表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/127

悪魔なかわいさ小悪魔ネネ

 わたしは、ピンク模様の入った紺の翼を折りたたむ。

 着地すると、そこは公園だった。

 通称、黒バラ園と呼ばれるところだ。


 追いかけてきていた、悪魔が追いつき、こちらに近づいてくる。


 わたしのこの見た目も楽ではない。

 よくロリ系とも、ヒトのいうギャル系とも呼ばれたりするが、わたしはどちらでもない、ただの美少女だ、と自負をしているようなつもりのような。


 悪魔ネネは、少し長い髪、黒いひとみに、髪飾りをつけている。

 魔力をつかうと、少しひとみの色が変わる。


 大抵の悪魔は、怠惰で強情か、呑気で何も考えないか、あとは自分の欲にばかり囚われていて、無害だが、ときどきこうしたいわゆる欲におぼれたような者がいて、そういうのには、わたしはよく絡まれる。


 仕方なし。


 腰の下、足の付け根に装備してあるトロピカルガンを手にとる。

 ショックレベルは、二十五くらい。

 大丈夫、ただの電気ショックだ、二十五くらいなら。


 最大はショックレベル百だが、それで使うと悪魔でも死んでしまうだろう。


 相手が近づいてきた。


 近くでみると、そんなには気持ち悪くないが、それは見た目で、


「ねえ、こっちみてよ」


 とか


「ほら、いい子だから。

 ピー (放送禁止)とか、ドー (変態言葉)」


 とか言われると、うわっなに、て思う。


 片手でトロピカルガンを構えて、打つと電気ショックが相手に流れていき、その悪魔は後ろに倒れて、気を失った。


「ふう。護身用改お手製電撃拳銃、名付けてトロピカルガンは、けっこう役に立つのよね」


 倒れた悪魔はどうしようか。

 魔力だけ吸収して、近くの川にでも、蹴飛ばしてやろうか。


 夜の公園を見渡すと、魔力街灯のその薄明かりのなか、ベンチに悪魔が寝ていた。


 観ると、まだ若い。


 少しブルーのはいった黒の短髪に、服装もブルーの模様の入った紺に近い上下を着ている。

 ブーツは黒だが、ジャラついている。


 トロピカルガンを元の足の付け根、スカートのなかに隠して、起こそうか迷う。

 わたしは、少しミニのスカートをはたいて、そのあと、黒の上着やなかにきているシャツを点検する。


 特に破れたり、崩れたりはしていない。


 あ、起きた。


「え、なに、ここ、どこ」


 転生、成功しました。


 その悪魔にしか、聴こえない声がする。

 感覚では遠くから、声が聴こえて、次に悪魔ノートが光り、一ページがひらくと、転生の文字が追加されていた。


 その悪魔は、ノートを拡げて、確認している。


「そうか。これ、記録帳みたいなのか」

「もしかして、ここで寝てたけど、転生者?」

「えと、そうみたい。きみは?」

「わたしは、悪魔のネネ。アナタ名前、わかる?」

「え、名前か」


 少し考えこんでしまう。

 起きあがり、靴を確かめてから、その悪魔は立ちあがり、そして、辺りを見回してから


「ごめん。名前まだわからない」


 ベンチにのっている悪魔ノートを開いて、ペラペラめくりながら


「ところで、その転がってる男はなに?」

「あぁ、わたしを追いかけてきた、変態悪魔。どうしようかなぁ」


 すると


「手伝うよ。どうする?」

「え、あ、うん。じゃ、近くにゴミステーションあるから、そこに投げておくわ」


 起き上がった悪魔は、転がっている悪魔を引きずろうとするから、わたしも肩を貸して、ゴミステーションまで、引っ張る。


 公園の(かど)にある、悪魔機械式ゴミステーションに、放り投げておく。


 ゴミステーションの上の看板が光だし


「コレは、分別ゴミではありません」


 と音声が流れている。


「いいの、これ?」

「いいの。丸一日は目覚めないし、悪魔清掃業務員がみつけて、仕事放棄者として、悪魔役所に通報されるだけ」

「それより、ありがとう」

「いいけど、名前まだ思いだせないな」

「わかった。とりあえず、悪魔な転生者として、発見した以上は、案内するわ」



