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買いものついで

 部屋にきたスズネの話しを聴いて、明日以降のスケジュールを確認しあった。

 中央図書館でもらった花が、効果があるかはわからないけれど、水の妖精を信じてみて、花の妖精を探しにいく。


 水の洞窟では、はぐれて探検してしまった。

 それで、ミレイが怪我をしたわけではないけれど、スズネやヒイロがとても気にしている。


 花の妖精たちが、洞窟なのか建ものなのかどういう場所かは、わからないけれど、今度は、もう少しまとまって進んだほうがいいかもしれない。



 スズネは、ミレイの様子を少し話したあと、一度部屋の外にでていった。

 なにか連絡があったみたいだ。

 でも、部屋の外からの響く声で、少しスズネが困っているような感じだ。


「これ仕事かな」

「メディはどう思うの」

「たぶん違うよな」


 スズネも仕事はこなせるほうだし、大きいトラブルならわたしのも連絡がくる。

 いまは部署が違うため、スズネの範囲はわからないけれど、プライベートな気がする。


 メディと話していると、スズネが戻ってきた。

 スズネは、もう通常の感じで接してくる。


「あれ、飲みもの追加しましょうか」

「いやまだ、平気」

「それよりスズネ……」

「なにかお腹もすいてきますよね。ミレイせんぱい食べてるのかな」

「ねえ」

「ヒイロとアマツキもいるんだから、食事くらいはしますよね」


 あまり詳しく話したくないのかもしれない。


「連絡してみて、こちらも軽食にしよう」

「そうしましょ」


 メディは、ヒイロに連絡しているみたいだ。

 スズネの表情は、なにかかたい。

 そういえばヒイロが、ときどきスズネに連絡がきているといっていた。

 前に様子が変になっていたときにも、詳しくは話してくれなかった。

 それだけスズネに負担があるのだと思うと、上手く聞き出せないのかなと思う。


 けれど、メディは食事の準備をするらしい。

 メディにだけは、せめて話せているといいのだけど。


「じゃ、少し材料買ってこないとね」

「買いものできる場所ありましたっけ」

「たしか、外に少しみたような」

「ヒイロとアマツキに、買いものにいくって言わないとですね」


 今度は、スズネがヒイロに連絡している。

 メディは冷蔵庫を確認したあと、もうでられそうだ。


 もしかしたら、あまりのんびりしていると黒鉄がまた仕事を持ってくるのかもしれない。


「いきましょ」

「そうだね」


 スズネとメディがでて、最後にわたしがカギを持って部屋の外にでた。

 ここのカギは魔力カードなため、部屋の扉を閉めてかざすと、ロックされた。

 カバンにしまっておく。


「どこいきます」

「入口で聴いてみようか」

「そうですね」


 スズネが、ちゃっかりメディの隣でどんどん歩いていく。

 スズネが少しは元気になったみたいだ。

 でも、メディを捕まえておくのは、わたしだ。


「メディは気分転換で少しは歩いたほうがいいわ」

「買いものにいい場所があればね」

「空からのときは、急いでいたからね」


 そう話して、わたしもメディの隣にたつ。

 なんだかスズネがにやにやしていて、少し複雑だ。

 やっぱり気分が落ちこんでいるスズネは、あまりみたくないけれど、あからさまにメディにくっつくスズネは、生意気に感じてしまう。


 身勝手だな、とわたし自身もおもう


 でも、さきほどのメディの仕事のなかに、わたしの保護に関するものもあるとは、少し驚きだ。

 メディはそれほどに階級があり、いろんな管理や情報の確認を任されているのだろう。

 いつの間にか、わたしよりも偉くなりいるメンバーのなかで、一番だ。



 受付につき話しを聴くと、そばに小さめの買いもの場所が二つ、あとは遠くになら大きい場所があるらしい。

 材料を揃えるなら、大きい場所のほうがいい。

 ヒイロとアマツキは、すぐに来ないだろうから、この三悪魔で買いものにいくなら、多少遠くてもいいだろう。

 メディの運動にもなる。


「大きい場所のは、どちらですか」


 カウンターにいる女性の悪魔に、地図を描いてもらい、外にでた。

 スズネが、でた途端に話しだす。


「あの女性悪魔、美悪魔ですね。なんで受付のかたって美形なんですか」

「それはやっぱり見た目よし、対応よしなんじゃない」

「それならネネせんぱいですね」

「そうだね」

「え、やめてよ……」

「ほらネネせんぱいなら、きっといい対応で、丁寧だし、あ、でもアイドルもいいですよね」

「や、やめてよ、もう」


 急に照れてしまう。


「そうだね。ネネの歌とか悪魔で有名になりそう」

「聴いたことあるんですか!?」

「少しだけね」

「へぇいいなぁ」


 さっきまで、スズネに獲られるとか考えていたのに、今度は、スズネからのほめ上手になんだか、こちらがにやにやしてしまう。


「でも、アイドルのああいう格好は可愛いよね! ひらひらはちょっとまずいけど」


 すると、スズネがメディの肩をパシパシ叩いている。


「いませんぱい、ネネせんぱいのミニのひらひら想像しましたね!」

