転生魔法適性者探しはじめ
「ミロたん」
「うん、それもいいね」
「ライ」
「少し短いかな」
「ファルティ」
「それもいいかも」
いま、ミレイとネネは、ドラゴンの名前の呼びかたで悩んでいた。
「いつまでも、異界ドラゴン、じゃやっぱりいけないよね」
そう言いつつ、ミレイとネネは、仕事を上がると、今度は転生適性者探しをしていた。
「あと、高魔力宝石かぁ」
「ミロたんは、条件なんて言ってたの」
「ファルティは」
「やっぱりファルティかな」
「うん。それで、条件は、清く強欲でなく魔力が高く働き者で、できれば長生きで」
「うん」
「それから」
「まだあるの?」
「悪魔転生魔法使いになっても悪魔たちを導く経験を持っている者」
「なにそれ。そんなの、なってみなきゃ、わからないよ」
「うん。でも、少しわかる」
「え、なに」
「高魔力を持って転生もつかえると、どうしても悪魔だったら、召喚や血の契約のときに、それを相手に使いたくなるじゃない」
「。」
「でも、召喚した主を転生させてたら、もう主従悪魔ではなくて、主が交代してしまうもの」
「それもそっか」
「だから、ファルティは、それに耐えられる者を探しているのね」
「うん。ムズカシイね」
最近は、ミレイと悪魔界のさまざまなところで、話しをきいてまわるようになった。
でもあまり成果はあがらない。
そのことをメディに伝えると
「わかった。手伝うよ」
「ほんと? でも、メディの転生魔法使い探しは?」
「いいよ。ひとまずは、ネネたちを手伝うようにする」
「ありがとう」
ネネは嬉しいが、同時に不安もある。
メディは、転生適性者がいれば、結局はメディも転生魔法をつかってもらうつもりではないのか。
「ネネ、なにかヒントになるようなのは、ないのかな」
「竜のウロコ、以外には特にないよ」
「そうか。なかなか大変だな」
少しネネは考えたあと、
「魔法の種類とかで、見分けつかないのかな」
「うん」
「これができる、とか得意とか」
「うーん?」
「あ、ひとみの色は?」
「え」
「たしか、メディの色って」
メディの眼をのぞきこむようにする。
ひとみの色が、ブルーだが模様のような、色が変わって視える。
「これよ。竜の鱗が反応したら、ひとみの色を確かめてみて、両方揃っていれば」
まっすぐに見つめていたら、メディが、まばたきをして、視線を逸らすようにする。
気のせいか、顔が火照っているような
「どうしたの、メディ?」
「う、うん、なんでもないよ」
「ネネ、近づき過ぎよ。ほら、メディが照れてるじゃない?」
「え、ほんと! なんだ、それなら」
メディの顔を捕まえて、ネネの方を向かせると、たしかに、恥ずかしがっている。
「メディ、かわいぃぃぃーー!」
「も、もういいだろ、ネネ」
「いや、ダメ。もう少し」
ミレイが近づいてくると、ネネを後ろから抱きしめる。
「ダメよ、ネネ。浮気しちゃ。ふぅーー」
ミレイがネネの耳に息をかける。
「うひゃ、ん、は、ふ、ん」
「ほら、こっち向いて」
「や、やめてよ、ミレイ! 耳とか、ヤなの。」
「そう? じゃもう一回ね」
「だ、だ、だから、ヤメてよ、もう」
「ふぅーー」
「ひゃわ、んん、だ、だから、耳はゎ」
「やだ、ネネ、えっちぃ」
「ミレイ、こ、今度、ミレイの弱点発見したら、こらしめてやる」
メディは、ネネの手から逃れる。
「とにかく、竜の鱗の変化と、ひとみの色だね」
「うん」
「いまは、どれくらい聞いてまわってるの?」
「まだそれほどだよ」
「そうだ、ミレイの未来視では、どうだった?」
メディがきいてくる。
「それが、聞いてまわる数が多いからか、まだ確定してないのか、薄ぼんやりとした未来なのよね」
「そうか。やっぱり、地道にいくしかないか」
「そうみたい」
ネネは、メディの想うところが気になるが、それでも、久しぶりに三名で、動き回ることに、嬉しさもある。
「よし、ファルティのためにも、時間かけて探すぞー」
「え、ファルティってなに?」
「あぁ、異界ドラゴンの名前なの」
「ライーリア、ミロダス、ファルティシス」
「え、あ、そっかぁ名前聴けたのかぁ。すごいなぁ」
「でも、メディのことは気になってるみたいだったよ」
「そうなの?」
「そうだよ」
「特には、なにもしてないような」
メディを含めて三名で、しばらく異界ドラゴン、ファルティの依頼、転生適性者探しが始まった。