 街灯の照らされるなか、よくみると、その転生した悪魔は短髪がよく似合う顔つきで、身体つきもほっそりだ。


「きみ、可愛いな。みんな悪魔ってそんなに美悪魔とか美少女?」

「ふふん。ありがとう。みんな可愛いけど、わたしは、よく悪魔的な可愛さって言われるわ」

「わかった。ネネさんだよね」

「あ、その、さん、てなに? みんなはネネとか、ネネリンとか、ネネタンだよ」

「えーと、それじゃ、ネネでいいかな」


 よく観ると、その転生悪魔の瞳の色が、変わった感じだ。


「転生者は、ひとみの色、変わった感じなのかなぁ」

「色?」

「うん」

「うーん、まだなんとも、わからない」


 変な悪魔。

 街中を案内することにした。

 ピンク模様の入った翼を拡げて飛ぼうとすると


「待って待って」

「え、なに? どうしたの?」

「翼初めてだから、飛びかたとか、わからない!」

「あー、そっかぁ。あ、どうしよ。じゃ、歩いてだね」


 夜の街なかを、その悪魔と練り歩く。


 ここが、紹介所。


 ここがギャンブル場。


 ここは、普通の衣料品だったかな。


 途中、あくまな自販機で、飲みものを買うことにする。


「なんだ。この味しかないや」


 腕につけているデレデバイスで、タッチする。


 ピコン


 可愛い音がして、自販機から飲みものが転げて、足に落ちてくる。

 ()けそびれて、ネネの足に当たる。


「いた! もう。悪魔自販機め」

「ごめんね。このデビルズイチゴしか、味なかった」


 転生悪魔は受け取る。


「ありがとう」


 一口飲むと


「うわー激甘。みんなこれ飲むの?」

「いやー、ごめん。ランランイチゴのほうが、味よかったかな。自販機の補充が、あまり来ないから、すぐ売り切れになってるんだよね」

「そうなんだ」

「でも、あまり悪魔は、食べものとか、好みないんだよね。魅力な果実と怠惰な実のどちらか、が魔力補充に必要で、基本は怠惰の実に、取りつかれるから、その味ばかり」

「ふふ」

「なに、どうかした?」

「悪魔なのに、ネネは丁寧だから、悪魔って、イメージと違うんだな、て」

「あ、泊まるとこ、わからないよね。うーん、ゲームセンターで、一泊するか」


 ゲームセンターは、二十五時間経営で、ずっとやっている。

 朝から晩から、日付回っても働くとか、意味不明。



 でも、こういうときは、便利かも。



「え、いいよ。どこかで野宿でもしてくるから、朝どこにいけば、いいかだけで」

「だめー。悪魔転生したばかり、名前もまだだし、それとも、わたしじゃないほうがいい?」

「うーん、そんなことはないけど、でも」

「でも、とか言わないの」



 結局ゲームセンター、デビルズヘイブンの隅にあるベンチで、並んで、座る。


「ひと休みすれば、すぐ朝だよ。おやすみね」

「うん、わかった」


 ベンチに並んで、座ってわかった。



 メチャどきどきする。


 なんだろ。

 この感覚。



 ヤバい。


 となりの悪魔は、すぐに寝てしまったようだ。

 わたしは、肩にもたれてみる。

 寝られそうにはないが、なんか居心地がよい。



 なんだろ。


 さっきまで、照れなんてなくて、姉気分だったのに、いまは少し恥ずかしい。




 朝方、三時間くらい寝て、その悪魔は、男子トイレに向かう。

 顔を洗ってきたようだ。


「すごいびっくりした。羽根あるし、髪ブルーだし、たしかに顔つき悪魔だったよ。やべ!」

「おはよう。わたしもいってくるね」


 お化粧室に入り、顔が赤いことに気づく。

 洗顔して戻るも、笑顔の悪魔がいる。


 どきどきする。


「名前、わかった。メディナナタリア。悪魔だ」

「ふーん。そう。じゃ、改めて、お願いね」


 こうして、メディに出逢った。



 ヤバい、メチャどきどきするんですけど。



 決めては、たぶん、そうその甘くてくすぐったい声と、あとブルーがかって、少し変化する瞳のキレイさか。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