悪魔中央図書館、禁書エリアの秘密
司書ルルファイスについていき、四階にあがる。
階段上がってすぐわきには、デビルズ自販機があり、簡単な机と椅子がある。
ルルファイスがきいてくる。
「自販機で飲みものでも飲んでいく?」
「いいえ」
「うん。一度昼食で戻るつもりだから、そのときに」
「わかった」
上がった先、ゲートは二つしかない。
五階とつながるホールとなっている、入り口側のゲートと、反対向こう側にある出口ゲート。
窓は小さめな窓が高いところに並び、
あとは壁ぎわに、左右二箇所、合計四つの縦長の窓があるだけだ。
ゲートは、セキュリティにもなっているらしく、天井ふきん高い位置に、魔導石のはめられたレーザ装置のようなものがついている。
「厳重ね」
「ここ、その隠れ悪魔は、どうやって入っているの」
「わたしも知らない、隠れ通路がある、らしい」
「厳重なんだか、手薄なんだか、よくわからないわね」
「ふふっ、そうだね。現女王が、しばらく禁書を調べるために、居室がほしかったらしく中央図書館に、いくつか部屋を創ったんだけど、そのひとつをあの子に渡したんだ」
「うん」
「そしたら、図書館を調べてまわるうちに、隠れ通路を発見してしまったらしい」
「そして、扉自体を封印した」
「うん。そういうこと」
ゲートをルルファイスと入ると、フロアの真ん中には、円形のおおきな机とそれを囲む椅子があり、
左右の壁にはカウンターが少し飛びとびで造ってある。
カウンターには椅子もあるが、どう見てもこんなには数は、いらないだろう。
禁書フロアには、ほかの悪魔は、だれもいない。
「ここが、禁書フロアかぁ」
「広いね」
「ていうかだれもいない」
「静か」
「あ、音楽でも流そうか?」
「あ、お願い」
入り口、ゲートふきんに設置された
受付カウンターのなかにルルファイスが入ると、壁に埋めこまれたパネルを操作している。
「あ、闇病みだぁ!」
ネネが、嬉しそうにいったのは、流れてきたのは、ネネの推しのアイドルだからだ。
「ふふっ。この端末わたしておくから、好きなの流すといいよ」
ルルファイスが渡したのは、このフロアの音楽を操作するカード型の端末だ。
「ありがとう」
「ネネが好きなの流していいよ」
「じゃ、ミレイも一緒に、選ぼうよ」
「わかった」
ネネとミレイが、音楽端末で選曲しているなか、メディはルルファイスにたずねてみる。
「ルルファイス、聴いてもいいかな?」
「なに?」
「さっきの転生魔法をなんで使ってくれたの? 隠していたんでしょ」
「うーん。気にいったって理由じゃダメかな」
「ほかにもあるのかな?」
「そうだね。悪魔な転生魔法使いは、現状四名いるけど、そのうち希望を受け入れているのは、あの四百年待ちの悪魔だけ」
「そうみたいだね」
「でも、そろそろ限界だろう。次の後継を探している頃だ。それで、わたしのところにもくるだろうと、想っていた」
「うん」
「わたしは、もう関わりたくないが、次を探すのに、協力しなければいけない。それは、わたしたちの使命なんだ。それに、探してくれて、嬉しかったそのお礼かな」
それを聴いて、メディは複雑な表情になる。
ネネは端末を操作しながらも、メディの表情は見逃さなかった。
悪魔メディは、この仕事をしていくなかで、ヒトに再び転生したがっている、ネネはそんな気がしている。
でも、どうして。
「ネネ、この曲でいい」
「うん。次にミレイの好きなので」
「ありがとう」
ルルファイスは、説明をはじめる。
「ここの禁書は、悪魔界のなかで、つかうと危険なものや、つかってから、二度と使われないようにしたもの、死を呼ぶもの、召喚してはならないもの、運命を操るものといった途方もない危険な魔法その他、厄介ものを管理しているところ」
「はい」
「だから、わたしから忠告できるのは」
「はい」
「ここで死んでしまっても、わたしには責任ないからね、てへぺろ」
しばらく、だれも口をひらかない。
三十秒は経ってしまったあと、
「あのぅ、だれかつっこみしてくれないと、わたしの会心のボケは、その」
「いまのボケたの、わかりづらいよ」
「そうね」
ようやく、くすっと笑う。
「もし、あの子の扉の封印をみつけたら、わたしに教えてね。お願い」
「はい」
ルルファイスは、出口のゲートに向かっていってしまう。
せっかくだしと、真ん中にある、広くて丸い机に、席を決める。
時間は、もう少し経つとお昼だ。
「禁書も関心あるから、まずはフロアを探検しよう」
三名それぞれで、慎重にタイトルを選びながら、関心のあるものを確認してみる。
ネネは転生のほかに、悪魔召喚、宝石や霧魔法、魔改など、一応自身が詳しいそうな項目の種類で、なにかみつかるだろうかと、探していく。
メディは、属性や詩、妖精の魔法、を探しているらしい。
ミレイは、未来視や魅了、恋、占い、願いなど、やや複雑そうなものを観ているらしい。
「あ」
禁書の棚は入り組んでいて、ひとつみつけるのにも、時間がかかる。
ようやく、宝石に関係しそうな書物をみつけた。
「タイトルは」
席に持っていくと、近くの棚から、驚いたような声がきこえた。
「メディ! どうしたの?」
「あぁ。これ」
メディが落としてしまったものをみると、
炎や氷の属性のものだ。
すぐに、メディが拾う
「ドラゴンの炎を吸収するって項目があって読んでみたら、魔力一万くらいで、湖を凍らすっていうのは、二万くらい」