「スズネこそ、アイドルのネネ誕生を想像してたんじゃないの?」

「じゃおあいこで」

「やっぱりそうみたいだね」


 なんだかよくわからない、アイドルプリンセスネネ誕生の話しをずっとしている間に、買いもの場所につき、店内に入る。

 まだ夕方前ではあっても、そこそこに店内が混んでいた。

 さっそくスズネが、セール商品に眼をつけて、その間にメディはいなくなっていた。


 いつも通りだ。


「メディいないんだけど」

「あ、本当ですね、どこだろ」

「ちょっといつまでセールみてるの」

「ちょっと待ってください。もう少しで争奪戦なんです」

「それよりメディは?」

「さぁ」

「またいない。探してくる」


 部屋にいないときもあるし、一緒に外で歩いていてもいない。

 どうして、こうすぐに姿がみえないのだろう。

 スズネは、まるで気にしていない。

 まだしばらく、ここにいそうだ。



 とりあえず、ここのフロアを横断していく。

 端まできて、別の格安専門店の前まできても、見当たらない。

 クルッとまわり、今度は反対だ。

 スズネの姿をちらりとみつつ、また歩いていく。


 さっきの反対側にある少し広めにとられた休憩スペースまできた。


 座ってはいないけれど、姿がみえた。


「メディ、またいなくなって」

「あ、わるい」


 また仕事だろうか。

 でも、休憩室にあるなにかの資料を読んでいる。

 よくみると、材料や中古の商品を買い取りして、また加工するようなお店のパンフレットだ。


「どうしたの? それ」


 たずねると、少し困っているようだ。


「ああ。中古品の扱いあるらしいけど、見てもよくわからないな」


 わたしに差し出すため、受け取る。

 材料や加工品、いくつか趣味のものやアイドルのグッズ買い取りなどの扱いのある、中古買い取りショップのようだ。


「雑貨だけど、偏ってるわね。これどうしたの?」

「入口のアナウンスで流れていたよ」

「う〜ん。いまは食料とかじゃない?」


 どうにも、メディの思考はよくわからない。

 ここのお店に用ができたのだろうか。


「そうだね。戻ろう。スズネも待ってるかな」


 そう言って、またパンフレットをしまう。

 歩きだしてしまうも、さっきのお店のは、なんだろうか。


「アイドルのグッズとか、趣味とかインテリアとかあるけど、みていく?」

「ネネが必要なのがありそうなら、あとでね」

「え、わたし……?」

「加工品とかあったし」


 スズネがみえる位置まで来たけれど、ようやく思いあたる。


「ナイフの飾りの素材探してるの!?」

「そう……だね」

「なんだぁ! それでいなくならないでよ!」

「あ、うん」


 そっかと、いまわかった。

 わたしがナイフの飾りや加工を悩んでいるのをみて、参考になりそうな資料を探していてくれたらしい。

 優しい。

 けれど、これはもう何度も訴えかけるしかなさそうだ。


「心配はそんなにしなくても、あまりフラフラしてると、どこか違うところ探しちゃうじゃない」

「気づくと、そっちにいくから無意識だよ」

「無意識ひどい」

「よくあるよ」

「もう少し意識もって」

「ネネがそれのほうがいいなら」

「自分の意思でそう直して」

「あ、あぁ」


 少しは、わかってくれただろうか。

 たぶんだめな気がする。

 また、言おう。


「それで加工品扱いの場所は、わかったの?」

「チラシはあったけど、このフロアじゃないらしい。上か別の場所」


 渡されるため、案内をみる。

 若干不親切な書き方だ。

 でも、二階にあるようだ。


 みにいきたくなるけれど、スズネが粘っているだろうから、まずはスズネを呼んでみなくてはいけない。


「スズネのところにいこう」

「スズネは?」

「あの値引きセール」


 ガヤガヤとした一角の悪魔だかりのなかに、スズネの姿が少しだけみえる。


「スズネ」

「あぁ! ちょうどいいところに……」

「やっぱり戻……」

「はい! これ、これ」

「えぇ」

「あと、これ」

「えぇ」

「そんなに」


 ようやく悪魔だかりから、脱するとスズネは、とてもひと仕事終えた顔をしている。


「ふぅ! ひとまずゲットできましたね。いい戦果ですよ」

「これみんな買うの?」

「当然です!」

「なんだかよくわからないのもあるけど」


 とにかく買うらしい。

 たしかに、商品につけられた魔力値段はとてもお得だ。

 ていうかこの値段は本当にあってるのか。


「めっっっっちゃ安い!!」

「わかったよ」


 とにかく側にあったカゴに、みんな載せて、さらに、食料品を揃えてお会計になる。

 揃えた量にしては、たしかに安い。


「上の階はどうするネネ」

「あ、これはムリね」

「二階になにかありますか?」

「加工品もあるんだけど、見にいこうか迷って……」

「いきましょ!」

「えぇ、これ荷物すごい」

「ついでです」

「ついで過ぎる」


 スズネの勢いで二階にいくも、これで他に買いものしていい量なのだろうか。


 ミレイに怒られないかな。


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