かすと、周りにいたエネルギー体たちは、ビクビクしている。
「それで、ネネとヒイロは、用かな?」
「いいえ。仕事よ。ねヒイロ」
「はい!」
「そうか。ふぅ」
ファルティが、ひとつため息をつくだけで、風が起こりエネルギー体たちは、また驚く。
声をだせる者は、いないらしく、風音以外は静かだ。
「あぁ、たしかに魔力が多いな」
ファルティは、辺りを見回すけど、まだ仕事をする気ではないようだ。
ネネの胸元をみると、ファルティは、何か少しうなずくような感じだ。
「ね、ヒイロ?」
「なに?」
「もう帰ろっか」
「えっまだ話してないし」
「そうだね、じゃ、サクッと」
ヒイロとコソコソしていると呼ばれる。
「ネネ」
「はい!」
ファルティは、身体の下にあった何かを足だか手だかよくわからないけど、取り出して、ネネに渡す。
「これを持っていきなさい」
「はい」
ネネが手にとったのは、群青色のラピスラズリだ。
「その青い宝石は、お護りだ」
「うん」
「わたしの魔力と一部スキルを写してある。好きに使いなさい」
「わかった」
「ありがとう」
ヒイロが、ネネの後ろから、少しだけ顔を出してお礼を言うと、ファルティは笑った気がした。
「さぁて、仕事でもするか」
ファルティが、少しずつ起きあがるなか、
ネネとヒイロは、転移をしていく。
ファルティは魔力とエネルギー体の選別をはじめて、異界の先にある扉が、開いていく。
ネネとヒイロが、悪魔地上のミレイとメディの元に戻る。
「ふぅ。緊張した」
「そうだね」
「おかえり!」
メディは、端末をだして、なにか創っているようだ。
「ミレイ、天使たちは、どうなったの?」
「さぁね。わたしたちは、こちらに戻ってからは、スズネたちと話しあっていたから」
「そっか」
あぁ、とネネは事故現場を思い出す。
さきほどのエリアを指揮していたのは、後輩のスズネだった。
「はじめに、呼ばれたときには、まだひどい状況じゃなかったから、統括マネージャーは呼ばなかったらしいよ」
「そう、それでね」
メディに連絡がきたときには、エリア管理を統合しているわたしたちの立場の悪魔は、いなかったのだ。
けっこう緊迫した現状だったのに。
「ねぇ、スズネってどなた?」
ヒイロが、わたしを見上げつつ聴いてくる。
「スズネは、ミレイのグループの後輩で、いまはまだオフィサーかな。仕事は、いちおできる子なんだけどね」
とスズネの顔を思い出していたら、
そういえば、ミレイもスズネもルルファイスもなぜだか、女の子同士イチャイチャするのよね、と不思議だな、と思う。
スズネの後輩男の子悪魔は、たしかスズネのことが気になってるのよね。
「その、ネネと同じように、可愛い子なのかなって」
「あ、うん。少しギャルっぽい軽い感じなんだけど、真面目だから、ミレイと気があうみたいよ」
「ふーん」
こうしてみるとヒイロは、髪を短くした影響か、服装を男の子っぽくすれば、イケメンなのでは、とネネは観察する。
「なに。あ、髪とかハネてる?」
「えっ、ううん」
「もしかして、翼?」
「ううん」
否定しつつ、ヒイロの羽や頭をなでてみる。
「ネネって、考えごとするときに、頭をなでるの?」
「そうじゃないけど、わたし、クイーンの城に、悪魔子ども預けたりしてるのだけど、子どもたち可愛いくてついね」
「ふーん」
ヒイロは、羽をパタパタさせている。
嬉しいらしい。
「ヒイロは、このままでいてね。姉のお願い」
「えーー。わたし、ネネみたいになりたい」
「ふふっ」
メディが、端末を閉じると、ため息をついている。
ミレイも疲れた様子だ。
「どうしたの?」
「いや、心配だなって」
「スズネが?」
「うーん。他にもいるとはいえ、統括が三悪魔いないのは、回るのかな」
「メディが優秀なだけよ。わたしは、そんなにではないし」
「ネネとミレイは、頼りになるよ」
「そうかな」
わたしは、ヒイロの隣で少し手を上に持ちあげて、ノビをする。
「じゃ、いきましょ」
すると、ヒイロが、わたしの服を引っ張る。
「どうしたの?」
「悪魔と天使って仲が悪いの?」
「えっ、そんなことはないけど」
「さっきのケンカって、いつもなんでしょ」
「まぁ、戦争になっていた時代もあったけどね」
「いまのクイーンになってからは、ないよ」
「うん」
すると、ミレイが困ったように、悪魔ノートをひらく。
「あの天使、大変らしいわね」
「未来視したのね?」
「そう。それに、ネネとも関わりがあって」
「いってみよう」
「えっ」
「さっきの天使、やっぱりどこかで、会ったわ」
「うん。わたしも逢いたい」
「メディは」
「そうだね。天使たちのところは、はじめてだけどね」