「え!」
「魔力値、コストかかり過ぎだよね」
「うん」
「ためしに覚えようとしたら、さらに本に魔力を吸収されてた。覚えるときにも、なにか条件あるみたい」
「えーー! じゃ、わたしの持ってきた宝石も、コストすごいのかな」
「うん」
「ミレイは」
「あ、なに?」
ミレイが、少し離れた位置の棚から、顔をだす。
「わたしの未来視、については知ってるものあるわ。
でも、魅了や占いは、わたしの知らないのあるわ」
「え、禁書の内容のも知ってるのあるの?」
「ええ。わたしの未来視スキル、もう少しすると、禁書扱いになるのかも」
「えーー! ミレイのスキル、レベル高!」
「とりあえず、魅了と占いね」
ミレイが、机に本を並べる。
「メディは、属性や妖精の魔法で」
「わたしが、宝石、クラフト」
「ミレイは、魅了と占いかぁ」
それぞれで並べられた本を眺めるが、
さっきのメディの例もあるからか、三名ともなかなか開こうとしない。
「とりあえず、戻す?」
「なんでよ!」
「いや、巻き込まれたり、即死とかないかな」
「ひとつだけ、みてみて、そのあと休憩する?」
「うん」
ミレイの占いのを手にとり
メディが聞いてみる。
「占い、ならそんなにヤバくないかな?」
「でも、占いで、禁書てどんなんなの?」
「うん。まぁ」
「みてみよう」
ネネが、試しに開こうとすると
「てか、ひらかないよ」
「貸して」
ミレイが、魔力をこめる。
「ほら」
「そっかぁ、ミレイは占いのスキルあるから、許可がでるんだよ」
「あーー」
「それで」
ミレイが、しばらく目を通していくと
「未来視と占いと、だいぶ重なってるわ」
「どう違うの?」
「未来視は、場面、状況を個別や集団、全体的に、視ることができるけど、それとは別に改変スキルも準備しないと、いけない」
「そっかぁ」
「占いは、未来ではないけど、そのときに合わせた判断を伝えてくれるから、もっと抽象的ではあるけど、コストもかからないし、たくさんの数をこなすには、ちょうどいいの」
「でも、禁止されてるんだよね」
「そう、これは預言を超えて異次元ね」
「スキルを覚えるのも禁止かな」
「条件はかなりあるね」
「そっかぁ」
「あ!!」
「え、なに」
「いま禁止占いスキルを覚えようとしたら、きみにははやい、でてけって」
「えーー!」
「リンヤに逢えるか、だけでも知りたいけど、いまあるスキルだと、答えないんだよね」
「そう。転生適性者には、きっと逢える。わたしのスキルが、みせてくれたから。でも、妖精リンヤには、逢えないのかも」
「そうなんだ」
メディが考えこんでいるため、ネネは様子を見ながら、たずねる。
「ねえ、メディ。転生適性者にあったら、そのあと、転生魔法を使ってもらう気だったんじゃ。でも先にルルファイスにあったからさ」
「うん」
「メディは、もう悪魔でいなくても、いいと思っているの?」
「急にだね。」
するとミレイもたずねる。
「急に、じゃないわ。わたしも気になる。メディは、ホントは前世に戻る気になってるのよね?」
「え。違うよ」
「じゃ、なんで、転生魔法を」
すると、ルルファイスが近づいてきた。
「やぁ。もうけっこう経つけど、休憩にしない」
「まだそんなにじゃ」
「気がつかなかったかな。二時間は経ってるよ」
「え!」
備えられた時計をネネがみると、たしかにもう二時を過ぎている。
「じゃ、休憩かな」
「そうね」
三名は、ルルファイスと、このフロアをでる。
持ってきていた本は、一度返却口に戻す。
さらに上の階の展望フロア兼食堂で、簡単に、魅惑な果実からつくった食事にする。
その間、ネネはあまり話さなかった。
「それで、ルルファイス、禁書の条件を達成できれば、覚えられるんだね」
「いや、そういうことでもないよ」
「どういう」
「言ったでしょ。禁書のエリアのは、封印されているんだ。簡単ではないよ」
「でも、覚えられる」
「覚えかたはあるけど、それには、禁書指定にした悪魔や封印魔法使いたちの許可をとらなくちゃ」
「じゃ、わたしの未来視や占いのスキルはたとえば」
「悪魔ミラルの封印だね。ムリに覚えると、反射で魔力を奪われたり、封印空間に連れていかれたり、最悪は意識をもっていかれるよ」
ルルファイスの話しがおわったあと、ミレイは、下のフロアをもう少し調べることにした。
メディは、先にみつけてある、写真や詩本をチェックしに、三階にいく。
ネネは、再び禁書エリアにいくことにする。
「あった。これだ」
ミレイが見つけたのは、歪んだ本だ。
「封印空間の初期、転移空間の作成魔法」
メディは、詩と写真のつながりから、この図書館の構造がわかってきた。
「そうか。リンヤの詩を覚えて、封印鍵を順番に開けていけば」
ネネは、禁書エリアにいくと、違和感にきづいた。
腕輪が光っている。
転生適性者が近くにいるのだ。
先ほどみていた、カウンターに戻した本は、そこにはなかった。
すると、ひとつの棚に影が見えて、追いかけていくと、もうその悪魔はいなかった。
「でも、いま棚が動いたような」
一度、下のフロアに戻ると、
ミレイとメディが合流した。
「禁書フロアと、閲覧制限エリアだよ」
「えっ。なにかわかったの?」
「そう。もう一度、禁書エリアにいこう」
先ほどでたゲートとは反対の入り口から、また入る。




